陸弐 毒魔ヶ淵
1
亀岩が甲羅に乗った雨音を振り落とそうとした。
「源次、邪魔をするな!」
地震のように甲羅が揺れた。大沢池に大波が立った。
雨音は草を掴み、甲羅の凹凸を足場にして、揺れを堪えた。
「実体がある…ってことは、斬れる!」
彼は確信し、鬼切を抜いた。
甲羅が激しく揺らいだ。
「あわわっ…」
雨音は振り落とされそうになって、草に掴まり直した。
亀岩の長い尻尾が鞭のように襲ってきて、彼のすぐ側を叩いた。
雨音はズルズル滑った。
「源次…。おまえは本当にしつこいな…」
マナブの全身から、藍色の電気がパチパチ弾けた。
マナブが天を仰いだ。
黒い雨雲の中で、稲妻の龍が閃く。
「学瀛。まさか儂ごと、雷を食らわす気ではなかろうな?」
亀岩は甲羅を揺らしつつ、大きく旋回した。
雨音は甲羅からずり落ちてゆく。
偶然、大波が琴音を観月台に押し上げた。
「逃げなきゃ…。喰われる…」
琴音は頭の中が真っ白で、一目散に走った。
「儂の獲物が…。待て!!」
亀岩が琴音に気付き、太い前脚を陸に着いた。
雨音はその隙に、甲羅をよじ登った。
彼の視線は亀岩の延髄を狙っている。
「今だ」
雨音が高く跳び、上段に振り被った。
「雷の王よ、鬼切の太刀を砕け!!」
マナブが弓を引き絞って矢を射こむように、雷撃を見舞った。
バリバリッと天が裂けた。
亀岩が怒鳴った。
「やはり儂ごと焼き殺すつもりか、学瀛!」
亀岩がマナブに向って尻尾をしならせた。
「そんなわけないでしょ!」
マナブは闘牛士のように避けた。
雷は大沢池と周辺の木々に落ちた。
亀岩も痺れと痛みを感じ、地面に倒れた。
地響きがした。
雨音は大沢池に転落し、異界の深淵に飲み込まれた。
「死んだか?」
マナブが片目をぎょろっと見開き、大沢池を覗き込んだ。
2
琴音は耳を塞ぎ、必死で走った。
でも、どんなに走っても、建物までの距離が縮まない。
「ここは儂の結界じゃあ…」
亀岩がのっそり起き上がった。
いつの間にか、空が赤くなっていた。
長い尾羽を引く鳥が舞う。
黒い影の差した五大堂から、仏像の顔が覗く。
異様に大きな目が、柱と柱の間いっぱいを占め、琴音を見詰めていた。
辺り一帯、水が溢れている。
琴音の膝まで、急激に水位が上がってきた。
喉が渇いて、舌が上顎にくっついた。
膝ががくがくと震えた。
亀岩は皺だらけの長い首を伸ばし、顔を下げてきた。
カタツムリのような触角が、琴音に微かに触れた。
亀岩の息から、硫黄のような悪臭が漂ってきた。
「ひひ…。決して逃げられぬ…。観念して、頭を差し出せぇ…」
亀岩が長い舌を垂れ、ちょろちょろと動かした。
「さっきの綺麗な男の子はどうなったの? 死んじゃった?」
琴音は深淵を振り返った。
「役立たず! ちゃんと助けなさいよ、馬鹿!」
彼女は雨音を罵った。
「友達が死んで、悲しいか? 娘…」
亀岩が尋ねた。
「碧のこと? 大体、あの子が悪いんだ。鬼ツアーに行きたいって言い出したのは、碧なんだから。…ね、別の生贄を連れて来るわ。だから、私の命は助けて。お願い!」
琴音はその場を逃れようとして、早口に喋った。
「儂は腹が減っておる。今すぐ、おぬしを喰らいたいのじゃ」
「お願いだから、ちょっと待ってよ。なんで私が? 私って結構優秀で、死んだら悲しむ人が大勢いるの。世の中には、死んでも誰も悲しまない、粗大ゴミみたいなヤツもいるのよ。そいつらを喰ってくれたら、誰もあなたに腹を立てないと思う。最初に喰われるべきは、頭の回転が遅くて使えないゴミ、そこらじゅうにいる給料泥棒よ。私は就職して一年だけど、みんなから将来を期待されてるの!」
琴音は手を合わせて頼んだ。
亀岩はヨダレを飲み込み、琴音を眺めた。
「私は誰からも好かれてるの。明るいし、仕事もよく出来るし、高学歴だし。仕事出来なくて、他人とうまくコミュニケーション取れない、オタクっぽい変なヤツが同じ会社にいるから。そいつを明日、必ず連れて来るから…」
「おぬしが誰からも好かれそうな娘だとは、今の話から感じられないがのぅ…」
亀岩の嘲笑が響いた。
「本当よ! つまんないヤツばっかり。不必要な人間が大勢いるの。キモい落ちこぼれが喰われて、優秀な人間が生き残るべきじゃない?」
琴音が大声で言った。
「見方を変えれば、おぬしも大概、つまらぬわ…」
亀岩の首が近寄り、バクッと一口に琴音の上半身を喰った。
3
雨音が大沢池から這い上がった。
荒い息をしているが、火傷も無く、無事だ。
雨音は琴音を捜した。
「さっきの女の人は…?」
それらしき死体が目に付いた。
雨音と亀岩の視線が合った。
亀岩の聡明な老人の顔に、鬼の狂気が重なっていた。
「源次、何故じゃ…? 雷を受けて、死なぬのか? それでも人間か?」
亀岩は口をモグモグさせ、何かを吐き捨てた。
長い髪と眼鏡、女物のアクセサリーの一部だった。
雨音は水をざばざば流しながら岩場に上がって、鬼切を構えた。
「ここは儂の結界、毒魔ヶ淵。人間の攻撃は効かぬ…」
亀岩が雨音に近付き、強い酸を吐いた。
瞬間、雨音が跳んだ。
「俺も鬼だよ、亀岩」
鬼切が一閃し、亀岩の首に迫る。
ガチンと鋼の音がして、亀岩が刃を歯で食い止めた。
「源次が…鬼? 何故じゃ?」
亀岩が歯の間から舌を垂れ、もごもご言った。
雨音が手首を返す。
刃の向きが返り、亀岩の歯の間から滑った。
そのまま頸動脈側に流れるように、雨音が動く。
「源次。鬼であれば、我等の仲間ではない…か…?」
亀岩の声が掠れて、カタツムリの触角が萎れていく。
雨音は振り向くように足を踏み換え、左から袈裟に斬り下ろした。
「鬼切を使う度に、俺の魂が刀の鬼に喰われていく…。もう、殆ど喰われた。底無し沼に沈んでいく感覚だよ…」
雨音が白状した。
亀岩の前脚の膝が折れ、甲羅が前へ傾いた。
亀岩の首の両側から、鮮やかな緑の血が迸った。
「ひひひ、そうか…。では、相討ちじゃな…。源次…、地獄へ道…連れ…じゃ……」
亀岩の嗤いがフェードアウトした。
雨音が亀岩の額の中央を、鬼切で貫いた。
「かもね」
雨音が亀岩に答えた。
亀岩は金色の炎に包まれ、泡立って溶けていった。
異界が消え、元の景色が戻る。
雨が大沢池の水面を穿つ。
人影も寺も霞むほどに、強く降りしきる。
雨音は刀の一振りで雨を落とし、納刀した。
4
数日後。
しゅとーん部の道場。
雨音が小声で報告した。
「山上さん。例の…蜘蛛切を、知り合いの刀屋に出しました。拵えを造ってもらってます」
「…ご苦労さん」
山上がこそっと答えた。
紅葉、咲良、コマチ達が来た。
山上と武蔵が木刀を取り、本気で打ち合い始めた。
ルール無し。寸止め無し。
間合いを外して睨み合い、またカッカッと打ち合って、二人とも、擦れ擦れでかわす。
「山上さんと武蔵さん、結構体格差あるよね…」
「難しいと思いますよ。山上さんが75キロとして、武蔵さんは100キロちょっとぐらい…」
旭がコマチに答えた。
山上のしなやかな動きと、巨漢の武蔵のキレのある動きは、対比しても面白い。
「紅葉ちゃん。雨音なら、神社の方にいるよ」
旭が外を指した。
紅葉は照れながら、道場の外へ出た。
「山上、意外とやるんだな…」
武蔵がかつての敵を称えた。
「武蔵、馬鹿力やな…。軽く振ってるだけやのに、さすが鬼…」
山上は真っ赤になった掌を見た。
木刀で受けただけで、指が内出血していた。
「今日はどうしたんですか? 武蔵さん」
咲良が聞いた。
「ああ。九尾の狐を見つけたよ。…まぁ、八尾になってたけどな」
武蔵が恐ろしい話を、笑顔で話し始めた。
その頃、紅葉は東雲神社の参道へ回った。
話し声が聞こえてきて、彼女は途中で立ち止まった。
雨音が狛犬の前で、背の高い美女、静先生と喋っている。
ちょうど、道場の中の武蔵と、同じ話題をしている。
「…八尾の狐が次々と若い子を襲って、生き肝を喰らっています…。日に日に力が増すばかり。玉藻が死んで、次の頭に立ったのは、別の人格だと思うんですけど。玉藻より気が荒いみたいで…」
静先生が腕組みして、首を傾げた。
二人並ぶと、身長は同じぐらい。
紅葉は声をかけづらくて、話の切れ目を待った。
「で、八尾の狐はどこにいるんですか?」
「愛宕山。学瀛が築いた鬼の本陣に迎えられているようです」
「人の生き肝を喰いに、山を降りて来る時が狙い目ですね?」
「そんな簡単に始末付けられる相手では…」
静先生は多少、弱気になっていた。
「静先生。武蔵さんに任せればいいじゃないですか。護ってくれるでしょ、武蔵さん」
「渡邊くん、何を言うんですか。女だから戦えないとか、足手まといとか言うんですか? 私、渡邊くんには負けませんよ?」
静先生が意地を張った。
「再婚とか考えたらどうですか? 先生、美人なんだし。今でも、鬼になった旦那さんを捜してるんですか?」
雨音が溜息をつく。
「言わないで。あの人は黙って、鬼と戦う為に行ってしまいました…。私も戦います。私だけ、ここに置いてかないで下さい」
静先生が涙目になった。
「先生は本当に静御前みたいですねぇ…。設定的に」
雨音は笑った。
「渡邊くんはあの人に似ています。黙って、どこかに行ってしまいそう…」
静先生は悲しそうに呟いた。
聞いていた紅葉はドキッとして、心臓が破れそうになった。
「あれ、紅葉ちゃん…?」
雨音が紅葉に気付いた。
5
「もし、今すぐ戦争が始まって、ミサイルが落ちて来て、みんな死ぬとします。後三分しかないの。何をしますか?」
コマチが手作りのお弁当を広げ、旭と山上の前に出した。
雲林院が箸を伸ばそうとすると、コマチは、
「旭さんの為に作ったの。他の人も食べていいけど」
と、言いにくいことをズバッと言う。
山上の手も思わず止まった。
「戦争も嫌ですし、ミサイルも嫌ですね。男の死に場所つーのがあると思うんですよねぇ。だから、そこへ行きます」
旭は美味そうにダシ巻き玉子を食べた。
「えっ。彼女はどーなるんですか!?」
コマチは真剣に突っ込んだ。
「いやいや、彼女いませんから。作りませんから。興味も無いし」
旭は楽しそうに言った。
「マジで? モテること第一の新見くん達と、人種が違うー」
コマチが一歩引いた。
「三分か。どうせ逃げきれへんから、諦めるしかないやん。俺はゲームする。咲良ちゃんはどうする?」
雲林院が咲良に聞いた。
咲良は何も思い浮かばなくて、固まってしまった。
「男の死に場所に行くのも、間に合わへんやろ。旭、そういう時は好きな女に電話して、愛してると言ってやれ。な、コマチちゃん」
山上が言い、やっとおかずを箸で摘んだ。
「うへぇー。面倒臭ぇー」
旭は顔をしかめた。
「私はそういうの、物足りないんですよね。電話じゃなくて…」
コマチは旭の方に向き直り、
「普段から言ってほしいんですよね。愛してる深さを形で見せてほしいんですよね。プレゼントとか。かぐや姫に求婚した男の人みたいに、手に入れるのが難しいレアアイテムとかを…」
と、握り拳で力説した。
「あげた簪を捨てたくせに…」
旭が突然立ち上がり、食事もそこそこに稽古に戻った。
「え? 私、簪もらってないけど…?」
コマチはポカンとした。
「そうなんだー。旭さんとコマチちゃん、そうだったんだー」
咲良が嬉しそうに言った。
「いや、もらってへんよ」
コマチが繰り返した。
「簪か…。古い過去を蒸し返す男やな、旭は…」
山上は笑いを堪えた。
紅葉は雨音と帰った。
咲良はコマチと帰った。
「あれって、前世の話らしいよ。山上さんが言ってた。簪の話…」
咲良がにこにこ笑いながら、コマチに教えた。
「さっぱりわからへん。咲良ちゃんは前世なんて信じるの?」
コマチは脹れっ面である。
「江戸時代、コマチちゃんと旭さんが出会った話なんだって。しかも、恋人だったらしいよ」
「えー? 何、それー?」
コマチは大笑いした。
彼女には、旭のチョンマゲ姿がリアルに想像出来た。
コマチが咲良に相談した。
「咲良ちゃん。ちょっと、うちに寄ってくれへん? 気になることがあるの。私の部屋の天井のシミが、最近少しずつ濃くなってきて…」
「雨漏りじゃないの?」
咲良は面倒臭そうに答えた。
「あそこは雨漏りちゃうと思うの」
コマチが不安がっているので、咲良は寄り道した。
6
コマチの家には、姉が一人と、両親、犬猫一匹ずつ。
リビングはインテリア雑誌に掲載されそうな、シックな感じ。
二階のコマチの部屋は、広いウォークインクローゼット、シンプルなベッド、天井は斜めになっていて、ロフトがある。
「なんか、イメージ通りの部屋だなぁー」
咲良は頭をポリポリ掻きながら、コマチの部屋に入った。
「ベッドの上よ。例のシミ」
「ふーん」
何気なく、咲良は天井を見上げた。
「うわっ!」
咲良はぱっと部屋を飛び出した。
そのままドアを閉め、ドアに背中を着けた。
ドアが軋んで、隙間からコマチの眸が覗く。
「ね、ちょっと怖いシミやん?」
「うん…」
咲良は一瞬で冷や汗をかいた。
二人はドアを挟んで、話し続けた。
「一年ぐらい前から、シミはあったんやけど。特に気にしてなかった。でも…、最近、部屋でよく、誰かの視線を感じるって言うか。シミが段々と人間の眸に見えてきて…」
「うん…。見えるね。眸にしか見えないね…」
「咲良ちゃんもそう思う? 少しずつ、人間の顏みたいになってきて。ここ十日ぐらいで、急に濃くなってきた。くっきりと、女の人に見える…」
コマチは低い声でボソボソ話した。
天井が斜めになっているせいで、ベッドに寝転がると、目の前にシミの女が迫ってくるようだと言う。
シスターのような被り物をした、眸のインパクトが大きな女。
ムンクの「叫び」みたいに、口を開けている。
「あれは嫌だね」
「でしょー? ね、もう一回見てよ。何か憑いてる?」
ドアの隙間から、コマチが咲良の手を引っ張った。
咲良は手を掴まれ、身震いした。
咲良は仕方なく、部屋に戻った。
二人並んでベッドに座り、天井を見上げる。
ロフトがあるから、天井も高い。
中央にペンダントライトが吊り下げられている。
シスターのようなシミは、両手を組み合わせている姿に近い。
開いた口から、今にも何か語りかけて来そう。
「気味悪…っ」
咲良は総毛立った。
シミの女の、合わせた手の回りが黒々としていて、手錠を連想させた。
「憑いてるって言うか。このシミ、かなりヤバい…」
咲良がコマチを振り返った瞬間。
照明が点滅した。
ペンダントライトが大きく揺れて、咲良の方に飛んできた。
「危ない!」
コマチが咲良をベッドに押し倒した。
吊り下げていたチェーンが切れて、落下したのだ。
もう少しで、咲良の顔に当たるところだった。
部屋は真っ暗になった。
暗がりで、何かがぼんやり光っている。
ベッドの上のシミの辺りだ。
壁から光が滲み出す。
二人はシミの方を見上げた。
シミの女が口角を上げ、にんまり笑っている気がした。
「なんでこれが…?」
コマチがライトのカバーを見た。
血のようなものが付着していた。
血が付いた指で、誰かがライトのカバーを掴み、チェーンを引きちぎったみたいに。
「気になるんだったら、しばらく別の部屋で寝たら? お姉さんと一緒に寝るとか」
咲良が提案し、早々に部屋を出た。
咲良は本能的に、この部屋から危険な敵意を感じた。
二人が廊下に出た時、ベッドがギシギシ音を立て、窓がガタガタ鳴った。
「風? 窓、開けてたっけ?」
コマチがドアを開けようとした。
「ダメ!」
咲良はドアを閉め、背中を着けた。
ドアがガタガタ揺れた。
「私達を呼んでる…」
咲良は耳を塞いだ。
ドアは三十秒ぐらい、揺れていた。
ドアの鍵穴から、すーっと冷たい空気が漏れて来た。
「誰か、ドアの向こう側にいる…」
咲良が青い顔で言った。
「出て来いっつーの!」
突然、コマチが咲良を押し退け、ドアを開けた。
コマチは部屋に飛び込み、
「ここは私の部屋よ。出てけ!」
と、叫んだ。
部屋には静寂があった。
誰もいない。
窓も閉まっている。
「コマチちゃん。見て、鏡に…」
咲良が呟いた。
鏡の中、ベッドと咲良とコマチが映り込んでいた。
ベッドの上の天井から、半分抜け出した女がいる。
長い服の裾を引き摺っている。
女はぼんやり光っている。
女が体を捩じり、鏡越しに彼女達と視線を合わせた。
手は前で縛られている。
顔は全体に黒く、眸だけがギラギラ燃えている。
「出てけ!」
コマチが鏡の中の女に命令した。
鏡の中、女が天井からベッドに降りた。
背を丸め、膝を曲げている。
女はゆっくりと音も無く動き、ベッドから床に降りた。
体が衰弱しているような、ぎこちない動き。咳き込む仕草。
女は窓の方へ移動していく。
小刻みに揺れ、時々止まりながら、また進む。
鏡に映る範囲の外へ出た。
そして、映らなくなった。
「今の女、出てった?」
コマチは咲良を振り返った。
咲良が壁の間接照明を点けた。
ベッドの上と床に、点々と血が落ちていた。
咲良は窓台に血痕が無いことを確認して、
「まだ、この部屋にいるよ」
と、言った。




