敵の最後
突然の痛みで振り返ると、笑顔のツークシーに少し大きい注射器で刺され、何かを注入された。
「まさか、あなたまで!」
フランの問いかけに応えることなく、ツークシーは素早く距離を置き、ムーチャシーの傍に移動する。
「残念、私には仲間がいたのさ。油断した、君の負けだよ」
「おい!、本当の2人はどうした!、生きているのか?」
語気を強めて大声を出したが、なぜか急に体から力が抜けていく。立っていられなくなり、膝をつくと楽しげな笑い声で話しかけてきた。
「無理はしない方が良い。今、君のサブキャラは、消滅に向かっているのだから!」
「消滅だと?」
「君のサブキャラは危険だから、消去させてもらうよ。今、注入した薬によって、あと少しで消去完了♪。あはははは!!」
ネムレスが銃を2人に向けて発砲しようとすると、偽ムーチャシーが光る板を見せて、フランに話しかける。
「フラン君、もし私たちを攻撃したら、本当の2人は死ぬよ。だから、攻撃しない方がいいと思うな~~」
「チッ!、………ネムレス、攻撃しないで」
「せっかくだから、この光る板の正体を教えてあげる。これは、小型竜封石!。本当の2人は、この中にいるよ。無くして困ってたんだ、届けてくれてありがとう♪」
「…………………チッ!!」
「私のオリジナルだから、同族にもわからなかったみたいだね。これを、無理やり壊すと中の者が死ぬんだ。攻撃されたら、すぐ壊すからね」
対応に困っていると、偽ツークシーが楽しそうに話し出す。
「今から、大戦争を始めて世界をリセットするから、君らはここで見ているといい。最高のショーを見せてあげる」
「大戦争が目的だったのか?」
フランの質問に答えるように、偽ムーチャシーが黄金竜に変身する。
「見て、この美しい姿!、多くの異世界を見て来たけど、これほど美しい生き物はいない!」
「…………………」
「私は、美しい物が好き。この世界に、お気に入りのコレクションを集め、最高の世界を創るのよ!!」
熱弁する偽ムーチャシーに続いて、偽ツークシーがフランたちに語り掛ける。
「物が壊れていく様子は、最高だよね。大戦争、楽しみだなぁ~~」
(この2人を、このまま行かせてはいけない!。絶対に!!)
「ネコマ、最後に力を貸して。お願い!」
(ネコマ、チェンジ!)
祈る気持ちでキャラチェンジを試すと、ネコマの姿に変身できた。
「やった!。トレジャーハンタースキル、アイテムゲット!!」
アイテムゲットのスキルは、近くにあるアイテムを手元に瞬間移動させる。このスキルを使用して、フランは小型竜封石を取り返した。しかし、スキルの使用で最後の力を使ったらしく、変身が解けてフランの姿に戻る。
「まだ、力が残っていたか。君もしぶといね」
「これで、攻撃できる!」
「甘いね!。それなら、転移して逃げるだけ」
「そうはさせない!、これを見ろ!!」
太古さんが機械の様な物を取り出して、2人見せつけた。すると、余裕が無くなり慌てだす。
「そ、それは転移防止装置!!」
「そうだ!。転移は出来ない、諦めろ!!。フランさん、私たちの変身は、姿をまねするだけ、能力はまねできない。だから、あれは弱い!」
「チッ!、余計なことを。なら、最後の切り札を使う。オートマタ、ステルス解除!!」
偽ムーチャシーが叫ぶ声に反応して、何も無かった場所から、武装した3人の男性が現れる。
「ネムレス、あれは何?」
「わかりません、正体不明のオートマタです」
「それなら、教えてあげる。これは、私が作った特別なオートマタ。骨董品のオートマタと比べて、段違いに優秀なんだから」
笑いながら自慢する偽ムーチャシーを無視して、フランはネムレスに近づいて耳打ちをした。
「勝てる?」
「了解です」
ネムレスは、素早い動きで3人のオートマタの正面に移動すると、口を大きく開いた。
「試験兵器起動、エネルギー充填……………完了」
敵は、ネムレスの動きに対応して動き出したが、間に合わない。
「消滅砲、発射!」
マシン国の技術者が、真竜王の消滅ブレスをまねして作った、消滅砲。使用するオートマタに、大きな負担が掛かるが、威力は絶大で直撃した敵のオートマタ達は、消滅して何も残らない。
オートマタの近くにいた、偽者の二人は消滅砲に巻き込まれ、あっけなく消滅したらしく、姿が見えなかった。
「ネムレス!、しっかりして!!」
「ギギィ、ギ、破損甚大。自己修復のため、一時機能停止」
消滅砲の反動で、体がボロボロになったネムレスは、動きを止めて反応しなくなる。
心配したフランがネムレスの体を調べていると、ボロボロの敵オートマタが近づいてくるのがわかった。
「うそ!?、まだ生きているのか?」
(クイーン、チェンジ!)
「チッ、やっぱり変身できない。太古さん!、あれ倒せますか?」
「やってみます」
銃の様な物をを取り出し、何度も撃つがダメージを与えられない。
「フランさん、ダメです!。この武器では、ダメージを与えられません」
(どうしよう、クイーン。最後に力を貸して、お願いだから!!)
(クイーン、チェンジ!)
(クイーン、チェンジ!)
(クイーン、チェンジ!)
何度もキャラチェンジを繰り返すと、奇跡的に変身できた。フランはすぐにドラゴンの姿に変身して、大きく息を吸い込む。
「真竜王スキル、極意、極大消滅ブレス!!」
真竜王スキルの中でも、最強攻撃を放つと敵オートマタはもちろん、大きく地面が消滅した。
変身が解けて、フランの姿に戻ると疲労感で倒れそうになったが、太古が支えてくれる。
「太古さん、小型竜封石の解除、出来ますか?」
「大丈夫です、任せてください!」
「それじゃあ、お願いするけど、失敗しないでね?。ねえ、マアハ!。僕はもう飛べないから、ヤーサに迎えに来て欲しいと、伝えてくれる?」
「わかりました、すぐに向かいます」
伝令として飛び立つマアハを見て、フランは天空城にいるみんなを思い出す。
「早く、ヤーサたちに会いたいな」
次回は最終回です。
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
ぜひ、最終回もお読みいただければ幸いです。




