性能とアルメルフェンド
進化いたした。具体的には、玄武【時空種】と言います。目覚めた瞬間に気づいたのが、360°周囲の景色が見えていることです。亀も蛇も目を向けていない方向も見えているのです。試しに目を瞑ってから周りを見る意識をするとなんと、同じように全方向がはっきりと見えています。ステータスが楽しみですね。ステータス。
---------------------
name: ハルカ・ドウジョウ
race: 玄武【時空種】
level: 1
skill:
『天眼』
『装甲』
『魔の理』
『水の支配者』『時空の管理者』
『異世界の思考』
--------------------
スキル減った!表記もおかしくなってる!なぜ!あれ?でも《鑑定》が使える感覚あるぞ?『天眼』を鑑定してみよう。
《天眼スキル。〈鑑定 空間把握 魔力探知 千里眼 並列思考〉のスキルを消費して獲得。この世のあらゆる所を見ることが可能。魔力消費無し。常時発動。熟練度依存。》
スキルを消費して新たなスキルを作ったのか。でもなんで?
ふとステータスのskillの文字を鑑定してみる。
《個体名ハルカ・ドウジョウが進化をする際にステータス画面が見やすくならないかと心の奥底で願ったため、玄武【時空種】に進化すると同時に表記が一新された。スキルを獲得する度にskill欄のどれかに割り振られる。レベル表記は無く、熟練度に依存する。》
俺のせいか!たしかにここ最近スキルが増えてステータスが見づらくなってきたと思ってはいたが…まあ分かりやすくなって良かったと思おう。
朝からの違和感である360°の視界は『天眼』の能力のようだ。しかもこれからはスキルの魔力消費が無くなるというのがとても嬉しい。レベルもなくなり熟練度を上げていくために普段からどんどん使っていこう。
《装甲スキル。〈咬撃 硬化 機動力上昇 投擲 狙撃 耐性 環境適応 装甲〉のスキルを消費して獲得。攻撃力と防御力を底上げする。魔力消費無し。熟練度依存。》
こちらもいくつかのスキルがまとめられて1つのスキルとなっている。あのビーム砲と一体化した機体化とも言うべき姿にノーコストでなれるようになったのか。熟練度上げのためにも今から使っていこう。
《魔の理スキル。〈魔力支配 魔力自動回復〉のスキルを消費し獲得。魔力という分野において他の追随を許さない。》
《水の支配者。〈水魔法 氷魔法 遠泳 速泳〉のスキルを消費し獲得。水に関する全権限を持つ。》
《時空の管理者。 〈再現魔法 時空魔法 無限収納 浮遊〉のスキルを消費し獲得。時空に関するある程度の権限を持つ。》
管理者……何だろう。支配者と管理者で、オーナーと社長の関係みたいな…分かりにくいな。
『異世界の思考』はそのまんまだった。
進化したおかげで色々とバージョンアップしたから早速森に試しに行こう。常時発動しているという物理攻撃無効も怖いけどわざと攻撃を食らってみないと分からないしな。さっそくマイホームから抜け出し海の中、前ヒレを動かして思う。
これ…転移できるのでは?
『時空の管理者』獲得に時空魔法が使われていたはずだ。時空系の魔法といえば転移、ワープ、瞬間移動、どれも同じか。
そうと決まればすぐやろう。最初の目的地はどこにしようか。『天眼』で島の適当なところを探す。おお、良く見える。何の生物も見えないし以前行ったことのある砂浜の上にしよう。
転移を使うとマイホームにいた体が瞬時に消えて白く輝く砂浜の上に現れた。その光景をずっと見ていたが間に一瞬のタイムラグもなかった。
森の手前に着いたところでゴブリンを探そう。再び森に眼を向けると左方100mくらいの木の陰に3匹ほどが休んでいるようだ。とりあえず1匹を残して殺す。『装甲』は使いっぱなしにしているので、背中にある銃が砲身をゴブリンに向けて2匹それぞれに1発ずつ放って頭を吹き飛ばした。残った1匹に向かって進んでいく。急に攻撃されて混乱しているゴブリンもこちらを見つけて敵と認識したのか雄叫びを上げて持っていた棍棒を振り上げる。
「ギャッギャ!」
その攻撃を俺は動くことなく大人しく受けようとする。そして振り下ろされた棍棒が甲羅に当たる瞬間、棍棒が体をすり抜けて地面に当たった。なるほどこういうことか。棍棒が当たる直前に自動で空間が歪み、俺自身の体が存在しているこの空間から相位がずらされて少しずれた次元に移動したということだ。その結果棍棒は俺の姿は見えているのに、空気をただ凪いだだけとなってしまったのだ。
首を傾げたゴブリンは再び叫びながら棍棒を振り回す。そのどれもが当たらず、ゴブリンはどんどん混乱していった。この状態からこちらは攻撃できるのか試してみよう。ゴブリンの棍棒が体を通り抜けていくときにライフルを放ってみると狙い通りゴブリンの頭に穴が開いてゴブリンは死んだ。攻撃を無効化してるのにこちらからの攻撃は通るなんてチートじゃないか。ありがたい能力を手に入れたなこれは。
一定の成功を収めたのでまたレベル上げに邁進しよう。そろそろ森の中央にいる存在にも手が届きそうだ。ちなみに『天眼』で森の中央を覗き見した時には、全長50mほどのドラゴンが眠っている姿が見えた。しかし、眠っていて体を丸めた状態で50mだったので首を伸ばして翼を広げるとどこまでいくのか分からないけれど、このドラゴンがこの島の主のようだ。レベルを上げていけばそのうち魔力量が追いつきそうなので、近々チャレンジしたい。
レベル上げ、がんばろう。
♢♢♢♦︎♦︎♦︎♢♢♢
アルメルフェンド王国アルメルフェンド城
「姫様!準備は完了しました!後は呪文を唱えれば勇者召喚が始まります!」
豪華絢爛を体現したようなアルメルフェンド城の中には、広いが窓がなく薄暗い部屋がある。
その部屋の中ではとある儀式が行われていた。薄暗いせいで見づらいが、暗い色のローブを着た魔術師達が集まって部屋の中央に描かれた魔法陣を囲んで魔力を流し込んでいた。この魔法陣はほぼ完成していて、後は王家の血を引く者が古来より伝わる呪文を唱えれば魔法が完成し別の世界から勇者に適性のある存在が召喚されるのだ。これにより召喚された者は世界を越えた時に次元の壁を越えるため肉体に魔法的な付与がされて、常人の何倍ものポテンシャルを与えられることで、成長しやすく、そしてその成長の伸び率が高い。そのことを知っているこの姫様と呼ばれたアルメルフェンド王国の第一王女はさらに、勇者が召喚されると同時に得意としている魅了の魔法を使うことで将来的に絶大な力を持つことが分かっている勇者を傀儡にしようと目論んでいるのだ。
ローブを着た魔術師の1人に声をかけられた王女はドレスを揺らして魔法陣の前まで歩き、華奢な躰から伸びる腕を前に伸ばし、目を見開いて呪文を唱える。
「大地を創りこの世を照らす世界唯一の神よ、神に連なる血を持つアルメルフェンドの声を聞きたまえ。『勇者召喚』!」
王女がそう言い終わると魔法陣がカッと輝きを増し、部屋全体に光が満ちてとてつもない程の魔力の奔流が部屋にいた全員を襲った。魔力の波のようなものが次第に収まると魔法陣の上には5人の10代半ばあたりの男女が所在なさげに立ちすくんでいるのが見て取れた。
王女はそれを確認すると同時に魅了の魔法をかけ、5人にかかった事を確信すると、ほくそ笑みたくなる顔をどうにか悲しみの色に染めて口を開いた。
「勇者の方々…どうか…どうか私たちの国を救ってください…!」
とうとう人間が出てきました。そして勇者も…!
ブックマークや評価ありがとうございます!
これからも頑張っていきます!




