それはとても大切な
「はー、今日も平和だ」
カナタの正体がばれて3日が過ぎた。
今日も今日とて仕事をサボり、現在かくれんぼの真っ最中。
鬼はもちろんジル。
「カナター!出てこーい!!」
遠くでジルの声が聞こえるが無視。
「(何か仕掛けてくるかと思ったのに、何もなかったからなー)」
アーネスの件の後、カナタは警戒しまくっていたが、特に何も起こることはなく、拍子抜けしてしまっていた。
ふと、下のほうから気配がした。
「あ、カナタ君、見つけましたよ」
「おお、リルか」
ひょこっと頭を出したのはリル。
「2人ともー、ここにいましたよ~」
下に向かってリルは手を振った。
「そんなとこにいたの~?」
「道理で見つからないわけだぜ」
レナとガネルも現れる。
「眺めもいいし、サボるにはもってこいの場所なんだ」
「まあ、普通屋根の上にいるなんて思わないでしょうね・・・・・」
寝ころぶカナタの横にリルがころぶ。
「そうよね。こんなところ探さないわ」
リルの隣にレナがころぶ。
「普通は木の上とかだよな~」
カナタの横にガネルがころぶ。
「「それもない(です)」」
「え、まじ?」
馬鹿は高いところが好き・・・・・・?
「なんかさ、こうしてたら3日前のことが夢みたいだよな~」
「そうですね~。なんかこう、のほほんとできるというか・・・・・」
「平和~って感じよね~」
ぽわぽわした雰囲気に包まれる。
この場所を壊したくない、そう思うからこその不安が溢れる。
「・・・・・・なあ、お前ら。本当に俺と居て大丈夫か?」
思い出すのはあの日のこと。
“友達”と言ってくれた。だからこそ。
「俺と居たら多分、いや、確実に争いに巻き込まれる。それでも――――――」
「もう、心配しすぎですよ。それ聞くの何回目ですか?」
「ホント心配性なんだから。何回聞いたってあたしたちの答えは変わらないからね」
「巻き込まれる?上等だ。俺たちは絶対倒れない」
3人とも、まっすぐとカナタを見据える。
「・・・・・・ああ(強いな、ホント)」
力がどうこうじゃなくて、根本的なところが。
「ほーんと、平和だなぁ!」
「そうですか、それはよかったですねぇ。ま、俺は全然平和じゃないんですか。誰かさんのせいで」
「!?」
カナタの真上からドスの利いた声がかかる。
「この声は・・・・・・」
恐る恐る声のするほうを向く。
「お仕事、たっぷりありますから」
ニッコリ笑顔のジルがいた。
思わず逃げようとしたカナタだが、ジルに捕まり逃げれない。
「皆さん、教えてくださりありがとうございました。おかげで予定より早く仕事が終わりそうです」
カナタを持ったまま、リル達に向かってお辞儀をする。
「いえいえ、このくらいお安いご用ですよ」
「なん・・・・だと・・・・!?」
ついさっきまで話していた人物たちが密告者だったことに驚きを隠せないカナタ。
「いつ知らせてた!?」
「見つけた時に念話で」
そんなに前から・・・・と肩を落とす。
「では、失礼します」
「仕事がんばれよ~、魔王様~」
笑顔で手を振るガネルを殴りたい気持ちに駆られたが、ジルに捕まっていてそれも叶わない。
「(次からはあいつらにも気を付けよう・・・・・)」
そう誓ったカナタだった。




