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『神機』:護りし者  作者: 赤魂緋鯉
第一章 『神機』:護りし者
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最終話

 『英雄』レオンによるセレナ公女救出の一報は、瞬く間に『公国』全土へと伝わり、それまで沈みきっていた軍全体の士気が跳ね上がった。

 その上、公爵による大規模な補給が、再び開始されたために戦線の後退が止まり、およそ10時間後には一部戦域で反転攻勢に移った。

 連絡を入れてから少しもしないうちに、レオン達がいる基地に公爵がやってきて、娘との感動の再会を果たした後、彼はレオンにこれ以上に無いほど感謝の言葉を贈った。

「レオンさーん」

 夕暮れのオレンジ色に染まる裏の庭園で、噴水の前にたたずんで空を見ていたレオンに、『聖女』用の修道服を着たセレナとマリーが駆け寄ってきた。

「やあ公女殿下」

 レオンは外連味(けれんみ)たっぷりの動きで、セレナに向かって恭しく一礼した。

入国管理局に行ったジョン以外の3人は、カノプス中心部にある公爵の執務用の邸宅に移動していた。

 マスコミ各社への会見や勲章の授与式に追われ、レオンとセレナが解放されたのは、それからおおよそ3時間後だった。

「今まで通りで結構ですよ。レオンさん」

 そんな彼の様子を見たセレナは、口元に手を当て、クスリ、と小さく笑ってそう答える。

「れおんー」

 マリーは頭を上げたレオンの太腿に、先ほどと同じように抱きついた。

「二人とも、その服が良く似合ってるね」

「ありがとうございますっ!」

「んふー」

 レオンが彼女の頭を撫でると、小さな『聖女』は気持ちよさそうに目を閉じて、彼の右脇腹に頬ずりした。

「ところでセレナ。さっき言ってた僕への用ってなんだい?」

 そんな彼女を撫でながら、にこやかな表情でレオンはそう訊ねた。

 身寄りがないマリーはひとまず、キャクストン家が預かることになった。

「はい……」

 緊張した面持ちで返事をしたセレナは、マリーがいる方の反対側に立ち、

「あのっ、レオンさん! その、私に雇われてはいただけませんか……っ」

 レオンの顔を見上げてその手を握り、単刀直入にそう願い出た。

「マリーも、れおんといっしょがいい」

 その場でぴょんぴょんと跳ねながら、マリーもその援護射撃とばかりにそう言う。

「公女殿下からの直々のお願いとあれば、断る訳にはいかないね」

 レオンは二つ返事で快諾し、よろしく、とセレナの手を握り返した。

「はい! よろしくお願いします!」

「やったー」

 両サイドから美少女2人に抱きつかれ、彼はまんざらでもなさそうな困った顔をしていた。


                    *


 それから2ヶ月後。レオンのたぐいまれなる指揮能力と、息を吹き返した軍の奮闘により、『公国』は緒戦にことごとく勝利していった。

 その結果、残る失地は南西部に位置する、国境の町ロトスのみとなっていた。

 『レプリカ』182機と『神機』2機を擁する『公国』軍と、『レプリカ』97機と『神機』1機を擁する『王国』軍が、ロトスの西にある大草原にて対峙していた。

「さあ行くよ、セレナ」

「はいっ」

 セレナの返事を聞いたレオンは、機体の腰にマウントされた得物を構える。

「全軍、突撃!」

 指揮下の全機に向けて彼がそう命令すると、すぐさま号砲が鳴り響いて戦闘が開始された。

 後に『232年7ノ月戦争』と呼ばれるこの戦いの勝利は、『英雄』レオンが成し遂げた偉業の1つとなった。

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