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わたしのドラゴン、ドラドラ(ロングバージョン)  作者: 群乃青


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13/18

いたいのいたいの とんでいけ

「二人とも泣かないで。大丈夫よ。私はおようふくのお直し屋さん。つまり、ぬいぐるみのお医者さんでもあるのよ」


 ハナコさんが ひょいって ぼくをだきあげた


 マリちゃんと おにいちゃんは

 すっかり しょんぼりしちゃって

 ママが ふたりまとめて ぎゅーっ


「大丈夫。ハナコさんは腕利きだから、ドラドラのけがも、きれいに治してくれるわよ」


 いっしょうけんめい ふたりのせなかを よしよしして

 マリちゃんと おにいちゃんは ママのくっつきむしに なっちゃった


「ではでは、はいけん。……あらまあ」


 え?

 ぼく もう だめなの?


「翼がとれちゃった原因は、引っ張り合いだけじゃないわ。もともと布が傷んでいたみたい」


 ハナコさんは ぼくの つばさのつけねを やさしくなでた


「ポツポツ穴が開いているのよ。うーん。何か突き刺さったあとって感じの……」


 ハナコさんの しんだんに

 ママが ぽんと てをうった



「そういえば、ちくわさんがよく、ドラドラをくわえて運んでいたわね」


 みんなが いっせいに ちくわさんをみると

 ちくわさんは ふいって そっぽをむいた


「もともと、やわらかい布で作られた翼だったのが、原因なの。お兄ちゃんも、マリちゃんも、ちくわさんも悪くないわ。今度はね。ちくわさんに牙に勝てるような、とても丈夫な布でおなおしするわね。私に任せて!」


 ハナコさんのあかるいこえに

 みんな ちょっと げんきになった


 それで おにいちゃんが

 マリちゃんと ぼくに あやまった


「ごめん……なさい……。ぼく、マリがうらやましかったんだ。だって、ドラドラはおばあちゃんがマリのために見つけて、おたんじょうびおめでとうって連れて来たでしょ」


 おたんじょうびなのに

 やくそくしたのに

 おばあちゃんが こなくて

 おばあちゃんからの おくりものも なくて

 すごく すごく さびしくて かなしくなっちゃったんだって


 うん

 ぼくも きっと みんなも 

 さびしくて かなしかったんだ


 おばあちゃん ほんとは くるんじゃないかなって おもったのは

 たぶん

 ぼくだけじゃ なかったんだ


 みんなみんな おばあちゃんが おくりものたくさんかかえて

 ケンちゃん おたんじょうびおめでとうって とびこんでくるんじゃないかって

 おもったんだよね


 だって

 きょうは やくそくのひだもの

 ひゃくとさんかい おはようって ごあいさつしたんだもの


「ぼく、おばあちゃんから、おめでとうってしてほしかった」


「ケンちゃん……」


 ママは

 おにいちゃんをおひざにのせて ぎゅーってした

 おにいちゃんはしばらく ママにかおをうずめて じっとしていた


 いたいの

 さびしいの

 かなしいの

 とんでいけ


 おそらの かなたへ とんでいったかな




 それから おたんじょうかい やりなおし


「じゃあ、おばあちゃんの代わりに、私が何かもう一つ縫ってあげる。ケンちゃん何がいい?」


 ハナコさんが おにいちゃんに おくりもののついかを ていあんした

 ほんとうは サッカーのおけいこようの かっこいいリュックサックを 

 おにいちゃんのために ぬいぬいしてくれたんでけどね

 こんかいは トクベツなんだって


「え? いいの?」


 おにいちゃん そくざに こたえたよ


「おれ、シロナガスクジラがほしい!」


「シロナガスクジラ……?」


「うん! 原寸大!」


 ハナコさんとママが めをまるくしていたよ

 びっくりしたんだね


 それで シロナガスクジラって なに?


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