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第二十一話

 木製の商品。・・・小物がいいな。行商するときに嵩張らない。

 水筒だけではなく、ねじ巻き式の蓋付容器を大きさを少しずつ変えて、入れ子式で収納すれば・・・主力商品になるか?

 靴下も、余分に作って売れるようにしておこう。後は、柔らかい糸を作っておくか。靴下を編みたい。

 作った椅子はどうするか・・・次の拠点までは、持って行こう。荷車に積めそうだったら、持っていこう。売ればいくらかには、なるはず。

 椅子をみせて、木工の職人といえば大丈夫だろう。



「アルさん・・・あの・・・」

「マイ、纏まったの?」

「はい。アルさんの言ったこと、考えました。・・・まだ、実感がわかないんです。・・・でも、アルさんが考えて、言葉を選んで、わたしが少しでも理解できるように、してくれているの、わかります。・・・ひどいことされている人を見て、落ち着いていられるかわかりません。でも、言葉に出さないようにします。否定するのではなく、なぜなのか考えるようにします。これから先のこと、まだ全然考えられないけど・・・わたしも、・・・帰りたいです。」

「わかった。・・・私も落ち着いて対処できるかは、その時にならないとわからない。でも事前に想定して準備しておけば、なんとかなるよ。もうここは日本じゃない。日本の常識で感情のままに、動いてはならない。忘れないでね。」

「わかりました。」


 まだ、ちょっと不安そうな表情をしているが、思っていたよりも、時間はかからなかった。

 残りの説明をしてしまおう。


「マイ、説明の続き、いいかな?」

「はい。お願いします。」

「スキルの熟練度についてだけど、昨日寝る前に“能力把握”を鑑定してみたんだ。スキルが表示されているから、熟練度でないかなって思って。でも、発動しなかった。なので、現時点で熟練度については、確認する手段はない。ただ、スキルごとに必要な熟練度は、違うと思うし、レベルごとでも違うと思う。要はレベルが上がるほど、必要な熟練度は高くなる。ここまでで、何かある?」

「ぅ・・・ん。ないです。」

「説明はこれくらいにして、今後について打ち合わせしたいけど、大丈夫?」

「はい。大丈夫です。」


「まず、塩の道を見つけて、食料の補給と情報収集をする。その際には、私たちが不審に思われないようにしないと。マイと私の関係をどう説明するのか。なぜ、ここにいるのかということもね。

 で、考えたんだけど、マイと私は同郷の者。

 家族と死別し、隣だったので、世話をすることになった。職人として見聞を広めるために、旅に出ることになり、マイが同行を希望。一緒に旅をすることになった。ってことでどうかな?」

「えっと、アルさんは職人で、旅をするのにわたしが同行して、・・・家族は死んだことにするんですか?」

「死んだことにするんじゃないよ。死別とか、死に別れたって表現でお願い。相手が勝手に勘違いしてくれるよ。自分から死んで転生してきましたなんて、絶対に言わないで。」

「うそつくんですか?」

「嘘はついてないよ。言わないことがあるだけで。相手が勘違いするだけだよ。目の前に生きてる人がいて、家族と死別したって聞いたら、普通は家族のほうが死んだって思うからね。・・・マイ、身を守る手段として、こういうことも覚えて。嘘をつけば、綻びがでる。だから、最低限の情報だけで、相手の思考を誘導したりするんだ。こちらに不都合な説明を省いてね。今はできなくても、これから出来るようになろうね。 


 私たちは、ここでは得ることの出来ない知識を持っている。権力者がそれを利用したいって思ったら、私たちの扱いはどうなると思う?身分制度がある国なら、奴隷にして個人所有にして、他の人間が利用できないように、自分だけで独占しようとするんじゃないかな?一人でもそういう人が出てしまえば、転生者狩りが始まる。だから、転生者と思われてはいけない。いいかい?」


「わたしたち、奴隷にされるんですか?」

「その可能性があるってことだよ。転生者の存在を知れば、反対に高待遇で扱うから、わが国へって場合もあると思うよ。その場合は、警護という名の監視がずっとある状態になるだろうね。私は、どちらも嫌だ。だからどちらの場合でも、従うつもりは無いよ。全力で逃げる。最初にたどり着いた場所の居心地が悪ければ、食料の補給をして、すぐに出よう。暮らしやすい場所を探そう。すべての国に、ガチガチの身分制度があるわけではないだろうしね。」

「そうならないように、最初に対応しておくってことですか?」

「そういうこと。考えすぎと思うかもしれない。だけど、出来ることは全部して、安全を確保したい。これが私の方針。」

「わかりました。アルさんのいうこと、ちゃんと守ります。わたしとアルさんは、同郷で、家族と死別して、お隣だから面倒みてもらえてて、アルさんが、修行の旅にでることになって、一緒に行きたいってお願いして、旅をしている。これでいいですか?」

「それでお願い。それ以上の情報は相手に与えないようにね。個人的に深く聞いてこようとするなら、どうしてですか?って言ってみてね。相手をよく観察して、なぜ情報を引き出そうとしているのか、考えてね。」

「わかりました。やってみます。」

「一番いいのは、道を見つけて、商人とかと少人数で接触できること。そこで情報を得て、最寄の町なり村に向かうことができれば、より安全だよ。

 入場料とか関税とかあるかもしれないし。・・・この話は後にして、先にお金について考えよう。」


「お金・・・」

「私たちは、畑を持っているわけでも家があるわけでもない。生活にかかわる全部の物を、お金で買わなくてはならない。この状況で、お金を得ようと思えば、商売しかない。自分で物を作って売るか、物を仕入れて売るか、どちらかで収入を得ることができるようにならないと。マイは一年生活できる分は、持っている。でもそれが、無くなった時、どうするの?無くなってからでは遅い。それに、スリに盗られたり、失ってしまったら、どうする?今から準備していかないと。

 全財産、持ち歩くことになるから、保管方法も考えないと。分散して持つんだ。下着に縫い付けたりしてね。」

「あっ、そうですよね。持ち歩く・・・一年分も、危ないですよね。銀行とかもないんでしょうか?」

「わからない。情報収集してみないことには。当面は持ち歩くことになるのは、確定だけど。それもあって、行動を別々にしようと思ったんだよ。マイの準備が必要だ。幸い、糸を作れるようになった。生地にするから色々作ってほしい。」

「わかりました。裁縫のスキル取ってあるので、使ってみますね。」

「日本でも、得意だった?」

「いえ・・・料理は好きだったんですけど、美味しいって言ってもらえてたんですけど、裁縫は・・・上手に出来なかったんです。」

「スキルってね。たぶん使い方がわかって、使えるだけで、使いこなすのはまた別の問題だと思うんだよ。だから、使いこなせるように練習しようね。うーん。どう説明したものか・・・例えば、ウエストポーチを作ろうとする。どんな大きさにして、ポケットはどこにするかとか、設計がまず必要だよね。で、どんな縫い方があるのか。この場所は丈夫にするために、本返しで縫うとか、ここはまつり縫いにするとか。こういうことがわかっていれば、使いこなすことができると思うよ。」

「・・・わたしも、使いこなせるようになりますか?」

「練習すれば、出来ると思うよ。一つ一緒に作ってみようか。次は自分で考えてみたらどうかな?裁縫で商品が作れるようになれば、売ることも出来ると思うよ。町なら、裁縫の仕事もあるだろうし。お金を得る、一つの手段を持てるよ。」

「わかりました。頑張ります。」



 不安な雰囲気がなくなったな。やはり目標を持たせるのが、いいようだ。

 あとは・・・私の方針もここで、伝えておくか。


「マイ、私は転生した人たちを探すつもりは無いし、接触するつもりも無い。もともと、一人で乗っていたし、知り合いがいるわけでもない。拠点を決めるまでは、あちこち行ってもいい。私が拠点を決めた後、マイはどうする?探したい?

 一人で探しに旅立つか、拠点を決めて会えるのを待つか・・・その時には、どうするか決めてほしい。」





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