後編、まで、夢
不安があった。アイツらが居るかもしれない道を通ることが。後を追いかけるのも不安、出くわすのも不安。
今に至る、自分が名付けた『過去吸』に対する不安。
「過去吸も別に良いんですけど、別称増やしたりしません?アイツなら上映者みたいな。」
「別に良いですけど、後々恥ずかしくなるかもしれませんよ。」
こうして話している間に事が進む不安。上映者は紐を
手繰り寄せるように手を動かし、自分の方向に手を向ける。
「あっまず…。」
何かが頭から抜き取られ…た…
「……て、起きて…、起きてくださいよ!」
日はまだ落ちていない。終わりが早かったのか。
「ん゛、どうなったんですか。」
「従業員さんから鍵を盗ってったみたいで、案内所の方に行きました。ある時点まで過去を見ていたんですけど、モーちゃんを見た時点で行ってしまって。」
モーが目的で向かったのか?モーだけ2回観たくなるほどに、しかし…。
「動物の過去も見られるのか、それともモーが思った以上に特別だったか。急いで帰らないと。」
兎ハ普通種ニヨッテ様々ダガ基本短命ダ。ダガアノ兎ハ数百年以上生キテイルトイウ。嘘デモ構ワナイ、兎ノ過去ガドレダケ平凡デ有ロウト、ヨリ過去ノ景色ヲコノ目デ観ラレルノナラ、ソノ過去モ我ノ過去ノ一部ニ。
「オォ、数百年生キタトサレル兎ヨ!サァ、アナタノ過去上映ガ開始ダ!」
「遅かったか…。」
閉めていた案内所は素手に開けら後であり、モーの姿はなかった。
「…あれ、でもここで見る訳じゃなかったんですね。」
「何処か安全な場所で見るんでしょう。」
敵の戻って来る場所で見るなんて、ただの馬鹿…ん。
音がした。普通は出るとは思えない程硬く重い音が聞こえて外に出る。そこには、少しボロボロになった過去吸と、兎の顔をし、胴体が人らしき何者かが立っていた。
「オォ…アナタハナントイウ特別ナ存在ナノカ…モーヨ!」
「えっ、あれがモーちゃん!?」
上映者が確かに言ったモーという者は、顔は、
「顔は兎で、めちゃくちゃ触り心地の良い毛並みに、人の胴体、オーバーオール(ちょび尻尾)に、麦わら帽子(耳隠れ)、パイプホーク(武器?)、ついでにオスで去勢済み!夢で終わらせるには惜しいてんこ盛りだな…。」
最後の情報…。
「コウナル事ハ想定ダッタガ、エンディングハ今ジャナイ。」
そうこうしてる間に上映者はさっきとは違うように手を構えた。
「爆破、「案内所に一回戻れ!」開始。」
道に沿って爆発していく。
「あぁっ、モーちゃん!」
「終了。」
我ノ手法一ツ。我ノ過去カラ出来事ヲ引キ出シ再現スル。
「勿体ナイ、勿体ナイ。生物ノ再現ハ出来ナイトイウノニ、消シ炭ニシマッテハ。ダガ、偶ニハ未来ヲ観ルノモヨイ…グッ゛!?」
見エナカッタ…兎ノブキガ…顔ニ…
(ナントイウ…速サデ…投擲ヲ…)
ワ…レハ…ミラ…イ…ニ…
「モーちゃん外ですよ!外に出ないと!」
「爆破も終わったし一旦外に…ん?」
爆風の中から駆け寄って来る小さな影が見える。
「あっモーちゃん!」
「あれっ、じゃあ…。」
爆風が晴れる。外にはパイプホークが顔に刺さったまま回されたような痕が残った上映者が仰向けに倒れていた。チョンチョン…うん。
「死んでるー!やったー!」
「ぅゎ、でもまぁ終わりましたね。」
今日もまた色んなもの見た。普通の兎、それから…色々見た。これからもあんなものを見る生活が続くのか不安だけど、夢を見るなら明日がある。そう思ってまた起きて修学所に向かう。でも本当に夢だったのか。
「魔改法越、夢睡惜終。」
この出会いは夢、また不安が一つ消える。ヤツらは夢には出来ない、大昔からの存在。見えない不安と、自分は生きていきます。




