造り者の見る夢 共通①
――声が聞こえる。
「起きているかミレアレス」
「……おはようございます」
初めて目を覚ました私はシュバルツ博士に作られた人造人間だった。
――名を与えられて2年になる。
彼が教えてくれる人間の事を知りたくてたまらない。
「いただきます」
私は博士の作ってくださった夕飯のミートボールを口に入れる。
「なあミレアレス、急で悪いのだが」
「博士、私は貴方のお作りになった玩具です。気を使われる必要は……」
私は博士に作られた人造人間なのにへりくだるといつも博士は眉を下げ困ったような表情になる。
「――お前は明後日から学校に行くんだ」
「学校、つまり十代の人間が通う学びの場ですか?」
博士は苦笑いを浮かべながら頷いた。
――私は明日から通う学校の場所を前日のうちに把握すべく家から地図を頼りに歩く。
「ここが学校……う……!?」
急に頭が痛みだして、同じ衣服を着た知らない集団と沢山並ぶテーブルの風景が浮かぶ。
「なんだ……今のは……」
場所へ無事に着いたので、あとの課題は明日からの学校生活だ。
人間と普通に接することが出来れば博士は満足するだろう。
「転校生がくるってさー」
「へー」
人間達が私について噂をしている。
「あ、あの子じゃない?」
「後ろ姿は美人だな」
私は博士と共に校長と話し、先生に連れられ教室に入る。
「花菱イズキです」
「皆ー仲良くしなさいよー」
――私が転校生だから仲良くするの?
「席は大日川の隣な」
「私は爽奈、よろしくね」
彼女はおとなしそうな美人だった。
「ええ、よろしく」
――微笑んだつもりだが、私はちゃんと人間のように笑えただろうか?