ヴィオラの為に
「それで、どうするつもりなんですか、王子様!!」
ヴィオラの行方が分からなくなって5日が過ぎた。
ヴィオラを一刻も早く見つけるために僕は彼女の兄でもあるフラットンとメロディンさんにも助けを求めていた。
が、到着してからというもの機嫌が悪く、
昔に体感した以上の殺気を向けられている僕、フォルテッシモ。
しかし今は緊急時。
僕の心は怯えを感じることなくメロディンさんと向き合い立っていた。
「メロディン、そのような言い方をするな!フォルテ様が悪いわけではない!不審な動きを見逃した我ら騎士団が悪いのだ。」
「あぁ、そうだよ!あんただって悪い!だけど、今の現況を招いたのは王子の弟だっていうじゃないか!なら兄であるフォルテッシモ王子にも責任があるんじゃないのか!?」
「ちょっ、メロディンさん、やめろって!!それを言ったところで始まらねぇだろ!?な!?」
荒れるメロディンさんをなだめようとするロンド。
そんなロンドのおかげでとりあえずメロディンさんは落ち着きを取り戻し始めた。
その瞬間だった。
「見つけたよぉ、ロンド!!」
「っ!?コモド!ヴェリテ!!」
勢いよく扉を開けて入ってきたのはコモドとヴェリテだった。
コモドはロンドに近寄ると書簡を渡した。
「恐らくだけどここが例の薬を作って広めてる人たちがいるアジトだと思う。僕とヴェリテちゃんで頑張って調べたんだ。」
「さっすがコモド!商いの流通にも詳しいお前がいて助かった!」
コモドから受け取った書簡を急ぎ広げるロンド。
そこには地図と薬の所持者についての詳細が記載されていた。
「多分だけど、こういう人たちっていざってときに相手の弱みを掴むために取引した人たちの名前書いてると思うんだぁ。」
「もし名前がなかったとしても取り仕切るものを捕まえれば何かの情報はつかめるだろうな。フォルテ様。私はこの拠点に乗り込もうと思います。」
「僕も同行しますよぉ。荒事は意外と得意だしぃ。」
「ありがとう、フラットン、コモド。」
騎士のフラットンの申し出は素直に嬉しい。
ただ、コモドの戦力は計りかねるから正直迷いはある者の、荒事が意外と得意というのだから任せてみようと思う。
「んじゃ、俺とフォルテはピアノルの監視ってとこだな。あいつの動きからヴィオラの居場所が分かるかもしれねぇしよ。」
「そうだね、ロンド。」
「で、では、私は町でもう少し情報を収集してきます!」
「それには俺も同行するよ。ヴェリテ嬢。」
「ありがとうございます、メロディンさん。」
それぞれのやるべきことがまとまり、僕たちはすぐに動き出した。
そしてそれから二日後の事だった。
僕達は無事、ヴィオラの居場所を特定したのだった。