第29話
血だらけで帰ってきた傭兵は、至急ギルドの治療室に運び込まれた。そこで集中的に治療魔法をかけるのだ。数十分後、容態が安定したのか医師が出てくる。医師が言うには魔力は空っぽ。全身に傷が多く、失血量もかなりあるという。
そんな状態から命が助かる状態までもっていった医師はすごい。そして助かった傭兵から聞き出した情報によると、俺が報告した医師は、悪魔だったという。傭兵たちで連行しようとした途端、突如として背中から黒い翼が生え、傭兵たちに襲いかかってきたらしい。そして方法は分からないが、一瞬にして自身が持つ魔力を根こそぎ奪われたとか。それからは悪魔の蹂躙が始まり、なすすべもなく殺られていったという。助かった傭兵は怪我を負ったが、悪魔に見逃されたため逃げてこられたらしい。
まじかよ……。
俺の呟きは、静まり返ったギルド内によく響いた。俺の呟きは大勢が思っていたこととは少し違うだろう。皆は悪魔の存在に対して。俺は魔力を一瞬で奪われたことに対して。悪魔についての事実が告げられた後、箝口令が下され、一旦傭兵たちは解散となった。ギルド職員で今後のことについて会議をするそうだ。
俺はエリスとリーナの元へ戻り、ギルドで起きたことを話した。二人はそんな事態にかなり驚いていた。エリスは特に、自分を診てくれた医師が悪魔だと知り、かなり落ち込んでいた。その時に何かをされた可能性もあるだろう。例えば残りの魔力を奪い尽くしたとか。俺たちの間には沈黙が続いた。
1分間の読書、ありがとうございました。
また明日の18時に会えることを願っています。




