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カゲヌシ  作者: ぽんこつ


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58/95

文菜の魅力

挿絵(By みてみん)

薄く雲が広がった夕空は、まるで絵筆でぼかした水彩画のように柔らかく霞み、淡い黄色味を帯びた残光が稜線の上で名残惜しげに揺れている。

夜の静かな気配がじんわりと忍び寄り、空には黄金から藍色への繊細なグラデーションがゆっくりと広がっていた。

自然とハンドルを握る手に力が入っていた。

さっき、車に乗り込んだところで、安居から「羽代」の姓についての報告書がメールで届いた。

内容は驚愕の一言。にわかには信じられないものだった。

ただ、これで確実に自身が「カゲヌシ」にまつわる出来事の渦中にいる事を裏付けられた。

すぐさま男にメールを転送し、結局これから慎哉を交えてこれからミーティングを行うことになった。

助手席の文菜は、窓の外の景色に視線を落としながら、小さな声で鼻歌を口ずさんでいる。

その声は風に溶けるように軽やかで、時折、目を細めてゆっくりと遠くを見つめる横顔には、どこか懐かしさと安心感が宿っていた。

信号待ちの間、諒はふと、そんな文菜の横顔に視線を止めた。

細やかなまつげの影が頬に落ちて、微かに柔らかく揺れている。

窓の外の風景よりも、その小さな仕草のひとつひとつに心を奪われている自分に気づき、ドキッとした。

それと同じくらい、心がぽかぽかと温かく満たされていく、あの頃の感覚が呼び呼び覚まされる。

信号が変わり、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。

「文菜、後で会ってほしい人がいるんだ」

ハンドル越しに前方を見据えたまま、なるべく自然に、けれど少しだけ緊張を隠せずにそう告げる。

文菜は少し首をかしげて、振り返る。

柔らかな夕陽がその髪を金色に染め、瞳が夕空の色を映して煌めいた。

「会ってほしい人?」

その声は、小さな期待を含んだ優しい響きだった。

「うん、例の年上の頼りになる人と、ちょっと変わった奴だけど、文菜に会いたいって言ってるんだ」

文菜の顔にぱっと明るい笑みが広がる。

頬がほんのり紅潮し、口元が自然と緩む。

「うん、いいよ、諒くんが知り合いを紹介してくれるの嬉しい」

その笑顔を見て、自分の頬もほころぶ。

何気ないその一言に、文菜への想いがまた深く染み入る。

「まあ、この二人はカゲヌシに関する調査をしているんだ」

「そうなんだね」

「……本当は二人で食事だったんだけど」

約束を反故にした申し訳なさが先立ち、ちらりと横目で文菜を窺うと、目を丸くして笑っていた。

「いいよ、私も会いたいから」

助手席で少し身を乗り出すようにしてこちらを見る。こういうところが、グッとくる。

文菜はにこっと笑ってから、少しだけ胸を張るように姿勢を正す。

俺はハンドルを握り直し、ちょっとだけ息を整える。

「そう言えば……」

「なあに?」

「文菜って東京の家ってどこなの?」

その問いに、文菜は少し戸惑いながらも口を開いた。

「え……新小岩って知ってる?」

俺は思わず笑いを堪えきれず、冗談めかして返す。

「ハハ、嘘だろ……」

「嘘じゃないよ」

文菜は頬を膨らませて、拗ねたように眉を寄せる。

「いや、違うんだ、俺も新小岩に住んでる」

「嘘……」

文菜が驚きのあまり瞬きを繰り返し、口元を手で覆う。その仕草があまりに可愛らしくて、胸の奥がくすぐったくなり、自然と笑みがこぼれる。

「あ、ごめん……ビックリして」

はにかんで、髪を耳に掛ける。

「俺は北口の方だけど、文菜は?」

「私も……川沿いに大きな公園があるでしょ、何か緑のある所が良くて」

「ああ、あそこ、よく行くよ。本読んだり、散歩にちょうどいい」

「そう、私も……」

文菜が言いかけたところで、二人の目が合った瞬間、同じタイミングで小さく吹き出した。

「今、同じこと考えてた?」

「え?」

「そんなに近くにいたのに会えなかったんだって、だろ?」

「うん、ちょっと悔しいかな」

文菜は口を尖らせ、肩をすぼめてみせる。

「そうだな……でも、会えたじゃないか」

「うん!」

文菜が目を輝かせ、嬉しそうに首をすくめた。

その仕草があまりに可愛くて、思わず息が詰まりそうになる。

けれどその笑顔がすっと翳り、文菜は視線を落とす。

夕暮れの光が差し込み、文菜の横顔に淡い影を作る。

「あのね……」

戸惑いがちに指先を組み直し、少し唇を噛んでから声を落とす。

「さっき、根元さんの家に向かう時、高校の図書室の窓に諒くんに似ている人が立ってて……手を振ってたんだ……」

その声は少し震えていて、迷いが滲んでいた。

「どういうこと?」

ハンドルを握る手にほんの少し力が入った。

「私も良く分からないんだけど。ちょっと目を逸らしたら、いなくなってて……気のせいかなって」

文菜は首をかしげ、小さく息を吐く。

その指先が心なしかぎゅっと強く絡まっていた。

「なるほど……」

少しだけいや嫌な予感がした。

偽物の玲美の一件もある。

交差点の信号が赤に変わり、ブレーキを踏む。

「それ以外で、何かあった?」

「ううん、何もないよ……」

そう言いながら、文菜は指を絡めたまま、小さく首を振った。

「何でもいい。少しでも気になることがあったら、ちゃんと話してくれ」

信号待ちの間に、そっと文菜の肩に手を置く。

俺の手に、文菜はそっと手を重ねてきた。指先がほんのり温かい。

「はい。わかりました」

どこか安心したように頷きながら目を閉じ、ゆっくりと呼吸を整えているのがわかる。

エアコンの風に揺れる髪の隙間から見えた横顔が、いつもより少し大人びて見えた。

俺はハンドルを持ち直し、わざと軽い調子で話題を切り替えるように口を開いた。

「それから、その知り合いがね、夕食をご馳走してくれるって」

文菜がぱちりと目を開けて、驚いたようにこちらを見つめる。

「はい」

「さっき飯食ったばかりだから……無理に食べなくてもいいからな」

「はい」

「どうした?」

「何が?」

文菜はキョトンとした顔を向ける。

「なんか、その……かしこまって、素直じゃない?」

「もう……それって、今まで素直じゃなかったってこと?」

文菜は唇を尖らせ膨れている。

顎を突き出し横目で見る感じ。

ちっとも変わらない。

そして本当に拗ねている訳じゃないのは知っている。

「いや、そういう意味じゃなくて……」

信号が青に変わり、前の車がゆっくりと動き出す。

俺もそれに続いてアクセルを踏んだ。

その時だった。

「……なんだか、ちゃんと、これからも一緒にいられるんだって思ったら……少しだけ、ね。……恥ずかしくなっちゃって」

小さな声だった。まっすぐ前を向いたまま、照れくさそうに吐き出すように、文菜が言った。

「え?……どうして」

「いいの。諒くんは、そのままでいて。……私はね、今、幸せを噛みしめてるの」

少しだけうつむいて、目元に笑みを浮かべながら、手のひらをぎゅっと握りしめている。

その姿があまりにも静かで、けれど確かで――

言葉よりも深く、記憶に刻まれた。

「ふーん。あの頃だってそんな顔してたのに?」

文菜は顔を真っ赤にして、思わず手で頬を覆うようにして視線を逸らす。

俯いたかと思うと、膝の上に置いた手を、そっと絡まり合っている。

学生時代、当たり前のように見ていた文菜の笑顔。

その笑顔が、あの頃も今も変わらず、幸せそのものだったんだと――

昨日と今日、一緒に過ごして、ようやく理解して実感した。

「もっと……もっとなんだよ。……怖いくらい幸せで……夢みたいで……ね。醒めないでって、心の中で何度も、思っちゃうの」

こんなふうに文菜が想いを口にしたことは、これまで一度だってなかった。

だからこそ、それを今聞けたことが、愛おしくてたまらない。

「そっか……ごめん」

「ううん、うまく言えないけど……こうして、諒くんに想いを話せることが、もう……十分すぎるくらい幸せなの。だって……こうして、一緒にいられるでしょう?」

そう言って微笑む文菜の横顔に、どこか安心したような、静かな決意が宿っていた。

「それは、俺だってそうだよ、昔だって、今も、文菜が隣にいてくれることが、幸せだと思う」

「うん。……うん」

文菜は白い歯を見せてにっこり笑う。

「話してくれてありがとう」

「うん、私もありがとう」

少し照れたように笑い、瞳を伏せる。

膝の上に置いた手をそっと見つめ、指先でその線をなぞるように撫でる仕草をしたあと、文菜はゆっくりと顔を上げた。

そして、ふっと肩の力を抜いたように、少し身を乗り出してジーッとこっちを見つめる。

いつのまにか手にしていた栞をかざした。

「ねえ、この栞、もらってもいい?」

「あれ、いつのまに……?」

「さっき、鞄の中から落ちたの。気になっちゃって」

文菜はそっとその小さな紙片を持ち上げ、光に透かして眺めた。

その目が細められ、やさしく笑う。

「いいよ。そんなものでよければ」

「いいの?すごく嬉しい。ありがとう、諒くん」

ふと、栞を胸に当てて、目を閉じる文菜の姿を見て思う。

どこか遠くの時間から、やっと今に辿り着いたような――そんな不思議な感覚があった。

車は、古い醤油工場が建ち並ぶ湾沿いの道を進む。

低い木造の倉庫が連なり、瓦屋根の隙間から蒸気のような湯気が立ちのぼっている。

車内にまで、甘く焦げたような、醤油の匂いがほんのりと漂い込んでくる。

窓越しに見る通りは、夕暮れの橙色に染まり、影が長く伸びていた。

やがて車は、ベイリゾート夕凪島と記された木目調の看板の前に滑り込む。

整備された砂利の駐車場。海沿いには背の低い植え込みと、波除けの柵が続いていた。

車を停めてエンジンを切る。

ドアを開けると、ひやりとした潮風が頬を撫で、遠くでカラスの鳴き声が聞こえた。

そっと文菜に手を差し出すと、嬉しそうに唇を噛み、キラキラした瞳でその手を取った。

指先が絡み合い、微かに汗ばんだ互いのぬくもりが伝わってくる。

その体温を、俺はしっかりと受け止めた。

エントランスをくぐると、ロビーの中は意外なほど賑わっていた。

スーツケースを転がすスタッフ風の若者、タブレット片手に打ち合わせをする男女――

どうやら映画関係者の一団が宿泊しているらしい。

大きなガラス窓の向こうには、ゆったりとしたロビーラウンジが広がり、窓辺のソファに腰掛けた人物たちの会話が、柔らかく反響していた。

文菜と肩を並べ、エレベーターへ向かう。

ロビーの喧騒から一歩離れると、空気が少しひんやりとして、文菜の肩にかかる髪がふわりと揺れた。

照明に照らされた横顔には、まださっきまでの余韻が残っている。

どこか夢を見ているような目で、静かに歩いているのがわかる。

エレベーターの扉が開くと、文菜は少し驚いたように目を丸くしながら乗り込んだ。

微かに五月の香水の匂いが鼻をくすぐる。

僅かな緊張が走る。

ここに泊まっているのか――それとも。

何気なく辺りを見回しながら、俺は奇数階のボタンをすべて、ぽんぽんとリズミカルに押していった。

「……何でそんなことするの?」

眉を寄せて首をかしげる文菜。その声にはほんのり笑みが混じっている。

「彼の指示でね。一応、用心しとけって」

そう言いながら、ふっと息を吐いた。

「用心……?」

文菜が小さく反復する。その声は、真剣というよりも、どこか不安と好奇心の入り混じったようなものだった。

エレベーターが音もなく止まり、扉が静かに開く。

誰もいない廊下が見えるたびに、会話がふと止まり、二人の間に短い沈黙が流れる。

すぐに扉が閉まると、またゆっくりと上昇を始める。

「俺は、手紙によって呼び出されたといってもいい」

ぽつりと呟く。ボタンの光が一つずつ上へと切り替わっていく。

「文菜の家に手紙を投函したこと――色々考えると、島の人間がかかわってるのは間違いない」

「その人の素性は、ばらしたくないってこと?」

文菜が少しだけ首をかしげて訊く。

その瞳は真っ直ぐに俺を見ていて、まるで心の内側を見透かそうとしているかのようだった。

「ふーん……でも、ちょっとドキドキする」

くすっと笑いながら、文菜は胸の前に片手を添えた。

指先がかすかに震えている。

「どうした?」

「ううん、なんでもない」

首を横に振る文菜。その頬がほんのりと紅潮しているのが、照明の下でよくわかった。

やがて、スイートルームのある階に到着し、エレベーターの扉が開く。

廊下は静まり返っていて、絨毯の上に足音もほとんど吸い込まれてしまう。

部屋の前で立ち止まり、俺は一度文菜を振り返る。

文菜は緊張したように背筋を伸ばし、けれど視線はしっかりと前を見ていた。

コンコン、と扉をノックする。

一拍の間があり、内側からドアノブの金属が軋むような微かな音がした。

扉が、ゆっくりと開かれる――。

「どうぞ」

低く落ち着いた声と共に、男が扉の隙間から顔を覗かせた。

目が合うと、彼は小さく頷き、無言のまま扉を開ける。

スイートルームの中は広く、窓際には海の光が柔らかく揺れていた。

厚手のカーテンが半ば閉じられ、昼か夜か曖昧な陰影が部屋を包んでいる。

案内されたリビングスペースのテーブルには、すでにグラスが二つ置かれていた。

透き通ったオレンジジュースが、花のように鮮やかだった。

「食事は一時間後、ルームサービスだ」

男はそう言いながら、手慣れた動作でグラスを差し出してきた。

「今日は酒はナシ。真名井文菜さん、初めまして。こいつから聞いての通り、探偵だ。ただ……申し訳ないが、名は名乗らない」

文菜は一瞬まばたきをしてから、小さく微笑みを浮かべた。

「はじめまして、明智さん」

「ん? 俺は明智ではないぞ」

男が目を細めて眉をひそめると、文菜はほんの少しだけ首をかしげて答えた。

「お名前を名乗れないのは、お仕事のことでだと思うんですけど……外でお会いした時に呼べないですよね?」

文菜の声は落ち着いているのに、ほんの少しだけいたずらっぽい。

男が返答に詰まったのを見て、文菜は静かに続ける。

「だから、仮の名前です。諒くんが読んでいた本に出てきた探偵さんの名前が、明智小五郎っていうんです。かっこよくて、ぴったりかなって思ったんですけど……失礼だったらやめます」

言葉の最後、文菜はわずかに視線を落とし、グラスの縁を見つめた。

文菜なりに気を遣っているのが伝わってきた。

男は、口を開いたまま固まっている。

拍子抜け――というより、明らかにペースを崩されたようだ。

無表情がデフォルトの彼にしては珍しい、ぽかんとした顔をしている。

やがて男はそっと俺の傍に寄り、声を潜めて耳打ちしてきた。

「……おい。こんな美人で、しかも賢い。ユーモアもある。……お前には勿体ない」

「……ああ、知ってる」

思わず笑いながら返すと、男は気を取り直したように文菜に向き直り、深々と頷く。

「文菜さん、じゃあ……今から“明智”でお願いします」

「よろしくお願いします」

文菜は、丁寧にぺこりと頭を下げた。

その姿は品がありながらも、どこか柔らかく、親しみやすい。

目の前の男――明智を名乗る探偵は完全にペースを崩されている。

口を開きかけたまま、言葉が出てこない。

そんな彼の様子に、思わず頬が緩む。

文菜は、迷いのない動きでふわりと右手を差し出した。

白く細い指先が、ためらいなくまっすぐ向けられる。

ほんの一瞬、男が戸惑う気配を見せる。

ズボンの脇で手をさっとこすり、慣れない所作でその手を取った。

その瞬間――

文菜の視線が、男の手首にある水晶の腕輪に吸い寄せられた。

光を帯びた透明な珠が、その瞳に映り込む。

一瞬、文菜の表情がわずかに揺らいだ。

「あ……」

声にならない息が、微かに零れる。

だがすぐに微笑みに変わり、文菜は何も言わずにそっと手を離した。

その仕草一つに、何かを感じ取った気がした。

そのとき――

部屋の扉が軽やかにノックされた。

「こんばんは、みなさんお待たせ」

明るく響く声とともに、現れたのは冥鬼――こと清原慎哉。

まるで舞台に上がる役者のように胸を張り、両手を広げる。

相変わらず一つ一つの所作が芝居がかっている。

空気が一瞬にして彼の色に染まるような、そんな登場だった。

慎哉は俺や明智を軽く流し、真っ先に文菜の前に進み出る。

「初めまして、清原慎哉です」

姿勢を正し、声に張りを持たせるあたり、妙に紳士ぶっている。

文菜は少し驚いたように目を見開き、けれどすぐに小さく会釈しながら応えた。

「初めまして、真名井文菜です」

その瞬間、慎哉がいきなり吹き出した。

「ハハハ!」

「?」

文菜はキョトンとしたまま慎哉を見上げ、視線だけで問いかける。

「ごめん、失礼しました」

苦笑いを浮かべながら、慎哉は首の後ろに手をやり、長い髪を一度掬い上げて、軽やかにゴムで束ねる。

その仕草を、文菜はじっと見つめていた。

そして、ためらいのない声で言った。

「うん、こっちの方が……スッキリしていいと思います」

その言葉に、慎哉は眉尻をゆるめ、ほんの一瞬照れくさそうに笑った。

「ありがとう」

慎哉は差し出された文菜の手を両手でしっかりと握り返した。

そのやり取りに、俺は何も言わず目を細めた。

誰かと誰かが出会う瞬間というのは、時として、空気の温度まで変えてしまう。

人との距離を置いていた自分にとって文菜との出会いがそうであったように。

この数日で、自分の中に、少しずつ何かが変わっていく気配を感じていた――そして今、その兆しをはっきりと実感している。

その一つの答えが、文菜を介して見たこの出逢いの場面なのかもしれない。

もともと人に対して垣根を作らず、誰にでも分け隔てなく接していた文菜の姿を、学生時代の俺はただ眩しく見ていた。

今も変わらず、文菜は俺のことを信じてくれている。

だからこそ、明智や慎哉に対しても誠意をもって応対しているのが分かる。

そうだ、信じてみよう。

文菜のように、誰かを。自分を。

あの時、両親が死んだあの日から塞いでいた心。止まっていた自分から一歩でも進める気がする。

だから、この出逢いが俺にとっても、また新しい扉を開くきっかけになるのかもしれない。

そんな予感が、確かに自分の中に芽生えていた。

お読み頂きありがとうございます_(._.)_。

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