出会い
小さな村に辿り着いたユウトは、宿を借りるために立ち寄った。だが村の空気はどこか重い。人々の表情に余裕がない。
「最近、魔物が増えててね……」
宿の主人がぼやく。
「騎士団も来ないし、俺たちじゃどうにもならない」
その言葉を聞きながら、ユウトは黙っていた。かつてなら「俺がやる」と即答していただろう。
だが今は違う。
(俺にできるのか……?)
その迷いを見透かしたように、後ろから声がした。
「あの、あなた……剣、使える人ですか?」
振り向くと、一人の少女が立っていた。年はユウトより少し下。真っ直ぐな目をしている。
「私、戦えます。でも一人じゃ無理で……」
その言葉に、ユウトは一瞬言葉を失う。
頼られることに、戸惑っていた。
だが――
「……分かった」
小さく頷く。
逃げる理由は、もうない。
少女――リナと名乗った彼女と共に、ユウトは村の外へ向かった。目的は近くに出没する中型魔物の討伐。
「無理はしないでくださいね」
その言葉に、ユウトはわずかに苦笑する。
(前にも言われたな……)
戦闘はすぐに始まった。現れたのは二体。以前なら瞬殺できる相手。
だがユウトは、あえて前に出すぎない。
「俺が引きつける。そっち、隙を見て」
「……え?」
リナは一瞬驚く。勇者が指示を出すのではなく、役割を分けることに。
戦闘はぎこちなかった。ユウトの動きはまだ粗く、リナも合わせきれない。
それでも――
「今だ!」
ユウトの声に合わせて、リナの一撃が決まる。
一体撃破。
その瞬間、確かな手応えがあった。
(……一人じゃない戦いって、こういうことか)
以前の自分なら理解しなかった感覚だった。




