マージ夫妻が帰っていく
食事によって体力が回復したマージはのんびりする事無く、すぐに帰ると言い出す。
旅起つ前に、ヤーサとグー、フランが別れを惜しんで話をする。
「マージ、怪我は大丈夫なの?」
「姉さん、体力が回復したから大丈夫。仕事が残っているから、すぐに帰らないと」
「怪我した時くらい仕事を休んだら?、ゆっくりと怪我の治療をした方がいい」
「!?、姉さん変わりましたね。仕事を休めなんて、初めて言われた気がする。…………急いで帰るのは仕事以外にも、娘と母さんに早く無事を知らせるためなんだ。だから気にしないで」
「えっと、娘がいるの?」
「ああ、名前はアイシー・ターラ。まだ小さい子供だが、ツーの様に可愛い自慢の娘なんだ」
娘がいると聞いてフランが驚いていると、グーがマージの服の裾を引っ張ってから、紙に包まれたものを差し出す。
「お兄さま、これアイちゃんにお土産。お菓子を包んであるから」
「すまないな。ところでグー、ちゃんと規則正しい生活をしているのか?何もしないでボーっと生活していたお前が、結婚して母親になるのかと思うと心配だ。フランさんに迷惑かけるなよ?」
「そ、そんなことないよ~、毎日私なりに頑張っているんだから。それと、母親になるのは心配だけど、お姉さまがいるから大丈夫!」
姉の腕にしがみついて答えるグーを見て、マージとツークシーは大きなため息をつく。
「グー、あんたは相変わらずだね。ヤーに頼るのもいいけど、ほどほどにしときな。そろそろ、姉離れしたらどうなんだい?」
「うげぇ、それは、その~。あの~、…………えっと」
ツークシーに注意されて返事に困ったグーは、視線を泳がせてヤーサの後ろに隠れてしまう。
「妹をいじめるのやめて、怖がっているじゃない。グー、私は何時でも味方だから、安心して」
「はいはい、ごめんなさい。まぁ、どうでもいいけどさ、出産は思っているより大変だよ。ヤーはともかく、グーに出来るのかな~」
「ツー、出産についてのアドバイスとか、注意する事を教えて欲しいのだけど?」
「う~ん、そうだな。陣痛が始まったら、人の姿に変身する事かな。もし、ドラゴンの姿で出産した場合は、卵で生まれてくるから注意するように」
「それは知っている、卵で産まれると孵化するまで、守らないといけないから大変なんでしょう?」
「まあね、…………さてと、娘が待っているだろうから、そろそろ帰るよ」
「フランさん、姉と妹をよろしく頼む」
マージ夫妻はドラゴンの姿で飛び立つと、上空を1回だけ旋回して帰っていく。
翌日、フランが午前中の仕事をしている時に、ツンが泣きながら走って来る。
「フランさーん、岩盤が硬すぎるよ~。大切なつるはしが壊れそうだから、何とかして~~」
「どうしたの?、意味が分からないから詳しく話して」
「採掘しようとしたら、硬くて無理なの!。硬すぎて採掘出来ないから、何とかしてほしい」
泣きながらフランに抱きつき訴えてくるツンを見て、傍にいたヤーサが話しかけてくる。
「ツン、硬い岩盤を掘りたいのですよね?。それなら、良い道具を貸してあげますよ」
「旦那様、少し離れますね?」
ヤーサが足早に立ち去ると、すぐに金色のスコップを持って現れた。
「あっ、それ無力スコップ!」
「はい、そうです。これなら、硬い岩盤を掘れるかと」
無力スコップを受け取ったツンは、試しに近くにあった岩を削ると、サクッサクッと力を入れなくても削れてゆく。
「!?」
無力スコップの性能に驚いたツンは、何も言わずに採掘場所に走り去っていった。
その後10日間、食事や眠ることなくツンは採掘を続けていたので、心配したギルとフランが様子を見に行くと、やつれた姿で倒れていた。
急いで宿のベットに運んで、回復魔法を使用すると意識を取り戻す。
「ツンちゃんのばかーー!!。心配したんだから、倒れるまで採掘するなーーー!!」
意識を取り戻したツンを抱きしめて、泣きながら怒るギルの頭を撫でてツンは謝る
「ギルちゃんごめんなさい。つい、夢中で採掘していたら意識を失っていたの」
「えぐっ、ぐす、…………無事でよかったよ~~」
安心したギルが泣き続けていると、ポランが部屋に飛び込んでくる。
「先輩、大変です!!。黄金竜が飛んできます!!」
次回予告
「旦那様、疲労でぐったりしているお母さまのために、温泉を用意してくれませんか?」
「えっ!、何があったの?」
「呪い竜の一件で、他の竜王と問題が起きた様です」
「大丈夫なの?」
「詳しい事を、温泉でお母さまから聞きましょう」




