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かみさまの落とし子 ~女神様は喪女撲滅活動をはじめました~  作者: 高梨
第一章 異世界で女子力について悩む
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能力を把握しよう!

あんなヤバいステータス見て、恋愛脳になれんだろうと判断。


仕方ない、仕方なかったのです……

 


 とりあえず、もうバレちまったんだし、ステータスを確認しようとなった二人と一羽。


 そうごりかい∞のおかげか、完全に日本語表示のステータスを理解しているオプシディアンは、フローラとハイネの話を聞きつつ読み進め、疑問に思ったことを口にした。


「フローラは前に鑑定されてるんだよね?」


「うん。たぶん二歳のとき?」


「そうだな。でもそれよりも前から神官は来て、鑑定かけてたぞ。ただ、ヘラ様の加護が見えるやつが来たのが二歳だった」


 当時からしっかり自我もあったハイネによると、フローラが生まれて数ヶ月で村の作物がグレードアップして、慌てた両親が村長と話し合い、比較的大きな村の神殿に在住の神官に相談。


 神官は幸を呼ぶ赤子を落とし子だろうと考え、慌てて村へ来てフローラを鑑定したものの、ごちゃごちゃした文字らしきものしか見えない。

 ただ、鑑定をかけると明るい光で照らされるようにも感じたらしい。これを神聖なものを垣間見たと判断し、自分より位階の高い神官ならばもっと見えるだろうと使いを出し、これを新たに村へきた神官が延々リピート。


 僻地のため都合のつく神官がやたらにはいないため、数ヶ月越しに村に神官が来ること、フローラ二歳まで。


 合計、二十六人の神官が村に来ていた。

 途中から数人ずつまとめて来ていたため、人数が増えたらしい。


 最後の二十六人目がやっとヘラ様の加護を確認して、フローラ落とし子確定。



 最後の神官に鑑定結果はどんな感じか、ハイネは抜かりなく聞いていた。

 それによると、白い光は感じた。ヘラ様の加護と、孔雀の加護も見えた。それ以外はごちゃごちゃした文字っぽいなにかがあり、その中に一部整然と並ぶ理解できない文字らしきものが見えた。


 見えた文字を思い出して書いてもらうと、日本語っぽかった。

 みみずののたくったような文字だが、どうにか〔人〕、〔とし子〕と読め、理解しきれなかった残りの文字を考慮すると〔村人〕、〔女神の落とし子〕と書きたかったと推察できたようだ。



「つまり、高位の神官でも職業しか見えなかったのか……」


 オプシディアンが言うには、この世界、人物を最低能力で鑑定すると、基本的に〔第一職業〕と、あれば〔称号〕が見えるらしい。

 フローラでいえは職業〔村人〕、称号は〔ヘラのいとし子〕あたりだろうか。


 鑑定能力がある者が自身を見ると〔名前(名称)〕〔年齢〕〔所属地〕〔第一職業〕〔第二職業〕あれば〔称号〕〔加護〕が見える。

 自身の鑑定は比較的見えやすく、ある程度自分を鑑定し続ければ、なんとなく〔スキル〕がわかるようになるらしい。


 対人鑑定は、中位の鑑定でやっと〔名前(名称)〕〔第二職業〕〔所属地〕〔加護〕も見え、高位になると〔第二以降の職業〕〔年齢〕、強い〔スキル〕が見えるようになり、どことなくその相手の傾向がわかるようになるようだ。

 占い師みたいに、あなたはこの才能がありそうですよ、あなたはこの精霊に好かれているようですよ、と。なんとなくだがわかるらしい。

 高位の鑑定スキル保持者に自分の才能について相談する者も多いという。


 ちなみに〔第一職業〕は誰にでもあり、所属地によるもので、〔村人〕〔町人〕〔市民〕〔都民〕しかいない。

 王族すら〔都民〕扱いらしい。



 知っている知識を得意気に話すオプシディアンにこの世界の常識を教わり、フローラは元々だったが、ハイネも常識知らずだと判明した。


 この世界に生まれ落ちてすぐ、己の能力を把握していた神鳥、当然のようにハイスペック。

 鑑定すれば当たり前のように他者の名前から職業・スキル、加護や称号も見えていた。


 だからこれが鑑定の能力だと思い込んだ。


 唯一の例外がフローラで、基本情報に大まかなスキルや加護・称号が見えたが、なんかまだありそうな雰囲気は感じてモヤモヤしていたようだ。



 あと、オプシディアンいわく、他者・自身を問わず鑑定しても、スキルや加護は強弱がなんとなくわかるだけで、明確な数値表示はされないらしい。

 まして、基本能力値があるなんて考えられてもいないようだ。


 あるとわかっていたら、みんな血眼になって鑑定しまくっていだろう。生まれながらに才能のある子が簡単にわかるし、自分の向き不向きもわかりやすい。

 魔力・心技力の値がわかれば1だけ残してうまく運用できるかも知れない。


 能力値の概念を知らなかったオプシディアンだったが、フローラのステータスの魔力・心技力値はこの世界では異常だろう、と言い切った。


 子供がガンガン魔法やスキルを使うのは異様らしい。


「魔法はね、かしこさが関係してるから、たくさん勉強して魔法を知らないと発動しないんだって。あと、スキルは心の強さと技能がいって、器用に体が動かせないとうまく発動しないから、子どもが使うのは危ないって先生が言ってた」


 貴族の子息らしく家庭教師のいるオプシディアンは、教わったことを懸命に話してくれた。

 自分が先生になったみたいでちょっと得意気なのがほほえましい。


 しかし、子どもに自分達がいかに物知らずで規格外か思い知らされた、一人と一羽。

 まだ浮かぶフローラのステータス画面の前でOTZポーズになった。


「ヤバいよヤバいよ……」


 日本の某リアクション芸人のようなことを言い出したフローラ、半泣きである。


 地面に向けて唱えるように呟く幼女と、あからさまに項垂れ落ち込む様子の瑞兆の化身に、自分が言ったことのせいだと慌てるオプシディアン。

 素直ないい子である。


「大丈夫だよ、今知ったんだし。おれも言わないし」


 彼は動揺のあまり、一人称が素に戻っている自覚もない。


「それにフローラはヘラ様のご加護をいっぱい受けた落とし子だろ? すごいのは当たり前だし、そちらの……お鳥さま?は、ヘラ様の象徴だから、きっとすごくて当たり前だ!」


 小学校低学年男子に懸命に慰められる享年二十八歳と、神鳥の一部。

 おかげで、気力も少し戻ってきた。


「……なんかヤバいことになったら、全部ヘラ様の加護ですって乗りきろう……!」


 なんでもかんでも、とにかくヘラ様のご加護ですって言い張ればなんとかなるだろう(希望)。

 とにかく、そう思うことにしたフローラであった。


 さすが精神力の値の高い女……。

 割りきるのは早かった。




次回、


領主さま、再び(猛女付き)


予定です。

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