4 小学5年生の麻子 2
学校が終わると帰る家がないので、真司は桜広場に隠していたタイム自転車(タイムマシン自転車の略称)で、現在に帰ることにした。
過去に渡ったのと同じ要領で桜坂を下りると、難なく現在に戻れた。
過去や未来で何時間滞在しても、タイムマシンの目標の時間に、タイムトリップした時の出発の時間と同じにセットすると、現在の時間は、全く進んでいないことになるのだ。
「ただいま」真司はガレージにタイム自転車をなおし、シートで隠すと、玄関の扉を開けた。
「おかえり、真ちゃん。宝探しはどうだった?」
「うん、まあまあ」
真司は母親への返事もそこそこに、2階の自分の部屋に上がった。
部屋に入ると、真司はベッドに寝転び深呼吸した。
二宮はあんなに元気だったのに……。それにしても、あの女子グループの存在が気になるな。
そう思うと真司は、いてもたってもいられなくなった。真司はベッドから起き上がると、翌日の20X□年4月X日の桜ヶ丘小学校に行こうと思った。
こうして真司は約2週間かけて、20X□年4月の桜ヶ丘小学校にタイムトリップしたのであった。
真司は小林さとしになりきった。本当のさとしが戻ってくるまでの2週間の間に、麻子のあのさみしそうな表情の謎が解くことができるかどうか心配だったが、どうにかつかめたような気がした。
麻子がひとりぼっちになっていく過程は次のとうりだった。真司は何度もかばってやりたいと思うことがあったが、現在の人間が、過去をひっかきまわすのは良くないことだと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で知っていたので、グッとこらえたのであった。




