1-1-1:始まりの夢
夢を見ていた。
その夢はもう3年も前になる。
チハヤの護衛として何度か訪れていたエアリーズの学院に正式に入学した時の夢。
入学した者の自身の性格もあってか、学院の規則の一つである【小隊】を組む事が出来ず、仕方なしに学院長を務めているチハヤのコネを使い【小隊】を組まず、【単機】でいた事。
そして入学したその年に、【単機】で、各12浮遊都市による魔法育成機関の祭典と言える【魔術競技会】に参加し、見事全ての小隊を撃墜し、今までの【魔術競技会】ではなかった功績を作った夢。この時に【一なる全】なんて呼ばれるようになったりしたな。
別に気に入っているとかはない。どうでも良いことだから。
ザ―…ザー…
夢が変わるようだ。
まったく、人の夢をモニターのチャンネル感覚で回しやがって……
ザー…
これは……学院での二年目の時だな。
この時期はウザったい程の勧誘をされたな。
俺を小隊に取り入れれば【魔術競技会】に優勝できると履んだ奴らがわんさか群れて来た。
中に純粋に俺と小隊を組みたいと言ってきた奴もいた気がする。
確か……名前は何だったか思い出せんが、眼鏡をかけた弓の【魔装】を扱う女だったな。
結果として誰とも【小隊】を組むことはなかった。
勧誘が鬱陶しくウザかったから、勧誘してきた連中に実力を示させて蹴散らしてやったら、勧誘も次第になくなった。
ただ最後まで先の女だけはしつこかった記憶があるな。
何度も挑んで来てはボロボロに撃ち落としてはの繰り返しだった気がする。
ザー…ザー…
ん?……ああ、これは2年目に参加した【魔術競技会】の時の夢だな。
この時に初めて自分と同等、もしかしたら自分よりも実力を持っている、と思わせられた奴にあったな。
いや、実戦であったなら俺は奴に――レルクザードの奴にやられていただろう。
ザー…ザー…
これは―――。
そうだな。
この夢が俺の……。
いや俺達の始まりとなった場面だな。
そして、俺達がこれからの目標と言える存在がいる。
この時に受けた借りはきっちり返す。
『――…!』
ふと俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
どうやら目的地に近付いたようだ。
彼女が俺を呼ぶと言うことはそういうことなのだろう。
さあ目覚めるとしよう。
1年ぶりの我が故郷。
エアリーズの地に。