36 気付き
イオside
ええ!? ラルちゃんは気が付いていないってわけ!?
あんだけ嫌いだった人と関わることを決意した理由が『婚約者ちゃん』ってくらいなんだもの。大好きじゃないと出来ないわよ。何とも思っていない人の為に、自分の嫌いなことを克服しようとするなんてのは有り得ないでしょう?
それをラルちゃんは自覚していないってこと?
「マリーは私のことが好きだと言っていたが、私はどうなのか分かっていないんだ。だから……」
「ああ……」
あらあら、婚約者ちゃんに同情してしまうわね。可哀想に。婚約者がこんなに鈍いなんて……。
「む、何故そのような目で見るんだ?」
「あ、はは……」
なんか疲れてきちゃったわぁ。これ、どうすればいいかしら。ラルちゃんに自覚させるのは結構骨が折れそうだし……。
でもここでアタシが介入しなければ、きっとこれからもずっと平行線よね。そうすると婚約者ちゃんが可哀想よね。それは駄目だわ。
……ああ、頭が痛くなってきた。こめかみを摩る。
「はぁー……」
「何故溜息をついた?」
「あんたが自覚してないことに半分呆れているだけよ!」
「自覚ってなんだ?」
なんなのよ、ラルちゃんってアホなのね!? そうなのね!?
「あんたが婚約者ちゃんのことを大好きなのを自覚してないってことよ!」
アタシの発言に少し驚いたような表情に変わったラルちゃん。その後ふむ、と納得したような表情へと変わる。
「……そうだったのか。私もマリーが大好きだったのか。」
「ええ、そうね! あんたの言動はそうとしか思えないわよ!」
「そうか。それは良かった。マリーに同じ気持ちを返せると思うとホッとする。」
「はいはい、それは良かったですねぇ!」
惚気か!
「……何怒ってるんだ?」
「怒ってないわよ!」
ただ鈍鈍なラルちゃんに疲れただけよ! ああもう、今日は帰ったら疲れを取るために甘いものをやけ食いするわ! ええ! そうしましょう!
ラルside
はて、イオは何に怒っているのだろうか。うーむ、人間関係を疎かにしていたつけが回ってきたのだな。さっぱり分からん。
それにしても……マリーのことが大好きだということも指摘されなければ一生理解することが出来なかっただろう。イオ様様だな。
「今日は色々助かった。助言通りに行動してみる。」
「そうね。ほどほどに頑張りなさい。あまり頑張りすぎると疲れちゃうから。」
「ああ。……後で菓子類を持って来よう。」
「あら、ラルちゃん気がきくわね。じゃあ美味しいのをよろしくね?」
「もちろん。」
イオはオネエだということもだが、甘いもの好きだということも周りに隠している。だから表立って菓子の類を食べることを避けているらしいからな。
私からの貰い物と言えばイオも気軽に食べられるのではないかと思ったのだが、それは正解だったらしい。機嫌が直ったようだった。良かった。




