ご褒美婚おまけ1
「陛下、甘味で釣りましたね?」
バーレイ辺境伯がさらりと言った。
「な、何を言うかと思えば……別にいいではないかっ」
バーレイ辺境伯がクックッと笑う。
アレクはわかっている。
クラリスがアレクに対して、相応の想いを持っていないということを。
アレクとて、ふんわりした程度のものなのだ。
だが、クラリスをリャンに留まらせるために、上手い具合に持っていった。
逃してはならないと直感的に思っている。
「クラリス様の『甘い結婚』と陛下の『甘い結婚』には相当の誤差があると、ちゃんと認識しておられますね?」
もちろんである。
クラリスはきっと甘味を貰えると思っていよう。
アレクのは……『甘ぁぁい』繋がりへ向かっているが。
「ご褒美で釣るとは、一国の主にあるまじき行いかと」
バーレイ辺境伯がまたもアレクを突いてくる。
「バーレイ伯だってそうじゃないか」
アレクはキッとバーレイ辺境伯を見る。
「た、谷間にチップとは、どういう了見で人の妻にっ!」
「そりゃあ、変装していたのでクラリス様かどうかを近くで確かめようと。だいたい、私よりもガニオ将軍を問いただすべきでは?」とバーレイ辺境伯。
ガニオがギクリと反応する。
アレクの冷ややかな視線がガニオに移った。
バーレイ辺境伯は上手くアレクの追及を逃れたようだ。ガニオに矛先を移して。
「ガニオ、私に何を報告していないのだ?」
ガニオが一瞬、バーレイ辺境伯を恨みがましく見た後に口を開く。
「単なる行き違いです! クラリス様持参の小汚い鞄を検分したまでのこと」とガニオ。
「そうでしたな。パッカーンと鞄を開き、『おぱーんつ』を衆目にさらした張本人ですぞ」とバーレイ辺境伯。
「バーレイ辺境伯! 私を陥れるような言葉選びをなぜなさるのか!?」とガニオ。
「つまり、まだ私も見ていないクラリスの『おぱーんつ』を見たということだな? バーレイ伯もガニオも」
悔しがるアレクの肩ににロイがソッと手を置く。
「いいじゃないですか。私なんて、クラリス様の候補に名も上がりませんでしたよ」
クラリスの主室から出た四人の会話であった。




