幸せな日常
春の月 85日
転生して2度目の夏に向けて、フランはウォータースライダー2号の製作に取り組んでいた。
スライダー2号は、スキージャンプ台の様で、天空城の端に作られる予定。フランの完成イメージは、水と共に大空へ、スポーンと飛び出す遊具。
欠点は、空を飛べるグリフォン族とドラゴン以外は、使用できないと言う事。
一応、大空に飛び出した後、グリフォン族に空中でキャッチしてもらう事を考えたが、危険なので空を飛べない者は使用禁止にする予定。
「おーい!、お昼だよ~~。お弁当持ってきたぁ~~!」
夢中で作業をしていたフランは、声がする方に振り向く。すると、赤ちゃんを抱っこしたグーとポランが、ゆっくりと近づいて来るのが見えた。
グー達の姿を確認すると、4人の元に向かって走りだす。
「ごめん、ごめん、お昼の事を忘れてた。弁当ありがとう!。スー、ラン、お父さんだよ~、今日もかわいいねぇ~~」
抱っこされた赤ちゃんを触っていると、グーが笑って話しかけてくる。
「あまり触ると、泣くからやめてよ~。それより、早くお昼ご飯食べよう」
「そうだね、今日の弁当はグーが作ったの?。楽しみだなぁ」
グーは、出産した時から母性に目覚めたらしく、育児を頑張っている。引きこもって寝ていた頃と違い、料理などの家事を覚え、子供の世話に追われていた。
「ポラン、今日のランはおとなしいね」
「あはは、そうですね。…………あっ!、赤ちゃんが泣きそう。どうしよう、どうしよう~」
ポランは、育児が嫌いでは無かったが、とても下手だったので、赤ちゃんが泣きだすと対処できず困りだした。
泣き出す赤ちゃんを受け取ったグーは、慣れた手つきですぐに泣き止ます。
「ありがとう、上手いなぁ~。どうしたら、上手くなるのかな?」
「慣れじゃないかな?、…………あ~も~、赤ちゃん可愛すぎるよ~」
グーが赤ちゃんに微笑んでいると、フランのお腹が鳴りだした。
「ごめん、お腹空いた。早くご飯食べよう!」
『あはははは!』
5人で昼食を始めてすぐに、グーが話しかけてくる。
「ヤーサお姉さまから伝言だよ、午後に多摩たちが到着するから、温泉宿を用意して欲しいそうだよ」
「了解、ご飯食べたら用意するから」
「先輩、サブキャラの能力を失っても、温泉宿のスキルが残って良かったですね」
「まあね、メインキャラの能力が残ったおかげで、温泉宿作れるから」
「ミャ~~」
「あれ、けだま?」
食事中に猫の声がして振り向くと、けだまとネムレスが歩いてくるのが見えた。
「フラン様、ヤーサ様たちが、間もなく到着します」
「ネムレス、ありがとう!。グー、ポラン、僕はすぐに出迎えに行くから、ゆっくりお昼を食べていて」
けだま、ネムレスと共に出迎え場所へ向かう途中で、ドラゴンの咆哮が聞こえてくる。
「えっ!、もう到着したの?。急ぐよ!!」
急いで出迎え場所に行くと、ヤーサ、ムーチャシー、ツークシー、多摩たち妖狐族のみんなが集まっていて、ノンとブリムが応対をしていた。
「ヤーサ、遅れてごめん!」
「旦那様、お久しぶりです。ナント、お父さまですよ」
抱っこした赤ちゃんをフランに見せて、ヤーサは幸せそうな笑顔を浮かべる。
「ねえ、ヤーサ。ナントを連れて、空を飛ぶのは止めたら?」
「大丈夫です、私の子供は天才ですから」
ヤーサは、育児に熱心だが、親ばかと過保護がひどすぎた。1秒でも赤ちゃんから離れるのを嫌がり、何処に行くのにも連れて行動している。
それに比べて、ノンはメイドのみんなに育児を任せ、仕事を頑張っている。ブリムもグリフォン族のみんなに育児を任せていた。2人が言うには、乳母に育児を頼むのは普通の事で、悪い事ではないそうだ。
「多摩、集落の復興は進んでいる?。困ったことがあったら、何時でも力になるから」
「フラン様、お気遣い嬉しく思います。ムーチャシー様とツークシー様が、復興に力を貸してくださいますから、安心してください」
「多摩、妖狐族に力を貸すのは当然の事です。私とツークシーの失敗で、多くの仲間を死なせてしまいました」
ひざまずいて謝る2人を見て、多摩は慌てて止める。
「もう十分です、何度も謝ってもらいましたから。私は、起きてしまった事より、生き残った者と明日の話をしたいです」
「多摩、今から温泉宿でゆっくりと疲れを癒して、復興がんばろう!!」
「旦那様、今日は久しぶりに一緒に過ごせますね?。早く温泉に入りましょう」
「極上の温泉宿創造!」
温泉宿に向かうみんなを見て、フランはつぶやく。
「今日も、楽しい1日になりそう。やっぱり、普通の日常が1番幸せだな」
ヤーサはフランに近づくと、手を優しく握った。
「旦那様、早く行きましょう」
「ねえ、ヤーサ。今、幸せ?」
「はい、もちろんです。突然どうしたのですか?」
「何でもない、僕も幸せだよ」
2人が顔を見合わせて笑うと、赤ちゃんも笑い出す。3人の笑いに包まれてフランたちは温泉宿に入っていく。
お終い
ヤーサの長男、ナントーカシー・ターラ 通称、ナント
真竜王、クイーンの才能を受け継いだ、中二病の最強竜。
12歳の時、暗黒竜王(中二病のおっさん)と出会い、中二病を発症する。その後、暗黒竜王に弟子入りをする。
グーの長男、スーキニシー・ターラ 通称、スー
ネコマタ、ネコマの才能を受け継いだ、2尾の竜。
海竜王と相思相愛になるが、母のグーは嫌がる。とても嫌がる。しかし、泣いて土下座する海竜王を見て、結婚を認めた。
ポランの長女、チャラン・ラン
フェアリー、エアリーの才能を受け継いだ、無気力ヒーラー。
追い詰められないとやる気を出さず、いつもボーっとしている。天才ヒーラーだが、やる気がなさすぎる。
ノンの長男、ヤル・キーニ
鬼人、キジの才能を受け継いだ、鬼軍曹。
グリフォン族の最恐として、恐れられる。怖い、怖くて厳しいと、母のノンに泣きつく者が多い。
ブリムの長男、セバス
九尾の妖狐、キューの才能を受け継いだ、チャラ男。
イケメンだが残念な所が多い。執事の仕事をしているが、男性に対する態度が酷いと、母のブリムに何時も怒られている。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
評価ポイントを入れてくれた皆さん、ブックマーク登録をしてくれた皆さん、最後まで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました。深く感謝申し上げます。
今後もよろしくお願いいたします。




