贈り物1
2月14日。バレンタインデーの日。
街は、輝いている。
いや、女の子がワクワクしながら、輝きながら、歩いているのだ。
好きな男の子や友達との日をより一層、楽しんでいる。
少し特別な日の感覚がある。
そんな朝のことだった。
まだ、少し暗い空の6時半くらいだった。
ピンポーン!ピンポーン!
うーん…
チャイムの音に、もぞもぞとしながらも、布団に潜った私。
ピンポーン!ピンポーン!
何度も何度も鳴らされるチャイムの音。
ピンポーン!ピンポーン!
「うーん…うるさい…」
ピンポーン!ピンポーン!
「しつこいな…」
やっと、布団から床に足が着き、起き上がる。
そして、まだ、半目状態の私は、
「はーい…」
欠伸をし、玄関の前まで行って、鍵穴を覗く。
ピンポーン!ピンポーン!
箱を持った宅急便だった。
何だろう…
ドアを開け、出た。
「宅急便でーす」
大きな声。
「…はい…」
そこで、大きな正方形の箱を渡された。
「ここに、ご署名、お願いします」
私は、名前を書き、それを渡した。
「ありがとうございました」
「お世話様でした」
ドアを閉め、リビングに持っていく。
何だろう…
宛先をみるが、分からない。
書いていないのだ。
誰からだろう…
私は、怪しみながらも恐る恐る、箱を開けた。
段ボール箱を開けると、さらに、かわいらしい水玉のピンクの表紙に包まれた箱。
そして、さらに、箱を開けるとまた、箱。
「うん?」
さらに、また、箱。
ピンク、水色、黄色、紫…
さらに、箱…箱…
…………
「箱?」
「何これ…」
思わず、声が溢れる。
しかし、次の箱を開けると…
そこには、小さく畳まれたメッセージカード。
そして、キラキラと輝いた婚約指輪だった。
"私の名前と彼の名前がローマ字表記で書かれており、二人にしか、分からないマーク。
え?
突然だった。
でも、感動した。
思わず、咄嗟に、目から涙が流れる。
小さく畳まれたメッセージカードを開く。
"結菜へ
元気ですか?どうしていますか?
ごめんな、一人にして。
何も言わず、帰らなくてごめんな。
まだ、いつ、帰れるか、分からない。
だけど、いつか、君の元に帰るから。もうちょっと、待っててほしいです。
結菜、俺は、結菜のこと、大好きです。
愛しています。
隼人より"
涙が次から次へと、溢れ出していく。
止まらない。
まるで、流れ星のように。
次々に一瞬にして、新しい雫が流れる。
会いたいよ…
今すぐ、会いたいよ…
一日中、泣いた。
もう、2度と涙が出ないのではないかというくらい。
その夜、私は、気が付いたら眠っていた。
左の薬指には、指輪をはめて。
風が穏やかに吹き始めていた。
野良猫が屋根の上で、身を丸くして、眠っている。
木の葉がチラチラと少しだけ、揺れている。
月だけは、そんな私を優しく見守っていた。




