第32話
「しっ……」
………………。
「…………」
「……行きましょう」
はいはいっと。
俺は王宮内に入る壁を分解魔法で崩す。ポッカリと空いた穴を順々に通り、合成魔法でその穴をふさぐ。
意外にも悪魔たちの巡回は少なく、王宮内のある一室までは順調に来られた。極度の緊張により俺たちは行動時間にしてはかなり疲弊していた。
「一旦ここで一休憩入れましょう」
おそらくはリーナの様子を見ての判断だろう。元王女であるリーナには初めて経験だ。俺もそうだが、そこは男。体力が違う。
コツコツとドアの外から足音が聞こえる。俺たちは息を潜め、それをやり過ごす。
……そろそろ悪魔に近付いて情報を得たほうが良さそうだな。
「すみません。私が足を引っ張ってしまって」
リーナが俺たちに頭を下げる。
リーナはここで休んでおけ。エリスはリーナを頼む。俺が情報を探ってくる。
「ダメです。ここから先は私の専門です。ここまでお二人のおかげで楽に来られた分、次は私が頑張る番です。遅歩ちゃん、姫様をよろしくお願いします」
そう言うとエリスは音もなく素早く部屋を出る。俺は胸騒ぎがしていた。悪魔たちが乗っ取った王宮。ここまで簡単に来られた俺たち。悪魔とはもっと強く、残虐であるはずだ。俺たちをこんな簡単に行動させるはずがないと。そしてそれは見事的中してしまった。
「――!?」
なっ!?
王宮に轟音が響いた。
1分間の読書、ありがとうございました。
また明日の12時に会えることを願っています。




