23 だって 普通って 言ったじゃないか!!
我が家に戻り、初の街外クエストを経て考える。
防御はヘルメットに変身してくれた【ウハハメット】を必ず装着!!
ウハハメット装着時は防御力が爆上がりし、
結界も張ってくれるし、ひとまず防御は置いておこう。
次は攻撃力だが、まず前提として、
私は5歳児の身体。
力がない
体力がない
早さもない
あるのは魔力だけ。
魔法も初級は攻撃には向かないから、中級をもう少し習わなくちゃ…
今使える魔法を整理してみよう。
【初級魔法】
火(着火・小さな火の玉を飛ばす)
水(水球をだす・水球を飛ばす)
土(礫を出す・礫を飛ばす・土を軽く耕せる)
風(そよ風を起こす・髪を乾かす)
光(光の玉・治癒(軽い怪我が治るくらい))
闇(目隠し・闇壁・闇撃)
【中級魔法】
火(未取得)
水(ウォーターカッター)
土(土壁生成・落とし穴・土礫を高速で飛ばす・礫を複数出現させる・土人形を動かす)
風(突風を起こす・周りの音を拾う・かまいたち)
光(未取得)
闇(未取得)
想像しやすいもの、日本で映画やアニメ、ゲーム画面で見たものは、比較的習得しやすい…火魔法は火事になりそうだから後回しなんだけど。
土魔法の土人形は、お庭が出来て嬉しくて遊んで覚えたからかなぁ。
魔法も錬金と一緒で、イメージが大事なんじゃないかな…
私は目の前の姿見に、
人差し指の先に水球をイメージして
銃を撃つみたいな仕草をしてみる。
あはは、こんな簡単に出来るわけ無いよね~~
バキュン!とな。
パーーーーーン!!
大きな音が響き、
鏡を見ると小さな穴が…そこからゆっくりひび割れが広がり、
ガッシャーン!!!!
パラパラパラ…
私はその光景に絶句して叫んだ!!!!!!!
「噓ぉぉおーーー!!!」
バタバタバタ!!!!バターーーン!!!
扉が勢いよく開き、
「カナメ!!!」
と叫びながら大慌てしたトーさんが来て…辺りを見回した。部屋の様子から、
襲撃等ではないと分かったのか、ホッとしたようにこちらを見て優しい声音で声を掛けてくれた。
「カナメ?怪我は無いか?」
目の前は鏡の破片でいっぱいで、
その前で私は茫然としている
「カッ…カ…ガ……ミィーーーー」
「ん?」
「鏡!!!せっかくの鏡が!!!高かったのに!!!」
「あぁ…まぁ、また買ってやるから、気にするな」
トーさんはにこりと笑って事もなげに言うが、
この世界の鏡は高い!!!!この鏡だって金貨20枚もしたのに!!!!
散らばった鏡の破片…
破片…破片……破片………
集めたら素材になる?
「トーさん、ちょっとこっちに来て」
「ん?何をするんだ?」
私の後ろ側を指さし、トーさんに移動してもらった。
そして、風魔法で散らかっている破片を集めて、鏡を固定していた枠の前に小山にする。
イメージ。
イメージ。
イメージ。
きっと錬金や魔法と一緒で、クラフトもイメージが大事。
日本の、あの玄関にあった、暖かい木枠の、あの鏡。
『生成』
私の前にあった鏡の破片と木枠が光に包まれ、キラキラキラキラと光る。光が終息すると、日本の玄関に有った鏡と同じものがそこにあった。
あ!!クラフト出来た!!!良かった~~。
初めてのクラフトがうまくいって大喜びでトーさんに振り返った。
「トーさん見て見て!!!出来た!!作り直せたよ!!」
トーさんは目を見開いて、固まっていた。
あれ?
トーさんは両手を顔に当て、天を仰いだ…
呆れてる?困ってる??どうしたの???
「クラフトは物を作る固有スキルなんだ」
「うん」
「あんなに砕け散った素材を鏡にするには鏡を錬金で素材に戻して、鏡を作ってから、鏡と木枠を生成で一つにする」
「うん」
「カナメのクラフトは…錬金とクラフトが合体している…」
「……」
「カナメのクラフトは普通ではない。解るか?」
「ユルリリィ様は、クラフトで魔法も作り出せるって…」
「カナメ…それはクラフトと言ってるだけの、違うスキルだ」
「普通では…ない?」
トーさんは真剣な眼差しで私を見て大きく頷いた。
私は項垂れた…
まぁ、そうだよね…作るって言っても、
【素材があって作る】と
【素材となりえる物質があって作る】は多いに違う…魔法に至っては素材もない…いや素材は魔力か?
まてよ、この状況は私の魔力量が力押ししているのかも…
いや出来ることが多いのは大変喜ばしいのだけど…
ユルリリィ様…
お婆は普通が良いんじゃよーーーーーー




