犯人の正体
手掛かりのキラキラ光る板を見ても、なにもわからずフランは考え込む。
「これは、何だろう。…………………ねえ、太古さん、何処で手に入れたの?」
「今回の、竜封石が破壊された場所で手に入れました。おそらく、犯人が落としたのでしょう」
「えっ!、襲撃があった時、この場所にいたのですか?」
「いえ、この場所には、鳥の姿でフランさんを追いかけて来ました。竜を倒しに行っている間、私は犯人の手掛かりを捜しまわり、竜封石があった場所で見つけたのです」
「そうですか。…………あれ、鳥の姿で追いかけて来た?。まさか、僕たちの近くに何時もいたのですか?」
「はい、すみませんが、適度に監視していました。必要以上に地球の知識や技術を広めようとした時、止める役目がありますから」
頭を下げて謝る太古に、フランは慌てて声を掛ける。
「監視されていた事は、気にしていませんから!。死んだ僕を転生させてくれた太古さんに、すごく感謝しています。ですから、謝らないでください」
「勝手に転生させてしまいましたが、喜んでくれて何よりです。………フランさんの傍にいて、竜封石の破壊を知りましたが、あれを壊せる者はこの世界にいません。間違いなく、犯人は私たちの種族でしょう」
「誰なんだろう。まさか、マシン国に技術を教えた者が、また悪事を働いているのかな?。でも、大昔の事だから、死んでいるだろうなぁ」
「私たちの種族にも、母国と呼べる異世界があります。マシン国に悪事を働いた犯人は、この世界から逃げようとした時、捕まって母国の牢獄に閉じ込めらました。その後、獄死したそうです」
「太古さん、犯人に心当たりは?」
「同族が悪事を働いていると知って、私なりに調査をしましたが、わからないのです。とりあえず、フランさんの傍で、情報収集しようと考えていたら、今回の悲劇を招いてしまいました。本当にすみませんでした」
「…………………僕より、族長の多摩に謝るべきだよ」
「今まで、隠密裏に犯人を捜していましたが、今後の悲劇を止めるため、フランさんの力を貸してください」
「もちろん!。まずは、多摩に今回の事を詳しく聞いてみよう」
多摩に会いに行くと、怪我から意識を取り戻した妖狐たちと話し込んでいた。
太古は、多摩に近づいて何度も謝罪を繰り返す。包み隠さず話をすると、激怒した多摩が平手打ちをしようとした。しかし、途中で止めて大きなため息をつく。
「………………私が憎いのは、あなたではなく犯人です。申し訳ないが、私が見た犯人は覆面をしていて、顔がわからない。女性か男性なのかも、わからなかったですね」
「ちょっと待って、犯人は覆面をしていた?。…………様々な姿に変身できる種族が覆面をしていた?。ねえ、太古さん変だと思いませんか」
「変身する姿に、好き嫌いがあります。おそらく、犯人のお気に入りの姿は、族長の知り合いでしょう」
「変身を見破る……………あっ!、ムーチャシーが来た!!」
会話の途中だったが、ムーチャシーとツークシーが飛んでくるのが見えて、フランは大声を出す。
2人は地上に降り立つと人の姿に変身し、ゆっくりと近づいてくる。
「多摩、救助が遅くなりすまない」
「ムーチャシー様、警告されていたのに竜封石を守れず、集落を崩壊させてしまいました。申し訳ありません」
「あなたは悪くありません。フランさん、呪い竜を倒したのですね。ありがとうございます」
「お礼を言われることじゃないよ。それよりも、ずいぶん早かったね?」
「この近くを、ツークシーと一緒に飛んでいましたから、早く来ることが出来ました。ですが、間に合わなかった事を、お詫びします」
「ムーチャシー様が、謝る事ではありません。全て、弱い私が悪いのですから!!」
「あら?、多摩、手から血が出ていますよ」
多摩が強く握った手から、血が出ている事に気付いたムーチャシーは、胸元からハンカチを取り出して血を拭き手当てをする。
(あれ?、胸元が少し見えたけど、ペンダントが無かったような気がする)
「ムーチャシー、ツークシー、重要な事が分かったから、落ち着いて聞いてね」
フランは2人に、犯人は異世界を転移する種族だと言う事や、太古の知っている情報を詳しく話し、手掛かりの物を見せた。
「ねえ、ムーチャシー。この光る板、何か分かる?」
「えっ!これは」
「犯人の手掛かりらしい」
「…………………そうですか」
「何か知っているの?」
「はい、犯人が分かりました。これは、海竜王が持っているアクセサリーの一部です」
「えっ!海竜王!?」
「今すぐ、全面戦争です!!。すぐに全ての眷属を集めて、攻め滅ぼします!!」
「待って!、この光る板だけで犯人と、決めつけるのは良くない!。太古さん、変身を見破る方法はないのですか?」
「もちろんありますよ。少し待ってください」
スーツの中からオカリナを取り出すと、フランに差し出してくる。
「私たちの種族が、100メートル以内にいる時に、その笛を吹くと共鳴音が派生するんです」
「へぇー、よくわからないけど、吹いてみるね」
フランがオカリナを吹くと、共鳴音が聞こえてくる。
「えっ!、敵がいる!?」
「私です、敵じゃありませんよ」
「ごめん、忘れてた。確かに、太古さんが近くいたから、共鳴音がするのは当然だよね」
「フランさん、遊びは終わりましたか?。私は、戦争の準備がありますので失礼します。ツークシー、早く行くわよ」
「はい、ムーチャシー様」
「ねえ、ムーチャシー!。骨のペンダントはどうしたの?」
「え、あ、あれは似合わないので、家に置いてきました。それが何か?」
「何でもない、少し気になっただけ」
背を向けて、立ち去ろうとするムーチャシーに、フランは右ストレートで殴り掛かったが、かわされてしまう。
「何をするのですか!!」
「黙れ偽物!!、みんな、こいつは偽物だ!!。ネムレス、戦闘態勢!!」
「フランさん、何かの間違いですよ」
「骨のペンダントは、ムーチャシーの宝物!。絶対に手放さない!!」
取り囲まれたムーチャシーは、背筋が寒くなる様な笑顔を浮かべて、高笑いをする。
「あはははははははははははははは!!。あんなゴミで気づかれるとは、私も爪が甘いなぁ~~」
「この場所から、逃げられると思うなよ!!」
「いや~、君の負けだよ!」
不意の痛みで振り返ると、後ろの脇腹辺りを刺されていた。
次回予告
「フランさん!、しっかりしてください!!」
「なんだろう、力が抜けていく…………………」




