邪魔者
男はあてもなくぷらぷらと歩いていた。
帰る家はない。ついに追い出されたのだ。
そう、男はニートだった。
所持金は家を追い出されるときに、投げ捨てるように渡された三千円だけ。
ただ男はそこまで悲観していなかった。半ば予想された未来だ。
いずれこうなるとは思っていた。それが今日だったということだけのことだ。
親が死ねば自分も死ぬくらいのぬるい覚悟で生きていただけに、人生に何ら期待はしていなかった。
働く気はないが、今すぐに死ぬ気もない。のらりくらりとやっていって、いつか野垂れ死ぬその日まで気楽に生きよう──そう思っていた。だが今はとりあえず寝たい。
そこで男は、ひとまず公園へ向かうことにした。
実はこの男、追い出される直前までゲームで遊んでいたのだ。最後に眠ったのは約二十時間前。そんなことと、普段家から出ない習慣と相まって、男は酷く疲れていた。
公園に着くと男はベンチを見つけた。そこで横になりたい、そう思った。
だがそこには三人の男性が横並びでみっちりと座っていた。
キツそうにはしていないが、拳一個分の隙間もなかった。
友人同士で仲がいいのかとも思ったが、よく見るとそうでもない。
いやむしろ、赤の他人のようだ。両端に座る二人は、お互い外側を向いて携帯電話をいじっている。
真ん中に座る男性だけが、ただ何もせずに真っ直ぐに姿勢正しく座っていた。
(世の中には変な人たちもいるもんだ……)
久しぶりに外に出た男は、そんな感想を持った。
そして、他を当たろうかと男が踵を返そうとしたその時、一番右端に座っていた男性がスッと立ち上がり去っていった。
続いて数秒後に、今度は左端に座る男性が何処かへと向かって歩き出していった。
(よし、あと一人去れば⋯⋯)
と、歩き出した男性を見送り、男がベンチに視線を戻すと、そこにはもう誰もいなかった。
よしこれで地べたで寝なくてすみそうだ、と男は喜びながらそのベンチに歩み寄った。
だが、現実はそう甘くなかった。
ベンチの真ん中は、ホームレス対策のために、小さな丸い突起物によって仕切られていたのだった。
男はがっかりして、他のベンチを探すことにした。
【解説】
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ベンチの真ん中に座っていた人間はどうやって座っていたのでしょう? というよりそもそも人間だったのでしょうか?




