もしかしたら別の誰か。
我々は電話というものを使い、遠く離れた相手と会話することができる。
しかし電話の声は、本人の声ではない。
相手の元には、自分の声に限りなく近い合成音声が届いているらしい。
とすると電話の向こうのあの人は、本当にその人なのだろうか?
私は眼鏡をかけている。
私が世界を認識しようとしたとき、
それは全てガラスを通して見ていることになる。
眼鏡を外せば景色が歪んで見える。
でも本当は、世界の方が歪んでいるんじゃないだろうか?
俺は料理をしない。
全て調理済みの料理を買ってきて食べている。
原材料名に書かれているこの『豚肉』
果たして、本当に豚肉なのだろうか?
僕はよくテレビを見る。
”彼ら”を見るのが楽しいんだ。だけどあの人たちは実在するの?
テレビでしか見たことのない人間が、
本当にいるってどうして言い切れるの?
自分たちの学んだことは、どこまでが正しいのでしょう。
与えられた事実をただ鵜呑みにするだけの自分らに、
本当の真実は見えるのでしょうか?
テレビが映る理由を、貴方には説明できますか?
人の記憶は曖昧で、過去の行動のそのほとんどは忘れ去られ、
覚えているものでさえ都合よく改竄し、捻じ曲げ、上書きされる。
人が世界を知覚しようとした時、そこにどれだけの真実があり、どれだけの嘘が紛れ込んでいるのか。
もしかしたら、全てが虚構かもしれない。
全ては誰かの作り話かもしれない。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
ならば、いま一度考え直してはみませんか?
それでは、質問です。
『あなたは本当は誰ですか?』




