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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
【ハヤテの章③】ゲーム内生活10日目【AWO】

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47話 繋がるチェイン

 あれから数戦を交えて、人数分のスキルパーツを獲得した。

 が、私の【錬金】が失敗したらまた集め直し。

 だなんて思うが、これがまた失敗する気がしない。


 これが予感か、はたまた確信のない思い込みか。

 ただ、なんとなく。

 こう言う時の私の勘は当たるのだ。



「じゃあ【錬金】しちゃうね」


「頼むー、これはハヤテにしかできないことだからね」


「あたしは何を作ろうかなー?」



 もう成功したつもりで、ミルちゃんがぼやく。

 こういう時の彼女のお調子の良さは救いになる。

 いや、失敗しないけどね?



「ミルっちはサイズ的に扱える武器は狭まりそう」


「あー、そこんところどうなんだろ?」



 お姉ちゃんの指摘も尤もだ。

 しかしレイちゃんの衣装は伸び縮みすると言っていたし。

 プレイヤーによって変化するのではないかと思っている。



 レイ  :|◉〻◉)サイズは自在なので、プレイヤーに応じて伸び縮みするよ



「そうじゃん! 列車君の衣装も伸び縮みするって言ってたもんね」



 レイ  :|ー〻ー)レイだもん、ぐすん



 拗ねちゃった。

 性別がわからないから使っていた呼び名を、名称変更してからも使うのは失礼だよ。



「ダメだよミルちゃん。レイちゃん拗ねちゃったじゃない」



 嘘泣きなのか、はたまた本当に泣いているのか。

 スズキさんより真面目な彼女はどこまでが本心かわからない。



「ゴーメーン、なんか言いなれなくってさ」


「なので最初にできた卵はリノちゃんに贈呈しちゃいます」


「あーーーーーー」


「えっと、いいのかな?」



 最初に受け取るつもり気満々だったミルちゃんの横を華麗にスルー。

 そのままリノちゃんに贈呈する。

 当人は受け取るつもりがなかったのか、居心地悪そうにしていた。



「ちょwww 意地悪やめて」


「意地悪っていうか、ねー?」


「ふふん、墓穴を掘ったねミルっち」



 ここでお姉ちゃん登場。

 なぜか胸を張ってミルちゃんの失敗を嘲笑う。

 二人の関係性はまんま昔の私と探偵さんなんだよなぁ。

 隙あらば揚げ足取りする仲というか。

 

 側から見ていて楽しくはあるが、お近づきになりたくはない。

 そんな雰囲気。



「言い間違えただけじゃーん」


「はいはい。順番が変わった程度で嘆かない。ミスして素材集め直しとかじゃないんだから」


「そうだけどー」


「ミルちゃんはレイちゃんにちゃんと謝ろ?」


「う、ぐぅ……ごめんよレイっち。今度からは間違えないでいうから、許してー」



 レイ  :|⌒〻⌒)いいですよ。レイっち、いい響きです



 さっきまでメソメソしてたのにもう笑顔だ。

 嘘泣きだったのかな?

 いや、こちらに気を遣ってくれていたのだ。



「許された」


「よかったねー」


「うん」


「でもこの卵はお姉ちゃんに贈呈されまーす」


「ええ!」


「ウヒョーーー、何作ろっかなぁ!」


「トキっちはハープ一択じゃないの?!」



 考えるまでもないじゃーんと、ミルちゃん。

 私はお姉ちゃんがなんの楽器を扱うかを知らないので、そうなの? と尋ねる。



「WBOでは吟遊詩人と言えばそれ! ジョブによって武器種が固定されるから、街ごとにグレードの違う武器が売ってるんだよね」


「へー」



 だなんて雑談を交わしながら、最後の最後で。



「あ」


「何? ミスした? 素材集め直し!?」



 嘘でしょ、と絶叫するミルちゃん。

 いや、普通にクリティカルが出て確定的成功になっただけの「あ」だったんだけど。

 迂闊だったかな。



「ううん、大丈夫。確定的クリティカルが出たから驚いちゃって。持ってるね、ミルちゃん」



 完成した卵をミルちゃんに手渡すと、それをひょいと持ち上げて、すぐに自分の手で扱えるサイズにしていた。

 それから各々が楽器を製作していく。



「うーん、これでいいのかな?」



 リノちゃんはもう一本刀を作っていた。



「楽器?」


「抜き差しすると音が鳴るよ」



 ジャキン、チャキ、シャーッ

 それは鍔鳴りっていうんじゃないかな?

 本人が気に入ってるならそれでいいけど。



「あたしはこれだー!」



 ミルちゃんはフルート。

 妖精系に劇的にハマる。

 ただの木の枝にしか見えないけど、それはイメージ重視なんだって。

 適当に吹いてるのにイメージ通りの音楽が流れるチートっぷりを見せつけた。



「最後にあたしはこれ。やっぱ吟遊詩人って言えばこれでしょ」



 片手で持てるタイプのハープを撫でる。

 すごい、様になってる!

 嘘は言ってなかったみたいだ。

 なんというか、持ち方が堂に入ってる。

 私は楽器のこととか何もわからないんだけどね!

 


「何か【演奏】してみる?」


「うーん」



 お姉ちゃんはまともに【演奏】できそうな相手がミルちゃんしか見つからず、苦い顔をする。



「ふっふっふ。こんな時のためにあたしは【統率】を持っているのだよ、チミィ」


「やるのか、ミルっち。今、ここで」


「やらいでか! あたしたちの音楽合唱団。今ここに開催だー!」



 ミルちゃんが音頭を取り、【統率】が発動する。

 これは楽器を持った全員の音を思い通りに操作するというものだった。


 これによってただの鍔鳴りでしかなかったリノちゃんの音がシンバルのような金属音を奏で、そこに私のマラカスの砂をかき混ぜた音がシャカシャカと混ざり。フルートとハープの音色に彩りを乗せていく。



「【合奏】」



 さらにはお姉ちゃんのスキルで私たちは一体となった。

 まるで一人の人間が思い通りの音を出したかのような一体感。


 演奏を終えた後、私たちは顔を見合わせた。



「え、今の私たちの楽器で奏でたんだよね?」


「これが音楽のちからだよ」


「あたしとミルっちだけだと多分ここまでの音は作れなかった。確実にハヤテとリノちゃんの力のおかげでもあーる」


「だって。なんか実感湧かないけど」


「私のこれも楽器になるのは驚いた。あ、でも」


「どうしたの?」


「いや、ハヤちゃんの演奏がチェインに影響したじゃない?」


「あ、うん。もしかして?」


「うん、今の演奏。もしかして戦闘でも使えないかなって」


「なるほど、それはいい提案だね。せっかく作ったんだから、ボールやスワンプマンに試し撃ちするのも面白いかもね」


「それじゃーしゅっぱーつ!」



 すっかり演奏が楽しくなった私たちは。

 そのままセカンドルナの街に向けて練り歩いた。


 

「緑色のスワンプマン発見! リノっち!」


「うん」



 チャキ、ズバ!

 それが一つ目の音になった。



「それじゃあ【演奏】スタート!」



 お姉ちゃんのハープが伴奏を始め。

 私のマラカスがスワンプマンの動きを止める。

 ミルちゃんのハープの音色がパーティ全体にバフを重ねがけし、リノちゃんのチャージタイムを即座に終了。

 【居合】からの【斬撃】すらも一つの音として拾ってチェインを重ねていく。


 なんだかそれが楽しくて、私はノリに合わせて声を上げていた。

 歌なんて知らない。

 あーとかうーしか言ってない。

 でもそれこそが音楽の始まりなのだ。


 辻褄はお姉ちゃん達が合わせてくれる!



「~~~♪」


「おっ」


「いいね。ならあたしも! ~~~♩」



 お姉ちゃんが私の声に合わせて【合唱】。

 ハープの音色は途切れない。

 


「演奏はそうでなくっちゃ」



 ミルちゃんが空中で踊り始める。

 パーティバフが過剰に重なり合い、リノちゃんの動きも風のように早くなる。

 まるで演奏に合わせて音を合わせるように【居合】で生じる鍔鳴りが加速する。


 気がつけばスワンプマンは消滅していた。

 私たちは気持ちよく音を兼ねでて歌を歌っていただけ。

 動いていたのはリノちゃん一人。


 なのにリザルトではきちんと私たちにポイントが入っている。

 前世までの知識を統合したって、このゲームでこんなことができるだなんて思わない。

 けど、お姉ちゃん達はそれができて当たり前って顔でいる。



 レイ  :|◉〻◉)これが、音楽。僕にもできますかね?



 「レイちゃんもやる?」



 レイ  :|>〻<)やりたいです! 僕の夢はアイドルになることですから!



「アイドルかぁ」


「なかなかハードル高いね」


「じゃあ、その伴奏はあたし達に任せてよ!」



 レイ  :|◉〻◉)いいんですかぁ? わぁ!



 こうして私たちはレイちゃんのアイドル活動の伴奏を買って出ることになった。

 その前にやることは山積みだけど。

 まずはパッキング状態なしでも意思疎通が取れるところから始めようか。

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