嫌な予感
昔のように、ドラゴンとオートマタの戦いが、始まる可能性があると言う警告の石碑を見て、フランは啞然と立ち尽くす。しばらくの間、固まって動かないので、マアハが軽く肩を叩きながら声を掛ける。
「あの、石碑の内容を早く、ムーチャシー様に知らせた方が良いのでは?」
「えっと、ごめん、ぼーっとしてた。何か用?」
「はい、ムーチャシー様に連絡しますか?」
「そうだなぁ。…………まずは、古代竜が隠した場所の調査をしよう。連絡は、調査の後でいいかな?」
「分かりました」
(メインキャラ、チェンジ!)
「それじゃあ、今から場所を確認するね。スキル、『世界地図』、現在地表示」
軽くため息をつくと、空中に表示された地図と石碑に記された二箇所を比べた。
「地形が変化して、分かりずらいなぁ。…………………あ~、なるほどね。やっぱり封印した場所の一箇所は、オリハル鉱山だ。残りの場所は、…………湖のようだな」
「フラン様、目的地が分かったのですか?」
「僕とネムレスは封印した場所に向かうから、マアハは伝令として妖狐族の集落に、行ってくれないか?」
「はい!。分かりました。全速力で向かいます!」
「すまないが、用事があって遅れると、伝えて欲しい。終わったら、集落で待っていて」
力強くうなずくと全速力で飛び立ち、すぐに姿が見えなくなる。
マアハを見送り、ネムレスを乗せ目的地に向かって飛び立つ時、嫌な予感がする。今すぐに、マアハを追いかけた方が良いと感じた。
「フラン様、移動しないのですか?」
「なんだろう、すごく気持ち悪い。マアハに、良くない事が起きそう」
「理解できません。マアハが心配なら、追いかけますか?」
「…………………そうだね。ネムレス、今すぐに追いかけるよ!!」
マアハが伝令として、妖狐族の集落に向かった日の深夜。
妖狐族の集落に御神体として祀られている、高さ3メートル位の青い石に何者かが近づいてくる。
足音や気配を感じさせずに、青い石に辿り着くと、石に機械のような物を取付て、何かの作業を行う。夢中で作業をする侵入者に、気配無く近づいた九尾の女性が声を掛ける。
「動くな、動けば殺す」
「…………………」
「まず、御神体に取り付けた、変な物をはずせ」
侵入者は返事をせず、動くことなく女性を見ると、冷たい声で話し掛けてくる。
「お前は族長だな」
「ほう、私を知っているか。誰だ、顔を見せろ!」
相手の正体を探ろとしたが、顔は覆面でわからず、ゆったりとした黒いローブを身に着けていたので、性別もわからなかった。
「早く顔を見せろ!、殺すぞ!」
命令に従わない侵入者に危険を感じ、攻撃態勢に入ると、黒いローブから何かを取り出した次の瞬間、緑の光が九尾の女性を貫いた。
「かはぁ、今なにが…………………」
本能的な動きで致命傷は避けたが、血を吐き膝から崩れ落ちて、地面に倒れ込む。
「私の邪魔をするな」
「な、なにが……………も、も、く…………………」
「おや、まだ生きていましたか?、獣はしぶとい。一応、確実に殺しておきますか」
とどめを刺されると感じた女性は、最後の力で手鏡を取り出すと、たたき割った。
地面に叩きつけた手鏡が割れると、女性が眩しい光に包まれて消え去る。
「…………逃がしたか」
侵入者は逃がした事を気にしないで、何かの作業を続けた。しばらくすると、覆面を取り笑いながら、ボタンを押して叫ぶ。
「さあ、全てを破壊せよ!!」
叫び声と共に、青い石が砕け散り、中から黒い煙を身にまとった竜が5頭現れる。
次回予告
「マアハーー!!」
「ネムレス!!、生存者を探して!」
「僕は、呪い竜を止めるから!!」
「フラン様、竜の相手は私に任せてください」




