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【完結】ド田舎の迫害令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される【第3巻 11/10発売】  作者: 青季 ふゆ@醜穢令嬢 2巻発売中!
第三章

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最終話 誓い

 白みがかかった青空が、冬の訪れを感じさせる。

 冷たい空気の中でも、太陽は穏やかな光を地上に送り届けてくれていた、 


 今日は、クロエが王都に来てちょうど一年となる日。

 しかしこれから行われる催しによって、今日は違う意味を持った日へと変わるだろう。


「大丈夫か?」


 重厚な扉を前に表情を強ばらせるクロエに、ロイドが尋ねる。

 ロイドは騎士の正装の中でも、式典などで着用する最上級のものを身につけており、きっちりとした佇まいだ。


「は、はい、大丈夫ですっ……」


 意気込むようにクロエは言う。

 クロエは、繊細なレースとシルクで装飾された純白のドレスに身を包んでいた。


 いわゆる、ウェディングドレスであった。


「転ばないようにな」

「き、気をつけます……」


 クロエの鈍臭さは相変わらず変わっていない。

 おそらく着るのは今日これきりであろう重たい衣服に、足を取られないか心配なクロエであった。


「転びそうになっても大丈夫だ、俺がなんとかする」

「ふふっ……頼りにしていますよ」


 柔らかな笑みを浮かべて、クロエはロイドを見上げた。

 そんな二人のやりとりを微笑ましげに眺める案内人が、口を開く。


「それでは、お入りください」


 案内人の合図で、ぎぎいと扉が開く。

 二人腕を組んで、一歩を踏み出した。


「わあ……」


 思わず、クロエは声を漏らした。

 目の前に広がる光景に、クロエの瞳は吸い込まれた。


 式場に選んだ教会は、高い天井と壮麗なステンドグラスで装飾され、ガラス越しに差し込む陽光が神秘的な色彩を放っている。


 まるで、神様が降り注いでくれた祝福の光のよう。

 そんな教会に響くのは、友人たちの弾けんばかりの拍手。


 皆、クロエとロイドの結婚式を祝おうと集まってくれていた。

 床には紅白の花弁が散りばめられた、バージンロード。


 誓いを交わす祭壇へと伸びる道を、ロイドと共に歩む。


(や、やっぱり転けちゃいそう……)


 重く、後ろにも長く広がっているドレスに足を取られそうになりながら、一歩一歩、ゆっくりと歩む。


(でも、大丈夫……)


 隣で、ロイドがしっかりと腕を組んでくれているから。


「ロイドさん、クロエちゃんー! おめでとうさねー!」

(シエルさん……)


 ベンチに座る、クロエのかけがえのない友人たちが祝福の声をかけてくれる。


「おめでとうロイド! クロエちゃん!」

「ロイド様、おめでとうございます! ロイド様! ロイド様! こっち向いてくださいー!」

「おま! クロエちゃんも祝福しろ!」

「あいだっ!?」

(フレディさんにルークさん……)


「ロイドさん、クロエちゃん! おめでとうー!」

「おさるのおねーちゃん、おめでとう!」

(サラさん、ミリアちゃん……)


「ロイドさん、クロエさん、おめでとうございます!」

(イアンさん……)


「ロイドさん、クロエ様―! おめでとうございますー!」

「おめでとうー!」

(シャーリー……ケビンさん……)


 数々の言葉たちに、クロエは胸がいっぱいになる思いだった。

 祭壇に辿り着いた二人は、神父の前に立った。


 瞬間、教会内に静寂が舞い降りる。

 神父は穏やかな笑顔で二人を迎え、大きな書物を開く。


「私たちは今日、この神聖な場所で、二人が永遠の誓いを交わす瞬間に立ち会います」


 穏やかで重みのある声が、教会内に響き渡る。


「クロエ、あなたはロイドを夫として愛し、共に生涯を送ることを誓いますか?」

「誓います」


 緊張で微かに震えていたが、その目には揺るぎない決意が灯っている。


「ロイド、あなたはクロエを妻として愛し、共に生涯を送ることを誓いますか?」

「誓います」


 迷いのないロイドの言葉に、神父はゆっくりと頷く。


「では、指輪を交換してください」


 神父の言葉に続いて、ロイドが小さなケースを開ける。

 その中には、繊細な彫りの入った金の指輪が眠っていた。


 指輪はまるで、二人のこれからの未来を形にしたかのようだった。

 大きな手がゆっくりと指輪を取り出し、クロエの指へ。


 ロイドの手が触れた瞬間、心臓が高鳴りを感じた。

 ゆっくりと、指輪がクロエの指にはまっていく。


 指を通る冷たい感触とは裏腹に、心は温かな感情に包まれていた。

 この指輪はただの装飾品ではない。


 これからの二人の絆を象徴するもので、しっかりと重みを感じた。

 次はクロエの番。


 ケースから同じく繊細な彫りの入った指輪を取り出し、ロイドの指へ。

 ロイドは相変わらずの無表情だが、少しだけ緊張しているように見えた。


 こうしてロイドの指にも、指輪が収まる。


「神の名のもと、これにてあなたたちは永遠の絆を結びました。それでは、誓いのキスを」


 神父の言葉で、クロエとロイドは目を合わせる。


 そして、口づけを交わした。


 瞬間、大きな鐘の音が鳴り響き、歓声と拍手が教会を包み込んだ。

 

 二人の愛が神に認められたかのような、祝福の音であった。


(ああ、なんて……)


 なんて幸せなんだろうと、クロエは思った。

 一年前、実家を逃げ出しボロボロで、絶望していた自分に教えてあげたい。


(これから貴方は……幸せな未来が待っているんだよ、って)


 もちろん、嬉しいこと、楽しいことばかりじゃなかった。

 何度かピンチもあったが、それでも、ロイドとの幸せの方が遥かに上回っている。


 そして今この瞬間、一生の中で最も幸せな瞬間だとクロエは確信していた。


 ステンドグラスから差し込む光が二人を照らす。

 ようやく結ばれた二人の愛を祝福するように、いつまでも、いつまでも照らしていた。

ラスト1話は19時更新です。

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大当たり令嬢はニ度目の人生を謳歌する〜死にたくないので100億マニーを手に隣国へ逃亡します〜



― 新着の感想 ―
[良い点] 完結お疲れ様です。 楽しく読ませていただき、ありがとうございました! ハッピーエンド万歳!!!
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