出来れば再会したくなかった
「早く見つけて帰りましょ」
「さんせ~」
ガネルがだるそうに手を上げる。
「なかなか見つかりませんけど」
「リル、それ言わないの」
そういったレナの表情もどことなく面倒そうだった。
「すみません」
「口より手を動かしたほうがいいと思うけどぉ」
「そうよね。・・・・・・え?」
リル、レナ、ガネル以外の声にレナがいち早く気づいた。
「誰っ!?」
「知ってると思うけどぉ?」
声の主を探すが、誰もいない。
「どこ探してるのぉ?ここよ、ここぉ」
ガネルの後ろに声の主がいた。
「ぬおっ!!」
いきなりの声に驚いたガネルは前に飛び退き、石につまずいてこけた。
「あははっ、マヌケぇ」
そのガネルを指さして笑う人物を見てレナが警戒する。
「あんた、ナノ!?」
「あったりぃ。でもぉ、アタシの本当の名前はアーネスよぉ。覚えてねぇ」
ナノ、基アーネスのウインクが炸裂。
「ナノって偽名だったのか・・・・・」
「どうしてここにいるんですか!?」
ウインクは見事にスルーされた。
それを気にもせず、アーネスは笑顔で答えた。
「それはぁ、ひ・み・つぅ」
「教えろよ!」
「い~やっ」
「なら力づくで!」
ガネルがアーネスに飛びかかる。
「あぶなぁい」
口ではそう言っているが、軽々と避けている。
「ガネル、不用意に突っ込まないの!」
「そうですよ!ここは作戦を立てましょう!」
「「え・・・・・?」」
リルの発言にレナとガネルは思わずリルをガン見してしまった。
「・・・・・なんですか?」
2人の視線に耐え切れなくなったリルは、少々2人を睨みながら聞いてみる。
「いや、作戦を立てるって・・・・・・。敵が目の前にいるのよ?」
「立ててもいいけど、相手は待ってくれないだろ」
「む・・・・・・。そうですね」
やっとそれに気づいたリル。
「お話終わったぁ?」
3人の話がまとまるまでずっと待ってていたアーネス。
「待ってたのかよ!」
思わず突っ込んでしまうガネル。
「だってぇ、不意打ちは嫌いだしぃ」
「(礼儀正しいな・・・・)」
敵だと分かっていてもガネルはそう思ってしまった。
もしかしたら作戦を立てるのも待っていてくれたのでは・・・・?
「いっくよぉ!」
次の瞬間、アーネスの姿が消えた。
「なっ・・・・・がっ!」
アーネスを見失い、目を見開いていたガネルが吹っ飛んで木にぶつかった。
「あ、当たったぁ」
ガネルがいたところには嬉しそうに笑っているアーネスが立っていた。
「ガネル!」
「ガネル君!」
リルとレナがガネルに近づく。
「大丈夫!?」
「う゛・・・げほっ。なんとか・・・・・」
頭をさすりながら立ち上がるガネル。
「わあぁ、頑丈な人ぉ。・・・・・・潰しがいがあるぅ」
それを聞いたリルたちはゾッとした。
逃げないと殺られる。本能がそう訴えていた。
でも逃げられない。こいつはそれを許さないだろう。
――――絶体絶命だ。
「そんなに固まってどうしたのぉ?」
アーネスが楽しそうな顔をして近づいてくる。
「っくそぉ!!」
ガネルが拳を振りかざして突っ込む。
「ふふっ。弱ぁい」
ガネルの拳をあっさりと止めたアーネスは、そのままがネルのみぞおちに拳を叩き込み、回し蹴りを繰り出した。
「っは・・・・・・」
吹っ飛ばされたガネルは地面を転がり、木に激突して止まった。
「っ、―光の槍よ。我が敵を貫け―《ライトスピアー》」
レナが光の初級魔法を放つ。
「くすっ」
が、それもあっさりと避けられる。
「―風の刃よ。我が敵を切り刻め―《ウィンドカット》」
リルも続けて風の初級魔法を放つ。
「あなた風属性ぃ?」
初級魔法が迫ってくるのを見て、アーネスが右手に風を纏い、
「アタシも風属性なのぉ」
リルの魔法をあっさりと弾いた。
「くっ(一か八か、賭けてみましょうか・・・・・・)レナちゃん、あれをしますよ」
「あれってまさか・・・・!」
レナの目が見開かれる。
「そのまさかです」
「無理よ!だってあれ、まだ成功したことが・・・・!」
「やってみないとわからないでしょう?」
慌てて反対しているレナにリルが微笑みかける。
「!・・・・そうね、やってみないとわかんないね」
「俺もやる!」
いつの間にか復活したガネルもまざった。
「いいですか?」
「もちろん!」
「いつでもいいぞ!」
リルは全員に確認したあと詠唱を始め、そのあとに2人が続く。
「―風の嵐よ。我が往く道を塞ぎ立ちふさがる者を吹き飛ばせ―」
「―光の豪雨よ。我が往く道を塞ぎ立ちふさがる者を消し飛ばせ―」
「―紅蓮の炎よ。我が往く道を塞ぎ立ちふさがる者を燃やし尽くせ―」
3人の詠唱が完成した。
「「「合成魔法《風光炎舞》」」」
そして魔法が放たれる。
炎と光が荒れ狂う竜巻がアーネスに向かって飛んでいった。
「ん~、これはちょっと危ないかなぁ」
少し考えたあと、アーネスは行動に移った。
「―大地に吹く風たちよ。我が下に集まり渦と成せ―《竜巻》」
アーネスが放ったのは風の中級魔法。
「殺っちゃえ」
アーネスの中級魔法と3人の合成魔法がぶつかった。
2つの魔法はせめぎあい、そして――――――相殺された。
「な・・・んで・・・・」
消えた魔法に、リルは力が抜けたように座り込んだ。
普通に考えれば、合成魔法のほうが威力は上。それが、中級魔法に打ち負けた。
「驚いたぁ?」
呆然と座っているレナにアーネスが問いかける。
「どうして中級魔法でぇ、最上級並みの威力があった合成魔法を相殺できたか、わかるぅ?」
先生のように説明を始める。
返事がなくてもお構いなしで続けられた。
「それはねぇ、アタシが放った中級魔法がぁ、最上級並みの力を持ってたからだよぉ」
「そんな・・・・・っ!」
「嘘じゃあないよぉ?魔力の込め方1つで初級魔法が最上級魔法にもなるしぃ」
「っ・・・・!くそぉっ!!」
絶望的だった。今の3人では絶対にかなわない。
魔力も、もうない。
「さあて、とどめよぉ。《ダークボール》」
アーネスが闇の初級魔法(威力は上級魔法並)を3つ作り、3人に放つ。
ああ、終わった。
そう思い、3人は目を閉じた。




