第十九話
「まずは、説明されたことから、纏めよう。この世界は、魔法があるファンタジー世界に似ている。生活水準は戦国時代から江戸時代、又はヨーロッパの中世に該当。魔法があることが、科学を超える現象を起こしている。
魔力を持った動物を魔物。魔力がないものは獣。あとは、貴族のような特権階級がある場所もある。国として纏まっている場所もあれば、村単位のところもある。戦争してる国もある。世界には複数の言語と種族がある。
要約するとこんな感じかな?他に何かある?」
「・・・無いと思います。」
「では、次に選択部分について。種族については、人口がある程度ある種族のみ対象になっていた。ということは、それ以外の種族もあるってことだね。
スキルについては、これから徐々に、この世界にスキル持ちが現れる。『スキルとは特定の技術に対して、熟練度が一定数になれば世界からの補正を受けれるもので、言い換えれば、補正が受けれるほどの熟練度を得れば、スキルを得ることができる。』ということなので、私たちも新しいスキルを得たり、レベルが上がることもあると思う。そして、LV5は中級に相当する。あとは、転生者だけが使えるのが、能力把握のスキル。一年間、使用できる。これは自分の能力しか見れないし、他人に見せることもできない。ここまではいい?」
「はい。」
「次に、この体のことだけど、『生前の肉体情報をベースにあちらに適合するように肉体を作成する。』って言われたの、覚えてる?」
「えっと、はい。そんなこと言ってたと思います。」
「で、スペックは『数値は選んだ種族の成人の平均値』、性別が選べて、十二人以外はランダムで年齢が決まる。ここまではいい?」
「はい。」
「ということは、マイと私の体の性能は同じということになる。実際、教えてもらった数値は同じだった。・・・要するに、私が持てる重さのものは、マイも持てるし、私と同じ速さで走ることも出来るってことだよ。私の体感として、生前よりも性能は上がっている。自分の体で出来ること、出来ないことを把握してほしい。生前の感覚で判断せずに。いいかな?」
「ええと・・・前は持てなかった重さの物が持てたり、早く走れるようになってるってことですか?」
「そういうこと。後で、マイの三日分の荷物を作るよ。マイからしたら重くて背負えないって思うだろう。でも、背負って移動できるから。これは、自分で体験していくしかないから。少しずつ慣れていこう?」
「はぃ。頑張ります。」
「じゃあ、ちょっと考える時間と書く時間をとろう。説明したところで、疑問に思うこととかあれば、一緒に考えよう。私が推測したことを踏まえて、説明と打ち合わせをしたいんだ。いいかな?」
「はい。わたしも・・・考える時間ほしいです。」
「なら、ある程度整理できたら、声を掛けてね。」
「はい。わかりました。」
ふぅぅ。第一段階終了。
コップを手に取り、水を飲む。美味しい。あの緑色の石は、味にも関係してるのか?魔法の水も飲んでみないと。LV1ならコップ1杯分か。後で試そう。
調査に出る前に、対応の仕方を、マイと打ち合わせておかなくては。スキルはあっても、知識が無いから、調合とかは知られないほうがいい。ある程度できるようになってからだな。
商売も、勝手にさせてくれるとこがあればいいけど。税金は・・・当然発生するだろう。大きな町や国に属するところなら。お金が尽きる前に、商売できるようにしないと。
紙と外側のペンを取る。早速書いてみるか。
インクにペン先を浸け、紙の端に線を引いてみる。ビリィッィ・・・破けた。やっぱり引っかかるか。ビリッ。マイのほうからも音がした。
「硬いほうのペンで書いた?」
「はい。ちょっと書きにくいです。破けてしまいました。」
「柔らかい方で書いてみて。硬いほうは薪にしよう。私もダメだった。」
「はい。」
マイが新しいペンを確認している。
「どうかした?」
「このペン先なんですが、やっぱりひっかかると思うんです。紙が和紙に似てるので、筆ペンみたいに出来ませんか?他には・・・うーん。筆みたいにするとか。どうでしょうか?」
「マイ、ナイスアイデア!早速してみるよ。ペン全部こっちへ。」
マイからペンを受け取る。5本を筆ペンのように、ペン先の繊維を少しほぐす感じでばらさないように。残りの5本はペン先の繊維をばらして、小筆のように。しっかりイメージする。
「マイ、まぶしくなるから目を瞑っていてね。」
「わかりました。」
マイが目を瞑ったのを確認して、念じる。
物質変形!
まばゆい光が収まると、筆ペンもどきが5本と小筆もどきが5本できていた。
「マイ、目を開けていいよ。」
手にとって、確かめる。どちらも弾力があるからいけそうだ。マイに1本ずつ渡す。
「マイ、これ使ってみて。上手くいったと思う。」
「すごいです!ホントに、スキル使うと早いですね!早速、書いてみますね。」
「よろしく。」
魔力を確認する。
魔力 : 1/25 もう少ししたら、回復するだろう。1は残すようにしなくては。
筆ペンもどきを取り、インクに浸す。破いた紙に線を引く。ひっかからずに、線が引けた。円を書いてみる。問題ない。
小筆もどきを取り、インクに浸す。小壺の淵で、余分なインクを落とす。線を引く。同じく引っかからずに、線が引けた。円を書く。インクの適量を見極めないと、起点と終点の差が大きいな。筆に慣れていないと、難しいか?まぁ、書くことはできる。
これで、筆記用具は及第点はクリアしたな。
「マイ、どうかな?書けてる?」
「はい。両方書いてみました。筆ペンタイプのほうが、使いやすいです。」
「よかった。また改良点があれば、アイデアよろしく。」
「はい!」
表情が明るくなった。目に見える結果が出せてよかった。
しっかり考えようとしているが・・・マイは私の方針に同意できるだろうか?
安全のためにも、今のうちに理解させておく必要がある。マイは理解できるだろうか?
考えても仕方ない。これからの予定を立てよう。
マイに推測込みでの説明しつつ、魔力回復を待つ。
適度に休憩を挟む。マイから他の転生者の情報を得る。
マイの未確認の荷物チェック。魔力に余裕があれば、鑑定。
調査に出る前に、森林対策を考える。迷子にならない自信はない。間違いなく迷う。調査に必要な道具作成。袋も・・・小さいリュックを作るか。
塩の道を見つける。最初に二人が向いていた方向を、調べよう。
見つけたら、拠点を移す。荷物の移動。荷車作成。この段階で運べる量に余裕があれば、売れそうなものを何点か用意しておく。
人がいるところを探す。
こんなものかな。こちらの移動距離で3日なら、2〜3倍はかかるとみて、6日〜9日。今日、調査は無理だろうから、明日明後日ぐらいで道を見つけたい。荷物の移動に1日。予定通りにいけば、食料がなくなる前に、たどり着けるだろう。
見つけた場所が、どのような政策を取っているかで、その後の行動を決めよう。落ち着いて滞在できる場所であって欲しい。
マイとの関係を、どう説明するか・・・同郷の者。家族と死別し、隣だったので、世話をすることに。職人として見聞を広めるために、旅に出ることになり、マイが同行を希望。一緒に旅をすることになった。・・・とりあえず、これでいいか。
「アルさん。続きお願いします。」
「了解。」
マイを見る。落ち着いているな。話をすすめよう。




