↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第十三章 扉

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
730/1072

エルーダ迷宮追撃中1

 ヘモジの畑の換地がつつがなく行なわれ、突貫工事で客間の増築が行なわれた。

 増築は例のプレハブ工法という奴で、日常に支障を来たさぬ早業で完成させることができた。 基礎工事と壁や天井を作る作業を平行して行ない、本格的な設置工事はたった一日で終わらせた。

 これにはアンジェラさんも驚いた。のこぎりやトンカチの音で悩まされるだろうと警戒していた彼女はとんだ肩透かしを食らった。

 ヘモジとの交渉は厳選した野菜や果物の種を買う資金を僕が出すことで成立した。畑も気兼ねなく大きくできるし、ヘモジは喜んだ。

 冬になれば温室がほしいと言い出すだろうか?

 宿泊棟は二階建てで廊下に部屋が並んでいるだけのシンプルなものだった。部屋はふたり部屋が五つ。それが二フロアだ。連結部分は居間で繋がっている。


 諸々で散財しまくった僕たちは月末まで個人活動を優先させた。

 ヘモジが畑仕事を優先している間、僕も資金集めを再開したが、需要と供給の関係で、僕の宝石売りも一服した感が否めなかった。

 一方でアガタの店に卸すミスリルの量が増えてきていた。日にミスリルの剣が一本は売れるようになったようで、消費も上がってきていた。それでも僕が一日に持ち帰るミスリルの量に比べたら微々たる物だったが。

 それから王様の飛空艇用にまとまった量のミスリルが売れた。これで減った分の補充はなったが、如何せん分割払いなので完全回復とはいかない。

『火と水の精霊石の競演』は盛況だった。町の活性化のおかげで、領主共々あぶく銭が結構入ってきていた。が、すべて姉さんの目が行届いているのでこれも好き放題というわけにはいかない。

 さすがに家の増築費は出して貰ったのだが。

 その姉さん曰く、ミコーレ側と魔法の塔側から入ってくる収益も相当な額になっているらしい。

 因みに魔法の塔の収益も別荘前の湖の開拓などで前年比の倍はあるらしく、親友の次官殿が死ぬほど喜んでいたそうだ。次官殿は魔法使いたちの訓練も兼ねた大型土地開発が金になることに気付いたようだった。いよいよ西方遠征に魔法騎士団が邪念の限りを尽くして手を伸ばすことになる。王様も前線での戦闘行為ではないので、魔法使いの投入を渋る理由はないだろう。

 魔法の塔が潤えば、万年金食い虫の出費も抑えられるというものだ。

 取り敢えず現在、王宮では『大街道計画』が持ち上がっている。西方遠征で手に入れた土地へのアクセスをよくするために大きな街道を建設する計画である。現在、どのルートを選択するかで元老院と議会は熱い火花を散らしていた。

『コルッテリ・ネラ・ノッテ』の件も進展が見られたようだ。まずお世継ぎは廃嫡となった。一つに調査の結果、領土と呼べるものがないことが分かったからだ。しかも生き残りは今いる七千人だけだと判明したからだ。

 もはや難民ではなく、故郷を持たぬ流浪の民と成り果てたのである。

 互いの話し合いの結果、世継ぎ殿にはただの一領主として王国の枠に組み込まれることとなった。治める領地は前線近くにという嫌らしい話もあったが、このままザナージ領のはずれの山岳地帯を割譲し、そこに都市を築くことを許した。

「なんのために戦ったのか」と「初めから素直に助けを求めていれば」と牢獄のなかで後悔する者が後を絶たなかったらしい。

 ベヒモスの被害報告が次々上がってきたが、惨憺たる有様だった。

 聞けばミコーレへの移住者も増えてきているという。土地開発が進んでいるおかげで人手はいくらあっても足りない状況なので、問題にはなっていないようだが。生存圏の縮小は人類全体の問題として大きな課題である。

 僕たちにとって大きなニュースと言えば、ロザリアとテトに兄弟ができたことだ。さすがにまだうちに遊びに来てはくれないのだが、女連中が祝いの品をどっさり贈ったようだ。

 ロザリアが実家を往復するちょうどいい休みになった。

 一方テトは、赤ん坊のいる家特有の臭いに参っていた。僕は赤ん坊の部屋に消臭結界を施しにわざわざ出向いた。

「嫌いにならずに済んでよかった」と冗談を言って笑った。

「まあ、もう少し大きくなるまでの辛抱だよ。みんな通ってきた道だからね」

 亡くなった両親のことを思い出させてしまったようで、少し後悔した。


 僕は資金調達を宝石採取から宝箱を開ける方に切り替えた。

 狩り場をゴーレムの倉庫からワイバーンの巣に変えたのである。

 分別して売りさばくのも面倒なので、余程のもの以外は修道院に送って、処理して貰うことにした。しばらく見ない間にここの子供たちも随分大きくなっていた。


 リオナと狩りをすることが多くなった。他のみんなが私用で忙しいからだが、迷宮ではなく、森を散策する機会が増えた。子供たちと連日飛空艇を飛ばし、スプレコーンの森を探索して回った。

 別荘がある湖の開発状況を久しぶりに船で見に行ったりもした。

 大勢の魔法使いが湖で釣りをしていた。

 仕事してんのかな?


 そして翌月、土前月一日。

 振り子列車のなかで地下四十五階、風属性のフロア攻略の打ち合わせである。

 まず、注意すべきは『エルーダ迷宮洞窟マップ・下巻』に、前回、前々回以上に地図情報が載っていないことである。マップはスタートとゴールの方角が載っているだけだ。

 一体どうすればこうなるのか? 

 幸いモンスターの情報欄は健在だった。

 フェンリル、ワイバーン、ドラゴンフライ、ロック鳥という名の知れた有名どころが名を連ねていた。

 単独で来る分には既知の間柄であるし、与し易い相手ではあるが、組んで来られると正直厄介である。特にロック鳥と組まれると最悪だ。こちらの探知領域外からいきなりロック鳥が襲いかかってくるわけで、目の前の敵を見失いかねない。沈黙を仕掛けてくるドラゴンフライも魔法使いには地味に怖い相手である。

「ロック鳥の肉はまだ食べてないのです」

 でかいから魔石に変えたくなるんだよな。確か前回は風の魔石(大)だった。今回はあれからレベルが二十も上がっている。特大も夢じゃない。野生のロック鳥ぐらい巨大になっているかも知れない。二羽目が出てきたら考えよう。

 そして四十五階層の主は伝説の怪鳥ガルーダである。鳥と言うけれど、鷲頭の巨人に翼が付いた感じらしい。手には剣を携え、燃えるような赤い翼が特徴らしい。

「なんで地図がないんだろうな?」

「何かあるんじゃろうな、やはり」

「これまで通り、クリアーは二の次で慎重にいかないとね」

「『灯台の明かりを目指せ』て。なんだろうね?」

 なんだかんだ言って地形が最大の敵である可能性は大である。

 僕たちは振り子列車を降りると、迷宮を目指した。

 少し風が冷たかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。