第81話 ▶紫毒塗料
「注目のDランク、二番手は我孫子真津璃氏ですな! からくりをあまり多用しないスタイルをここまで取っていますが、果たして拓郎氏の矢を攻略できるのでしょうかな? 期待ですぞ!」
「……ふう」
真津璃は指定された位置につくと、弓を降ろした拓郎を一瞥。ゴシップの方に目をやった。
「準備はよろしいようですな。それでは、レディー……ファイッ!」
晴天のもと、ゴシップが吠える。
第二戦。真津璃と拓郎の闘いが始まった。
「『ロビンフッドの悠弓』!」
「……ッ」
なんだなんだ、開幕から飛ばしてきやがるぞ。さっきの肉弾戦とは違い、飛び道具がメインであるからか。拓郎の攻撃にも迷いがない。
「真津璃さん……キミとは戯岩島でお世話になったな」
「え、ああそうだな。リーダーシップを発揮していたから、あんたのことは覚えているよ」
びん、と真津璃の足元に向けて放たれた矢を、やつは危なげなく跳躍して回避。少しずつ距離を詰めていく。
拓郎は自嘲めいた笑みを浮かべた。
「リーダーシップ、か。嬉しいことを言ってくれる。……ゴーレムの侵攻に遭ったあの時、僕は何もできなかった」
「なんだ、急に? あんたは十分闘ったじゃないか。目を矢で射抜き、あのデカブツの動きを止めたのもあんただ」
「しかし、根本的な解決には至らなかった」
真津璃は言葉に息づまる。
「原因は僕自身の弱さだ。わかっている。だからこそ、もっと強くならないといけない。そうやって強い人のサポートを僕は裏方で行う」
「ふう……頭のいい人は言い回しが抽象的だから好きになれないな。あんたは私に何を求めるわけ?」
「至極簡単、僕が強くなるための踏み台になってほしい。備然と肩を並べるキミを倒すことで、僕はまた最強に追従することができる。栄誉のための礎だ──ッ」
矢継ぎ早に放たれる光の矢を、真津璃は欲張ることなく避け続ける。『紫毒塗料』により、一度でも触れたら全身が麻痺してアウト。神経質になるのも当然だ。
「私はあんたのことを知らない。でも、今の話を聞く限り……拓郎さんはナンバーワンになる願望がないように見える」
「……ナンバーワンになりたくない? ああ、確かにそうかもしれないな。ずっと傍にいたからわかる。僕にとっての一番は、目の前にすでに存在していたのだ」
バックステップで下がりながら、拓郎は矢を射続ける。これまで漠然とリーダーシップに長けた男だと思っていたが……。
「一番……フッ、俺様のことだな」
「お前は大人しく座ってろ」
誰かなんて一人しかいない。
「このランク対抗戦には、多くの強者たちが集う。それらをなべて蹴散らした時、残った僕たちが……備然こそが最強だ」
「備然のためにあんたは闘うって言うのか?」
すみません、寝落ちしてました。
今日中にもう一話アップします。




