エピローグ
結婚したからと言って何かが劇的に変わるわけではなく、クロエはロイドと共に平穏な日々を過ごしていた。
「んっ……」
朝、いつもの時間に起きたクロエが身体を起こす。
寝ぼけ眼を擦った際、窓から差し込む光が、クロエの薬指にはまる指輪をきらりと照らした。
ロイドと永遠を誓いあった証。
結婚式の日からずっとつけているが、今でも見ると笑みが溢れてしまう。
横を見ると、規則正しい寝息を立てるロイドがいる。
ロイドの指にも、クロエと同じ指輪が収まっていた。
今一度、クロエは布団に潜り込みロイドに身を寄せる。
「うふふ……」
多幸感に、笑みが漏れる。
微睡の中、ロイドの体温と匂いに包まれるのが、クロエの日課となっていた。
しばらくロイドを堪能してから、クロエはベッドを降りた。
窓を開けて、太陽の光とひんやりと冷たい空気を浴びてから一日が始まる。
その後、クロエはパジャマから普段着に着替える。
洗面所で顔を洗い、鏡で寝癖を整えてから朝食の準備に取り掛かった。
夫婦となり、クロエは家政婦ではなくなった。
しかしそれでも、クロエの家での役割は変わらない。
「……おはよう」
「おはようございます、ロイドさん」
朝食が出来上がる時間に、ロイドがのそのそとやってきた。
そして、朝食を作るクロエにそっと口付けをする。
軽く触れるくらいの、おはようのキス。
「今日も美味しそうだ」
机に並ぶ朝食を見て、ロイドは言った。
それから二人でいただきますをして、朝食を楽しんだ。
「ふふっ……」
「どうした?」
食事中、笑みを漏らしたクロエにロイドが尋ねる。
「いえ……幸せだなあって、思って」
愛する人と一緒に、朝食を囲む。
何気ない時間が、何よりも愛おしい。
そんなクロエの内心を、ロイドは察して言う。
「俺も……クロエと過ごす毎日は、とても幸せだ」
ロイドの言葉に、クロエは頬を綻ばせた。
他人同士だった二人が出会い、恋をして、共に一緒に過ごしていく。
それは、今日も世界のどこかで行われているありふれた幸せの形。
呪われた子として生まれたクロエにとっては、両手で抱えきれないほどの幸せだった。
「今日のお弁当にはローストビーフを入れました」
朝食を終え、仕事の準備を済ませたロイドにクロエは弁当を持たせる。
「良いな。訓練が捗る」
「大好物ですもんね」
「今日も、いつもの時間に帰ってくる」
「はい、待ってます」
そう言って、クロエは背伸びをする。ロイドも顔を近づけ、唇を重ねる。
これも、軽く触れ合うくらい。いってらっしゃいのキスだった。
「それでは、行ってくる」
「行ってらっしゃい、ロイドさん」
ドアが閉まるまで、クロエは手を振って見送った。
「さて……」
一人になって、クロエは晴れ晴れとした表情で言った。
「今日は一日、どんな風に過ごそうかな」
クロエ・スチュアート。
元辺境伯令嬢、今はロイドのお嫁さん。
これからも、王都で大好きな人と暮らしていく。
というわけで、『ド田舎の迫害令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される』なのでした。
呪われた子として虐げられていた少女クロエと、孤高の騎士ロイドとの物語はこれにて完結です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
まだまだ広げられる余地はありそうだと思いつつも、蛇足的に続けるのも性に合ってないので、キリの良い結婚という形で本編は完結とさせていただきます。
何はともあれ、皆さまの応援のおかげで無事、クロエとロイドが結ばれるところまで書き切る事ができ、またありがたいことに本作はドリコム様から書籍化、コミカライズまでさせていただき、自分としてはとても感慨深い一作となりました。
全171話、連載期間にして1年と4ヶ月ほどという、決して短くない時間をかけて完結までお付き合いいただけたこと、重ねてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
さてさて、ウェブ版の迫害令嬢の本編は完結しましたが、書籍版と幸原ゆゆ先生によるコミカライズは続いております。
書籍版の最終巻は11/10に、コミックの単行本1巻は11/24に発売されるので、こちらもぜひチェックしてくださいね。
またクロエとロイドのその後を描いた番外編や、本編では書ききれなかったエピソードも時間がある時に更新できればと思うので、ブックマークはそのままでお願い致します!
最後に皆様にお願いがございます。
本作を読了し、『面白かった』『お疲れ!』『コミックや後日談も楽しみ』と思ってくださった方は、こちらのページの下部の「ポイントを入れて作者を応援しよう」から、ポイントを入れていただけると嬉しいです。
またもしよろしければ、先月から投稿している新作にもぜひお目通し頂けますととてもとても喜びます!
新作も、クロエのような心優しく頑張り屋さんな女の子が、虐げてくる実家から逃げ出し、隣国でヒーローと出会い、幸せな日々を送るお話です。
青季ふゆという作家は多分これからもこのような系統の作品ばかり書いていくと思うので、同じ癖をお持ちの方は是非是非一緒に沼りマショウネ(手招き)
ご興味ありましたら是非、以下のURLから、もしくは広告の下のタイトル(大当たり令嬢〜)をクリックして楽しんでくださいませ!
https://ncode.syosetu.com/n8637il/
長々と失礼いたしました!
ではでは、また別の作品でお会いしましょう。
ありがとうございました。
2023/11/3 青季ふゆ




