第49話
「油断はいけないぞ」
ぐぁあ――っ!
アーリマンから視線を外した隙を、奴は逃さなかった。アーリマンは俺の腹へと重い一蹴りを浴びせ、俺は壁際まで吹き飛ばされた。肋骨がいくつか折れた感覚がする。少しでも動くと折れた骨が肉に食い込み、激痛が身体に走る。
げはっげほっ!? ぐ、ぐぅ~~……。
呼吸すらまともに出来ない状態。互いに本気をだす前に勝敗は決してしまったかもしれない。そう思えるほど、俺はまともに動くことが出来なかった。
「……つまらん。遅歩くん。君はその程度の実力だったのか? 魔力量はともかく、実力に関しては過大評価しすぎていたようだ」
そう言うと、アーリマンは俺に近づいてきて襟首を掴む。俺はアーリマンに引きずられ、魔結晶の前に連れて来られた。その間、俺は苦痛に顔を歪めていることしか出来なかった。
「さぁ、始めるぞ」
アーリマンは何やらブツブツと唱えだし始めた。すると俺の身体から魔力が奪われ始めた。俺の体内にある大量の魔力。そして魔力生成量速度を上回る、魔結晶の魔力吸収速度。俺はまるで干からびるように全身の力が抜けていくのを、只々感じているしか出来なかった。
ごめん……エリス……リーナ……。
「遅歩様!」
聞いたことのある声。リーナの声が聞こえた気がした。
1分間の読書、ありがとうございました
また今日の18時に会えることを願っています。




