次へと
道中、偶然ミリアと再会する。
生きていた。
だが、その瞳は以前とは違っていた。
「……無事だったんですね」
淡々とした声。
距離を感じる。
「俺は……」
言葉が続かない。
ミリアは静かに言った。
「勇者様は、強かったです。でも――」
一拍置いて、続ける。
「“勇者”ではありませんでした」
その言葉は、容赦なく突き刺さった。
「守れなかったですよね」
否定できない。
「自分の力を、過信していましたよね」
何も言えない。
「私たちは、あなたを信じていました」
その一言が、一番重かった。
ユウトは、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
ミリアは背を向ける。
「私はもう、別の道を行きます」
引き止めることはできなかった。
その資格がないと、分かっていたからだ。
完全に一人になる。
勇者でもなく、仲間もいない。
ただの“失敗した人間”として。
夜、焚き火の前でユウトは呟く。
「……終わったな」
何もかも。
だが同時に、思い出す。
あの敵の言葉。
「それで終わりか、勇者」
(……終わってたまるか)
初めて、感情が変わる。
逃げではなく、悔しさに。
朝日が昇る。
ユウトはゆっくりと立ち上がる。
「……もう一回だ」
力が足りないなら、積み上げるしかない。
守れなかったなら、守れるようになるしかない。
誰もいない道を、歩き出す。
今度は、誰かに持ち上げられるためじゃない。
自分の意志で。
「次は、間違えない」
その言葉は、かつての軽さはなかった。
第一章――完結。




