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ケモミミ探検記  作者: 白柴える


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9/10

9わん

 

 ――次の日の朝、平和な雄鶏の鳴き声が村に響く。


 コケコッコー⋯


「わふっ、いってきまーす!」


「いってらっしゃ〜い」


 エルママに見送られて、家をとびだすしぃちゃん。

 エルは朝が弱いようで、まだ寝ている。


 ――向かう先は、ミュウと約束した依頼の場所。


 ここだ!


 最初にしぃちゃんがエルと出会った森の入り口だった。


「はじまりのもり!」


 木の看板にそう書かれている。


 辺りを見回しても、まだ待ち人は来ていないようだった。



 ⋯⋯



「ミュウちゃんまだ来てない⋯⋯」



 ⋯⋯



 待つこと数分⋯⋯




「わふぅー」




 じれてきたしぃちゃんはくるくる回ってみる⋯⋯





 ⋯⋯




 待つこと数分⋯⋯




「来ないなぁ⋯」




 しぃちゃんなにか間違えたかなぁ⋯⋯

 キューがくれたメモを見てみる。


「はじまりのもり⋯⋯にし?」


 看板には「はじまりのもり」とだけだった。


「⋯⋯わふ、もしかしてここじゃない?」


 しぃちゃんは、昨日エルが言ってたことを思い出す。


『――はじまりのもりは西と東で入口が違うから、気をつけてね』


 ⋯⋯


「わふ?!しぃちゃん、間違えたかも?!」


「合ってるわよ」


 長い黒髪を揺らして颯爽と現れたのは、黒い猫耳に黄色い目のミュウだった。


「わふぅ、よかったぁ」


 安心して、うるうるするしぃちゃん。


「⋯⋯遅れて悪かったわね

 猫族だから、朝は弱いのよ」


 またもや、バツが悪そうな顔。


「しぃちゃん、大丈夫!」


 対する満面の笑みでしっぽをぶんぶん振るしいちゃん。


「じゃ、行きましょうか」


「わふん!」


「今回はCランクの魔物ロックボアを15匹狩る依頼よ。農作物を荒らされて、村人が困っているようね」


「しぃちゃんがんばるっ」


「そ、私の邪魔はしないでよ」


「わふっ!」


なんだか凸凹な2人。



 ――



 森を進んでいくと、ロックボアの足跡を見つけた。


「まだ、新しい。近くにいるかもしれない」


「くんくんくんくん」


「⋯⋯何してるのよ」


 地面に鼻を近づけて匂いを嗅ぐしぃちゃん。


「わふっ、匂いを嗅いでるの!こっち!」


「へー便利ね」


 しぃちゃんの鼻を頼りにロックボアを追跡していく。



 ――



 ほどなくして、ロックボアの群れを見つけた2人。

 大きなイノシシのような見た目で、背中や牙にはゴツゴツした岩がついている。


「――いちにさん」


「12、3匹ってところかしら」


「わふっ」


キンッ


何もないところから、水色の剣を出したミュウ。


「わふ?!ミュウちゃん、すごーーい!」


「――ちゃん?!!」


フレンドリーな呼び方に驚くミュウ。


「⋯⋯こう見えて魔剣士。

ロックボアは土属性。弱点は水や木属性ってことだけ教えてあげる」


シュッ


そういうと音もなく、ロックボアに近づき切り裂く。


「ピギッ?!」


急所に当てられ、反撃する間もなく倒れた。


「みずぞくせい?

わかんないけど、しぃちゃんもがんばる!」


素早く駆けていき、追い立てる。


「わゔゔぅー待てー!」


「ピギィー!」


驚いて向かってくるロックボア。


「がぶ!」


足に噛みつくしぃちゃん。


「ピギィィ?!」


痛みに驚いたのか振り払われて、おでこをぶつけたしぃちゃん。


「きゃんっ!うぅぅ、痛いぃ

しぃちゃん怒った――しょうかん!」



キラッ



キュキュッ



「ばっちぃブタさんには、

しぃちゃんも嫌いなお水!」


――パパが車洗ってるときに、間違って少し当たってすごい痛かったやつ!


しぃちゃんは両手に大きな水圧ホースを2つ持っていた。




ジャーーーッ




「ピギィ?!」




大量の水を噴射されて倒れた。



「ピギィィィーー⋯⋯」



たしかに水に弱いようだ。



「もっとかけちゃうわん!」



バタバタと倒れていくロックボア。



「やったーしぃちゃんの勝ちー!」



気づけば、しぃちゃんの周りは倒れたロックボアと水たまりだらけだった。



「⋯⋯やるじゃない、でも何その武器は」



「わふんっ」



両手にホースを持って、誇らしげなしぃちゃん。


ミュウもあらたかた片付けたようで、仕留めた獲物を確認している。


「あと数匹で依頼達成ね」


「わふっ」


「とりあえず、このロックボアたちは討伐の証拠として、牙だけとっていくわ」


ミュウは手際よく牙を切り取って、袋に入れていく。


「ミュウちゃん、すごい」


じーっと見つめるしぃちゃん。


「⋯⋯それはどうも」


相変わらず、つれない態度だった。


「素材は私が切り取ったんだから、荷物はあなたが持って」


「わふっ、わかった!」


大きな袋を背負ったしぃちゃんとミュウはまた森の中を歩きはじめた。


「あと、2、3匹⋯⋯足跡もあまりないわね

どこにいるのかしら」


「くんくんくんくん」


しぃちゃんは追跡のスキルで匂いを辿る。


「こっち!」


駆けていくしぃちゃん。

追いかけるミュウ。


「ちょっと、待ちなさいよ!」


しばらく歩くと、少し開けた場所にでた。


「くんくんくんくん⋯⋯

この辺なんだけどなー」


「――あそこ」


「わふっ!」


よく見ると、奥に草と岩で覆われた穴が数個見えた。


「ロックボアの巣ね」


「中にいるかな?」


「さぁ、ちょっと脅かしてみましょうか」


ミュウが手をかざすと、水の剣がすっと飛んでいく。


「ブギィィィ」


中で鳴き声がした。


「しぃちゃん、見てくる!」


中に入ってみると――




「――小さい?!」


先ほどのロックボアよりも、だいぶ小さな瓜坊が3匹、うち1匹は先ほどの剣で倒されていた。


「子ブタがいたんだ⋯⋯」


プルプル震えながら、もう1匹を守ろうというのか、1匹は前に立っている。


「⋯⋯プッププップギィ!!」


なんだか、かわいそうだった。




「ミュウちゃん⋯⋯

しぃちゃん、なんかかわいそうになった」


しゅんと耳としっぽが下がるしぃちゃん。


「⋯⋯――それが自然の摂理よ」


水の剣を出し、無常にふりかざすミュウ。



ガキンッ



水圧ホースで受け止め、立ち塞がるしぃちゃん。



「――言ったでしょ、邪魔しないでって」



つづく


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