63話 【クロト 視点】 スキルの神髄
『この子にあるスキルのおかげで、精霊の言葉が分かったんだね。』
ガルーダとササ。そして突如現れた光の大精霊 「ヴィーチェ」と俺が、カナメの眠るベットを囲んでいる。ウハハはカナメの腕の中だ。ヴィーチェの言葉にササが反応する
「スキルですか?」
『んー、異なる世界から召喚をする時に神から与えられるスキルかな。「言語理解」しかもこの子のスキル熟練度は最高値までいってる、人ならざる者の言葉も理解できたんだろうね。』
「異なる世界?」
『ん?この子は異なる世界から呼び寄せられた子だよ』
ササはびっくりして俺の方を見る。俺は頷いて肯定し説明する
「そうだな。地球で寿命よりも早く死に、星の子達の力を借り、月の神の愛し子としてこの世界に来た。それがカナメだ」
『月の神の愛し子と、慈愛神の加護。癒泉の精霊の加護まで持って居る。凄い子』
「もしかして、そのせいで精霊を認識する力が強く、妖精の光のせいで倒れたのでしょうか?」
『その可能性は大いにあるね。少し力を阻害しておくか』
そういって、ヴィーチェはカナメの額に手をかざし小さな光を灯した。
『今よりはずいぶんましになるだろう。此度は、我ら同胞が幼子に無体を働いた申し訳なかった。妖精は気まぐれだが、初めて自分たちの言葉を理解できる者を見つけて舞い上がってしまったのだ。よくよく言い聞かせておく故今回は矛を収めてくれ。親御殿』
俺は頷き、「次は無い」と言って、闇沼から精霊たちを解放した。精霊たちは突如明るい場所に解放され、しかも目の前に大精霊様が居る。大精霊様に泣きついた!
『ひどいのこの闇の子!』
『『『そうだ!そうだ!』』』
『私たちを閉じ込めたの』
『『『やっつけて!光の大精霊様!』』』
『まて主ら、幼子が倒れたのじゃ親御殿は怒るのも当然じゃ』
『闇の子がひどい!!』
妖精の言葉なんぞ理解できないが、カナメが倒れた原因はこいつらだ!ヴィーチェに言いつけているみたいだが、言葉はわからないがわめいているみたいだ。
キーキーと音が飛ぶ、イライラする。
黙れ!!黙れ!!
「わめくな羽虫共が」
地を這うような声が響く。
妖精共がビックっとしてこちらを見て固まった。
こいつらのせいでカナメが倒れた。それが事実だ。
おれは辺りに黒靄を発生させ、そのまま羽虫を闇沼に引きずり込もうとした瞬間”スパーーーン!!”としばかれたのであった。
背後を見るとハリセンを振り切ったササ…………
アチャーって顔したガルーダ。目を点にしたヴィーチェ、おびえる羽虫共。
凍った空気を壊したのは
「ウハハ~ウハ~」
のんきで愛らしいスライムの声。凍った空気が一瞬で溶けみんながウハハを凝視した。光の大精霊のヴィーチェはウハハに頭を下げた。
『ウハハ様の主人に対する、此度のわが同胞の無礼、管理が行き届かず申し訳ありませんでした。』
「ウハハ」
『今後このような事が無いようにいたします』
「ウハハ~~」
この状況を見てようやく俺は頭の熱が下がってきた。俺思うんだよ。
ウハハって毎日俺らと一緒に居て「ウハー」とか「ウァハ~」とか愛らしさふりまいてるけど、神獣って実はすごいのでは?って…大精霊が頭下げてるけど…
今更か………
まぁ…
「ウハァ~」
可愛いから良しとしよう。
俺が一人で納得していると、ガルーダに久しぶりに肩を叩かれ
「久しぶりにササのハリセン受けたな~ハハ。懐かしいだろw」
「相変わらず音だけだな」
「ササは優しいからな~~♡」
「ハイハイ。ご馳走様」
「なんだよ~師匠の惚気くらい聞けよ~」
ガヤガヤとうるさくなったのにカナメは全く起きる気配がない……まぁ王都出発してから2週間。ようやくゆっくり休める。
いい機会だ。しばらく滞在するし話は急がない。今日はこのまま寝かせておこう。
「クロちゃん、コーヒー淹れるからリビングに行こう」
ササの顔を見て、「ああ」と返事をして明かりを消して部屋を出た。
◆◆◆
ガシャーーーン!!突然夜の平和な時間を壊す響き渡る音
バン!!
扉が開く音が近所中に響き渡る
「あんた!待ってよ!待って!アイツは施設にでも入れるから!!」
「ガキ持ちとかねーわ。」
「そんな!ねー私の事好きっていったじゃない!」
また裏の俊くんのおうちからだ。男女の大声が響いてくる。私のシャツの裾をつかみながらー愛子が泣きそうな顔で私を見上げてくる。
「俊くん痛くない?…」
愛子の言葉の返答に詰まる。今男女の声は聞こえない今なら大丈夫だろうか…
「ママちょっと俊くんの無事を確認してくるから愛子は家に居て」
愛子は目に涙をためコクコク頷いた。鍵を閉めそっと俊くん家の玄関側にいくと、玄関は空いたままに子供が倒れていた。私は悲鳴を上げた!
「俊くん!!」
私の声に驚いて、何人か近所の人が出てきた。急いで救急車を呼んでもらい、私は俊くんに声をかけた。
今日は血は流れていない。でも倒れていたと言うことは何かあったはず!頭を打っているかもしれない、頭は動かさず
「俊君!俊君!!しっかりして俊君!今日はねカレーなの!俊君の好きなカレー!しっかりして食べにおいで!!アイちゃんと待ってるから!!」
私は必死に話しかけた!俊君は家の裏手のアパートに住んでいる愛子の友達。いつもいつもおなかを空かせて傷だらけでぽつんと公園に居る子。愛子と同い年の4歳の男の子。
ねーこの子が何をしたっていうの!不器用に笑うこの子が何をしたって言うの!!神様!!
「麻生さん!救急車来たわよ!!」
「こっちです」
「早く」……
必死に話しかけているうちに、救急車が来て俊君を連れて病院に行ってくれた。警察にも連絡して、この一件は児相案件として処理になったが……
半年後、俊君はアパートに戻ってきた。
戻ってきて少しして俊君は亡くなった。5歳の誕生日を迎えた翌日の事だった。
娘の愛子はこの事件を機に口数が少ない子になった。
どうしたらよかったの、私はどうしたら…あの子を救えたの……
血に濡れたあの子を抱えながら泣いて名前を呼ぶしかできなかった、無力な私に、最後にあの子は私に笑ってくれた。いつもの不格好な笑顔じゃない本当に嬉しそうに笑った最後だった………
ハァハァ……ハァ
目の前にはプルルンゆれる魅惑なボディーのウハハがいた。
ベットの横には椅子に座って目を閉じているトーさん、私は辺りを見回して知らない場所と確認した。
多分狼さんの家のベットを借りているんだろうな……一通り見渡してもう一度トーさんをみて思う。
久しぶりに見た夢………愛子が4歳のころの昔の事件。
あの子が大きくなっていたらどんな大人になっていたのでしょうね……
そう思うと涙が溢れてきた、
そう、トーさんみたいに強くてかっこいい人になっていたんだろうなぁ
『アイちゃんママ』
願わくば、 私の事をそう呼ぶ俊くんの大人になった姿が見たかった。私のように異世界でも良い、生まれ変わって元気に生きていて欲しい‥‥




