音無淳、新章へ(2)
「俺たちのことを知っている方もそうでない方もいると思いますので、軽い自己紹介をしましょう。俺は現在東雲学院芸能科、星光騎士団に所属しそちらでもリーダーを務めております。経歴としては六歳から劇団スター☆コスモで演劇を嗜んでおり、十一歳くらいから東雲学院芸能科のアイドルオタクをさせていただいております」
「「え……」」
左右からドン引きの声。
まさかここでドルオタ告白すると思わなかったのか。
確かにリハーサルではこの辺り省略しており、本番で各自好きなように自己紹介をするようになっていたけれど。
「特に大好きなアイドルはBlossomの神野栄治先輩です♡ もう超大好き。世界で一番推してますし、尊敬しております。もはや殿堂入りの神として崇めていると言っても過言ではありません。一生推します。神野栄治様に倣い、朝は五時に起きてランニングをして朝食昼食晩ご飯、栄養バランスを重視して食事作りに励み学生の本分は勉強という言を尊重して今年の期末テストも学年二位を維持いたしました」
「普通に凄くて引く」
「それは初めて聞いた、ヤバい。あの練習量こなしながら学院の方のグループも参加して学業も維持してるとかヤバい。え……淳くんって一日48時間ある?」
またもドン引きされる。
失礼な話だ。
空き時間を上手く使っているだけである。
それでも多少の無茶はしたけれど。
「学業に至っては全国学力テスト一桁の同期がいるのでまだまだかな、って」
「同期もヤバいな?」
「淳くんの学院生活ほとんど知らないから衝撃的なことばっかりなんだけど?」
「まあ、そんな感じで神野栄治様のような完璧を目指しております。もちろん、星光騎士団の騎士としても、あらゆることに手を抜かぬように努めていきたいと思っていますけれど」
「えぐ」
「はい、次は上総さん」
なぜか理解してもらえないので、石動にバトンタッチ。
はあ、と溜息を吐きつつ石動がマイクを持ち直してステージに向き直る。
「知ってるやつも知らんやつもいるだろうけれど、俺も東雲学院芸能科の出身なー。俺は星光騎士団じゃなくて『勇士隊』の元君主。今は俺が三年だった時の一年が君主になってんのかな? 好き放題やらせてもらったぜ」
「そうですね、上総さんのやらかしてきた色々なことは伝説になって語り継がれてます」
「うわあ……」
「ンフフフ。まあ俺の信条は楽しいことは楽しいうちに楽しめ。できることはできるうちにやれってこと。やりたいことは規制される前にやれとも言う」
「お気づきの通りこの人を制御するのは大変です」
「淳くんにはいつも頑張ってもらっていまーす」
客席の空気が引いている。
だが、それは石動の想定内。
「だからまあ! お前ら楽しんでいけ〜。楽しめるもんは楽しめるうちに楽しまねーと。すぐ老けるぜ! はい、次梅春」
「えー、はい! 改めましてVtuber事務所、コメットプロダクション所属のVtuber、松竹梅春でーす。見ての通り3Dの体で参戦! ちなみにどこへ行ってもこの3Dの体でパフォーマンスできる技術を事務所が開発してくれましたー! どうだー! すごいだろぉー!」
両手をブンブン客席に向かって振る松竹。
これは純粋にすごいので、客席からも「すごーい!」と称賛の声。
「そんなわけで! 普段はサラリーマンをしながらコメプロVtuberとして活動もしているぞ! みんな! チャンネル登録よろしくお願いします!」
客席から「したよー!」「してるよー!」という声が聞こえる。
それに対して「ありがとうー!」とお礼を言う松竹。
「こんな感じの三人で、これからFrenzyとしてやっていこうと思っているのですが――!」
「思ってるのですが?」
「ここで! お知らせがあります!」
「お知らせ!?」
大袈裟に驚く石動と松竹。
地味に演技力があるので本当に驚いているように視えるのが面白い。
「VRMMO『SBO』でオンラインファーストライブが決定しておりまーーーーす!」
「早くね?」
「Blossomがやったことはだいたいやらせてくれるそうです」
「だいぶ身もふたもないこと言ってる……」
淳の叫んだ告知に大盛り上がりをした直後、スン……となる石動と松竹にドッと笑いが起こる。
Blossomは比較的スタイリッシュで、それでも天然な綾城に他三人がツッコミを入れるスタンスなのだがFrenzyは全員がボケとツッコミを兼業している。
「あとですねぇ、デビューシングルCDの発売が決定しています」
「早い早い早い。まだ歌ってない」
「そういえばそうだよ!?」
「あーそうでしたー。まー、ご覧の通り我々、非常にバラバラな感じです! ですが! そんなバラバラだからこそ奏でられる音楽もあります! まずはデビューシングルを聞いていただきましょう! デビューシングル『狂乱』!」
あまりの爆速テンポ。
置いてけぼりのお客さん。
だがこのテンポ感は石動の提案。
お客さんは置いていく。
ついて来れる人間だけついてくればいい――そんなグループ。
まあ、それは石動の考え方。
淳や松竹は拾えるファンは拾っていく。
「「「〜〜〜〜♪」」」
これは始まり。
音無淳の、新しいアイドルとしての、始まり。
終
どうも、古森です。
『ソング・バッファー・オンライン~新人アイドルの日常~』を最後まで閲覧いただきありがとうございました。
うっかりあとがき書くの忘れるところでした。
書き出した時は『BL×VRMMO×アイドル』モノが書きたいのと、そろそろ栄治にお相手を……と考えて開始したんですよね。
でもなんか結局栄治のスペックが高すぎたのと淳がドルオタ特化に成長して「う、うう~~~~ん」となった結果「色んな人とフラグだけ建てて終わろう」になりました。
個人的に上総×淳で終わってもよかったかも。
序盤は魁星が最有力候補だったんですけど某大手Vtuber事務所から同姓同名がデビューしてからなんか、なんか……あかん……っていう気持ちになりまして。
こんなことあるんだなぁ。
一人一人にキャラ語りしていきたいところなんですけど、さすがにウザいのでこのくらいで。
あのー、私定期的に今後書く話の基盤になる話を書くのでSBOと今連載始めた『陥れられた護衛悪役令嬢は婚約破棄からの追放を受け、Vtuberになることにしました。』はそれになると思います。
Vtuber×○○みたいなものがこれから書きたいんですぁー!
なので、もしかしたらSBOで出てきたキャラクターが今後書くお話のどこかに出てきたりすると思いますので、どうぞ引き続きうちの子をよろしくお願いいたします。
という感じで、改めまして最後まで閲覧ありがとうございました。
古森でした。






