3日間、料理を作り続けるのは大変
朝食を食べ終わったころに、マージが意識を取り戻したと聞いてフランは急いで向かう。
目覚めたドラゴンは、ツークシー、ヤーサ、グーと楽しそうに話をしていたが、フランが来たことに気付くと人の姿に変身して近づいてくる。
「あなたがフラン義兄さんですか?。俺はマージメニシー・ターラ、マージと呼んでくれ」
「義兄さんじゃなくて、フランと呼んで。ヤーサだけじゃなくグーの夫でもあるんだから、僕の方こそマージ義兄さんと呼んでもいいいかな?」
「ムゥ、…………それはやめてくれ。姉さんに叩かれてしまう」
「わかった。それじゃあ、マージ怪我の具合は良くなった?」
「ああ、大丈夫だ。今回は本当に助かった、ありがとう。この借りは、いつか返すから」
細身だが筋肉質のマージが、特徴的な低い声で感謝の言葉を伝えて礼をしようとしたが、少しよろけてしまい、慌てたツークシーに支えられる。
「ちょっと、大丈夫かい?」
「ツ―、すまない。少し体がだるいんだ」
「怪我が完治してないのだから、マージはまだ寝てな」
「その前に、フランさんに話が」
ぐぎゅるる~~。
「フランさん、実は今回の」
ぐぎゅるる~~、ぐぎゅるる~~。
「マージ、話よりも食事にしたら?、お腹の音がすごいよ」
「いや、そんなことは、…………ない」
マージはお腹を押さえて音がしないようにして、平静を装う。しかしながら、すぐに大きなお腹の音が鳴り響く。
お腹が空いていないと装うマージの様子が面白かったのか、ヤーサは口に手を当てて笑い転げる。
「マージ、家族相手に遠慮してどうするの?、さあ、食事にしましょう」
「姉さん、…………すみません。ツー、食事をもらえるかい?」
「もちろん、用意するから待ってな」
料理を作り始めているメイドたちの元に、ツークシーが走り去っていく。
ほどなく、メイドたちと共に大量の料理を運んできたので、急いでテーブルと椅子を用意した。
テーブルに乗せられた料理を見て、マージが我慢出来ずに食べ始めるとツークシーが文句を言う。
「ちょっと、一緒に食べたかったのに~」
「ごへん、…………おなはがすいて…………おいひぃ」
料理を口に詰め込んで、もごもごと話すマージを見て、ツークシーは呆れたようにため息をつく。
やがて、料理を並べ終わるとマージの隣に座って、嬉しそうに食事を始める。
マージの食欲は想像以上で大変だった。
食事に夢中になり会話をすることもなく、3日食べ続けてようやくお腹が一杯になる。ヤーサとグーはそれほど食べなかったが、ツークシーが途中から大量に食べだしたので、料理を作っているメイドの体力と食料が無くなった。
追加の買い出しでも足りないので、フランとけだまが森の中で狩りをする事に。
料理は段々と手抜きになっていくが、夫婦揃って気にする様子はなく夢中で食べていく。
3日後
食事を終えて落ち着いたマージが、2人だけで話がしたいと言って、フランを人気のない場所に呼び出す。
指定された場所に行くとマージが待っていて、フランを見つけると真剣な顔で話しをしてきた。
「遅くなったが、結婚おめでとう。姉さんの弟として、嬉しい。それに、妹の兄としても嬉しい」
「今後は家族になるから、よろしく頼む」
笑顔のマージが手を差し出してきたので、フランはその手を強く握りしめる。
「マージ、こちらこそよろしくお願いします」
「姉さんは激情家だし、妹は甘え癖があるから大変だと思うが、どうか大切にしてくれ」
「わかった、2人の事は任せて!」
「それと、2人以外に奥さんがいる事について、俺は姉さんが納得しているから何も言わない。けど、2人を粗末に扱ったら許さない」
フランは握りしめた手をより強く握って、マージの目を真っ直ぐ見て返事する。
「約束する、2人を大切にするから!」
返事を聞いてマージは安心したのか、ホッとした表情を浮かべて手を放す。
次回予告
「先輩、マージ様夫妻が帰りましたね~」
「メイドたちが、疲労で動けなくなったけど、体力が戻ってよかった」
「あれ?、何か飛んできますよ。ドラゴンじゃないですか」
「!?」




