第二十九話
ふぅ。すっきりした目覚めとは、いかないな。
んー。影の大きさからして、2時間弱眠ったか。
魔力は、どのくらい回復したかな。
能力把握!
魔力 : 8/25 6魔力回復。
日が暮れるまでに、何をするか。
体を起こして、マイを見る。
縫い物をしているようだ。今縫っているのは、巾着かな?
「マイ、何もなかった?」
「アルさん!気分はどうですか?顔色はよくなってますね。」
「大丈夫、十分休んだよ。マイは出来た?」
「はい!今までは、針目が真っ直ぐにならなかったんですけど、スキルのおかげで、真っ直ぐ縫えてます!布が重なるところも、指貫があったので、大丈夫でした。それで、アルさんのも1個作ってみたんですけど・・・みてもらって、いいですか?」
「え?作ってくれたの?マイのは?」
「私のも2個作りました。これです。アルさんのはこちらです。今は、小さな袋を作ってます。」
寝床はそのままに、テーブルに向かう。
マイに示されたほうを、手に取る。確かに、針目も均一で、真っ直ぐ縫えている。・・・スキルってすごいな。これなら、マイは針仕事もできる。
絵も描けるようだから、デザインしてパターン作って、縫製まで一人でできるようにしたほうがいいな。やる気もあるし、基本的なことは、すぐに出来そうだ。
あとは、装飾ができるようになれば、町での生活は困らないだろう。
腰にまわして、紐で結ぶ。丁度いい。
「マイ、ありがとう。ぴったりだよ。」
「あのっ、よければ、もう一つ作ります。」
「お願いしてもいいの?自分のを作ってていいよ?」
「大丈夫です。小さな袋はこれが最後です。生地はみんな使いました。」
「じゃあ、お願いします。・・・日が暮れるまで、たぶん三時間ぐらいだと思う。夕食の準備もお願いしていいかな?」
「はい!あと一時間ぐらい・・・影の長さがこのぐらいになってから作れば、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うよ。その間に、結界の強度確かめてから、結界張りなおして、1kmぐらい進んでみようと思うんだ。マイ、一人で留守番、大丈夫?」
「えっと・・・今からですか?」
「1kmの往復なら、1時間もかからないと思う。この靴で、森を歩けるのか、試したい。靴の裏は滑り止めがないような状態だから、これで森の中を歩けるか確認しておきたい。無理そうなら、木でスパイクピンを作るとか、対策立てないとね。足を痛めてしまったら、それこそ移動できなくなるよ。」
「あのぅ、1kmってどうやって測るんですか?」
「糸を1km分巻き取って、それで、距離を測ろうと思う。私、1mはメジャーなくても測れるんだ。大体の距離がわかったほうが、精神的に落ち着くし。」
「結界の強度は、どうやって、確認するんですか?」
「まずは、物理的に、トイレの壁にした木を投げつけてみようかと。なんともなければ、塩の道に出ても、安心できるでしょ?新しい結界は、私とマイ、あとは・・・触れている物を、出入り自由で張ってみる。今だと、外から防ぐ代わりに、中からも出れないから。マイも結界に触ってみて。出れないことを確認したい。」
マイが立ち上がり、結界の傍へ行く。恐る恐る、結界に触れる。
「ホントですね。結界で止められてしまいます。」
「今できる一番頑丈な結界だよ。ちょっとそこにいてね。反対側で、木を投げつけてみるから。」
トイレの壁から一つ取り、構える。
「いくよ。せい!!」
ゴオォォンン
木が跳ね返った。結界はびくともしない。木のほうは・・・亀裂が出来てる。糸の材料にしよう。
「マイ、多少の攻撃は、問題なく防げるから、万が一のときは結界から出ないようにね。焦って飛び出すほうが、危ないからね。」
「わかりました!」
「じゃ、一回消して、張りなおすね。そこにいてね。」
「はい。」
結界を消す。問題なくできた。
次は、同じ大きさで、私とマイと触れてる荷物は出入り自由な結界をイメージする。
結界!
ふむ。出来たな。結界に近づき触れる。そのまま腕を伸ばす。外に出た。そのまま全身で、結界をすり抜ける。今度は外から中へ入る。
「マイ、そこから外に出て、中に入ってみてくれる?」
「はっ、はい。」
マイが結界に手を伸ばし、そのまま一歩進んだ。さらに進み、外に出る。こちらに向き直り、中に入る。
「マイ、どうかな?大丈夫?」
「大丈夫です。危なくなったら結界の中に入れば大丈夫ですね。」
「絶対じゃないけどね。過信は禁物だよ。あくまで、中級だから。外から攻撃してみるね。」
「はい。」
木を担ぎ、結界の外に出る。
構えて、思いっきり投げつける。
ドゴオォォンン
結界はなんともない。木は割れた。あとは、魔法か。
割れた木を結界の中に、入れておく。
「マイ、こっちにきて、水魔法をぶつけてもらえないかな?」
マイが駆け寄ってくる。
「アルさん、水魔法ですか?」
「魔法の攻撃にも耐えれるか、確認しておきたい。水魔法の最大で・・・水のボールをぶつけるようにしてみて欲しい。LV5とLV5ならどうなるのか、見ておきたいんだ。」
「わかりました。水のボールをぶつけたらいいんですね。」
「ちょっと下がろう。思いっきり、やってね。」
マイと一緒に、結界から距離をとる。
「いきます。」
マイの前に直径1mぐらいの水の球体が現れた!
「真っ直ぐ、飛んで!」
水球が結界へ飛んでいく。ぶつかった!水が飛び散る!!マイの腕を引き、木の陰に入る。・・・水魔法ぶつけるときは、もっと距離をとらないといけないな。
結界は・・・少し揺らいだ感じがしたけど、今ぐらいの威力なら、数回は問題なさそうだ。
LV5でも威力は使い方次第で上げれそうだ。ということは、結界のLV5は時間をかければ、破られるな。
「マイ、結界は揺らいだけど、一回なら問題ないみたい。どのくらいの耐久性があるかは、落ち着いてから実験しよう。物理攻撃にも、魔法の攻撃にも耐えられるってわかったから、ちょっと安心したよ。協力ありがとう。」
「私も結界の中が安全だってわかって、安心しました。」
「じゃあ、準備したら、ちょっと行ってくるね。」
「気をつけて下さい。何か用意するものありますか?」
「水筒の水漏れないか、確認お願いしてもいいかな?」
「わかりました。」
結界の中に戻り、寝床にしていた糸を巻き取る。両手を広げ1mの幅で巻いていけば、500回だ。
距離がわかるように、明日も1km単位で巻き取ったほうがいいな。
「アルさん、水筒は大丈夫です。一つでいいですか?」
「一つでいいよ。ありがとう。」
ふぅ。巻き取れた。
「マイ、鋏いいかな?」
「今使ってません。水筒と一緒に持って行きます。」
マイから、鋏と水筒を受け取る。
「生地切り難くなかった?」
「ちょっと時間はかかりましたが、出来ました。裁断用の鋏とか売ってるんでしょうか?」
「鋏はあると、思いたい。服が作れるんだから、あると思う。この鋏も、糸を切るとか、紙を切るのは大丈夫なんだけどね。」
「紙も切れるんですか?」
「切れるよ。子供用の木の鋏を知っていたから、作れると思ったんだ。」
糸の準備はできた。ショルダーバックに水筒を入れる。あとは、手ぬぐい。1kmならこれでいいか。
「マイ、準備できたから、行ってくるね。1時間ぐらいで戻ってこれると思うから、あとお願いね。」
「はい!気をつけて行ってきてください!」
「行ってきます。」
結界を出て、進行方向の木に糸を巻きつけて、きつく結ぶ。これで、外れない。
ショルダーバックを斜めに掛け、糸の輪に手を入れ、肩に担ぐ。よし、行くか!




