表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すてぃーるわーるど  作者: 流海 灯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/17

エリンとトレスト 17

 椅子に座ると男子生徒が自分用の椅子を持ってきて座り、話し出した。



「そういえば自己紹介を忘れていたね。僕はトレスト・オニキス。エリーとは所謂幼なじみというやつでね、昔から何をするにも一緒にいたからある程度エリーの事もわかるんだ。どこに居るかとか、どんな表情か、とかね。」


「そしてさっきから僕がエリーって呼んでるのがエリン・ジウムント。避役人族で体色と身に着けている物の色を自由に変えられるから大体いつも透明なんだ。もしエリーに用事があったら僕に言ってくれれば取り次ぐよ。」



 当たり前と言うと失礼かも知れないけどトレストさんがエリンさんの紹介まで済ませる。

 一応なんとなく見えてはいるけど、『エリーに用事があったら』の辺りでブンブン首を横に振っているからとてもじゃないけど本人に直接お願いは無理そう。



「ありがとうございます。私はリーゼっていいます。あっちはクラスメイトのフィリア・フェイカー。今日は二人で色んなクラブを見て回っていて、まだどこに入るかは決めてないんですけど、可愛い看板があったのでつい入っちゃいました。」



 フィリアは椅子の配置の関係で少し離れているので、私と一緒に紹介しておく。



「エリンさんはやっぱり昔から絵を描いていたんですか?」



 さっきルナが貴族の嗜みとして楽器の演奏をしていたと言っていたから、二人も名前的に貴族だろうし、やっぱり嗜みとして絵を描いていたのか気になった。


 私の質問にエリンさんが透明なまま首を縦に振る。



「あ、やっぱりそうなんですね。私の友達が貴族の嗜みで楽器を幼い頃から演奏していたと言っていて、お二人も家名があったので気になっちゃいました。やっぱり貴族だと芸術に関して学ぶことが多いんですか?」



 続く質問にもうんうん、と首を振ることで肯定するエリンさん。そんな私達を見てトレストさんが口を開く。



「ごめん、ちょっといいかな。もしかしてリーゼさんはエリーが見えてる?」


「はい、輪郭だけで表情とかは分からないですけど……」



 するとトレストさんは驚きに満ちた顔で言った。


「凄いな、僕も小さい頃からエリーと一緒にいるけど、エリーがなんとなくどこに居るか分かるようになったのはある程度大きくなってからなのに。」


「えへへ、私、昔から目が良いんです。だから昔から隠れんぼとかも凄く得意だったんですよ。」



 そう、目が良いのは平凡な私の数少ない特技の一つなのだ。他にも嘘をつかれていると分かるとか、甘い物ならいくらでも食べられるとか、美味しいお店を一発で見抜けるとか、能力の数なら他種族の人にも引けを取らない。


 私の話は置いておいて、スケッチブックとエリンさんが鉛筆とスケッチブックを持って似顔絵を描き始めた。端から見ると鉛筆とスケッチブックが宙に浮いているように見えて、夜とかにみたら幽霊だと思って悲鳴をあげちゃうかもしれない。



 トレストさんに描いている間は出来るだけ動かないで欲しいと言われたので顔を動かさないようにジッとしている。話をする分には問題無いらしいので、気になっていたことを聞いてみる。



「そういえばトレストさんも美術クラブに入っているということは絵を描くんですか?」


「いや、僕は彫金だね。主にアクセサリーなんかを作っているんだ。絵も描くことはあるけど正直、エリーと比べたらお粗末な物だね。」



 お粗末な物なんて言っているけれどなんとなく上手な気がする。たぶんエリンさんとずっと一緒に描いていたんじゃないかな?

 それにしてもアクセサリー作りなんてとっても素敵、トレストさんが今身につけているアクセサリーも自分で作った物なんだろうか? 



「もしかしてそのアクセサリーもトレストさん自身が?」


「うん、全部じゃないけど殆ど自分で制作したものだね。」


「やっぱりそうなんですね!そのブローチがさっき初めて見たときからとってもキレイだなって思っていたんです。」



 トレストさんの胸元に輝くブローチは、外側に向けて広がる紫色の楕円の中心に緑色の円が沢山集まった何処となく花を連想させるデザインをしていて、とても綺麗だった。


 私がブローチを褒めると、トレストさんはとても嬉しそうに笑った。



「ありがとう、これは一番気に入っている物なんだ。褒めてもらえて嬉しいよ。」



 やっぱり貴族って凄いなあ、皆当然のように一人一人別の特技を持っているんだもん。

 

 何故か隣のエリンさんの手が止まって、顔を覆っているように見えた。

リーゼ「そう言えば服は透明なのにスケッチブックやペンは何で見えるんだろう?」


怪盗少女「それは避役人族の着ている服が彼ら自身の素材を使って作った特殊な服だからだね。」


リーゼ「え、避役人族の素材って体毛とか鱗ってこと?」


怪盗少女「そうそう、人間族で言えば髪の毛とかで服を作っているのに近いね。手間は掛かるから避役人族でもあんまり着ている人は見ないけど、エリンは貴族だからね。お金や手間はそこまで心配いらないんじゃないかな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ