呪われたベッドの噂 (夏のホラー2019参加作品)
病院といえばその筋の噂の一つや二つはあるもの。どうやら今僕が入院しているこの病院にもそのような噂があるようです。
実は僕は六日前に自転車に乗っていた時、車と事故って脚の骨を折ってしまったのです。折れているのだからしょうがありません。入院です。命に別状はありませんでしたが、それでも酷い怪我だったのでベッドの上から動くことはできませんでした。
実に退屈です。病院内を探検できたらよかったのですけど、生憎のこの骨折ではどうしようもありません。もとよりこの骨折がなければ入院することもなかったのですから、どのみち同じことです。
「退屈だなぁ⋯⋯」
そう思っていたその時、ふと、オカルト好きな後輩が以前言っていたことを思い出したのです。
『先輩知ってますか? 犀華病院にあるこんな噂話を――。なんでも三階の一番西にある大部屋の、入って右の窓側のベッドに入院すると、一週間以内に死ぬそうなんですよ。どうやらそのベッドの上で死んだ患者の霊がまだいるらしくて、呪われてしまうんだとか、なんとか⋯⋯』
はっきりとは覚えてないが確かそんなことを言っていたと思います。そして確認してみると、どうやらその呪いのベッドは僕のちょうど右隣のベッドなのです。そこには一人の女性患者が既に使っていました。僕と同じ、脚の骨折のようです。聞いたところによると彼女は僕より一日早く入院していたのだとか。つまりその噂話が本当なら、明日には彼女は死んでしまうのです。
僕はどうしたものかと考えました。
正直言ってあまり噂話を信じていません。なのでこのまま黙って観察することにしました。
そして七日が過ぎた次の日、つまり彼女が入院して八日目です。彼女はいたって普通に過ごしていました。やはり噂話は嘘だったようです。
僕はたまらず隣の彼女にその噂を話してしまいました。
「知ってましたよ。ですけど私、窓から外の景色を見たいんです」
そう彼女は言いました。
「怖くないんですか。あ、呪いとか信じないタイプなんですね」
すると彼女はこう言ったのです。
「いえいえ。信じてますよ。ですから病院にお願いして隣のベッドと交換してもらったんです」




