↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】騎士の夫に隠し子がいたので全力で逃げ切ります〜今更執着されても強力な味方がいますので!〜【コミカライズ企画進行中】  作者: 凛蓮月@記憶をなくした孤独な妻発売!
リリアちゃんの番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/101

last.そう遠くない未来

 

 何を言われるかと身構えていたら、ダガートさんはいきなりガバッと頭を下げた。


「すまん。あのときのうわ言は忘れてくれ。今世とか、来世とか、あのときはもう死ぬと思ったから言ったが、おめおめと生き残って我に返ったら恥ずかしすぎて合わせる顔が無かった」


 なんと、ダガートさんも同じ気持ちだったようだ。私も勢いでやってしまったが、いざ我に返るとなんて事をしたんだ、とダガートさんに会うのが気まずかったから。


「顔を上げてください。大丈夫です。私の方こそすみません。飲めないからって口移ししてしまって」

「いや、それは気にしてない。むしろ迷惑かけた、と」

「大丈夫です。溢れたらシーラさんの回復薬が勿体ないし、とにかく飲ませないと、と思って」

「ねぇねぇ、お料理冷めちゃうよ」


 ダガートさんと謝罪合戦をしていたら、リリアちゃんの仲裁が入った。

 忘れかけていたがリリアちゃんもいたんだ……!


「リリア、おじさんとエルシーさんはちょっと大事な話をだな」

「おじさんが重傷だった。エルシーさんがシーラさんの回復薬を飲ませた。ありがとう、治って良かったね、だけではだめなの?」

「恋人や夫婦ならまだしも、エルシーさんとは……」

「2人は仲良しなのに」


 リリアちゃんの言葉に一気に顔が熱くなる。子どもの目線からは簡単なことに見えるのだろう。だが大人になると、色々と考えて躊躇してしまう。


「そうだね。……今は難しいかもしれない。私はまだダガートさんのことをよく知らないから、もっとよく知ってからでもいいのかな? とは思うよ」

「エルシーさん……」

「このまま勢いで突っ走るのも悪いとは言わないけれど、突っ走って失敗しちゃったので。次はちゃんと色々と考えて、答えを出したいな、と思います」

「エルシーさん、それってまさか」


 リリアちゃんの瞳がきらきらと輝く。


「ダガートさん。私たち、まずはお友達になりませんか? リリアちゃんのことを一緒に考える、友達。恋人とか、夫婦とかは一旦置いといて、まずお互いのことを知ってからでも遅くはないかな、と思うのですが」


 ダガートさんの表情は呆けている。

 というか、別に愛を告白されたわけでもないし、好意を伝えられたわけでもないのに突っ走り過ぎた? と一瞬冷や汗をかいた。


「エルシーさんはそれでいいのか? いや、友人になれるのは嬉しい。だが、リリアのことを一緒に考えてくれる、って」

「もうリリアちゃんとはたぶん深い縁で繋がっていると思うんです。こうなったらもう腹を括ってとことんまで関わってやるぞ、って。それに、リリアちゃんが幸せになりたいなら、そのお手伝いをしてあげたいな、と」


 シーラさんとの約束を守るため、周りの大人が正しい道を教えてあげる必要があると思う。

 ダガートさんだけでなく、ギルダさんや騎士さんたちのサポートもあるが、私もその一員に加わりたかった。


「例えば、ダガートさんとケンカしたとき、文具店に逃げて来るとか」

「それいいな。お泊りしたい」

「だがエルシーさんに迷惑がかかるだろう?」


 ダガートさんはいつも私のことを慮ってくれる。

 けれど遠慮して、1人で抱え込んではダガートさんも大変だ。


「ダガートさん、1人で全部しようなんて思わないでください。たぶん、養父さん……つまり、店主さんにもどこか遠慮しているでしょう? でも、店主さんもダガートさんの幸せを願っているんです。だから、私たちにもっと頼ってください」


 リリアちゃんとダガートさんに共通するのは、誰かに頼ることを遠慮してしまうことだ。

 私生児として生まれたことが、誰かに迷惑だと心の底にこびりついてしまっている。

 リリアちゃんはまだ幼いせいか遠慮しない部分もあるが、ダガートさんは年季が入ってしまっている。


「……三十を過ぎると、生き方を変えるのは中々難しいんだ」

「変えてください。まだ間に合いますよ、お互いに」


 ダガートさんは苦笑して、優しい顔になった。


「エルシーさん、友人として、頼りにしてもいいだろうか?」

「もちろんです」

「その先は……俺はいつでも歓迎だ。……エルシーさんがいいなら」


 照れくさそうに咳払い、言葉が尻すぼみになるダガートさんに、今度は私が苦笑した。

 時折可愛らしいかも、と思ってしまうから、その先はそんなに遠いものではないのかもしれない。

 けれど、今はまだ、答えは出さなくてもいいよね?


「エルシーさん、私ともお友達になってください!」

「あら、私はもうお友達と思っていたわよ?」


 リリアちゃんは目を見開いて嬉しそうに笑った。



 一連の話をシーラさんに報告すると、とても興味深そうに聞いてくれた。


「そっかぁ、そうなるかぁ」

「まだ分かりませんよ? 私もやりたいことありますし」

「やりたいこと?」

「ええ。以前言っていた騎士団の駐屯地に子ども預かり施設を作れたらな、と思いまして」


 以前シーラさんから聞いた、シーラさんの友人が運営しているというそれに興味が湧いたので、父に構想を話し、ダガートさんに話を通している。これから騎士団内で検討し、話を詰めていく段階まできているから、そう遠くない未来で実現できるかもしれない。


「エルシーさんならきっとできるよ。じゃあ、実現に向けて、回復薬を沢山作りますか」

「はい! 今日は魔力回復薬をお願いします!」


 未来はまだ決まっていない。

 私たちには無数の選択肢がある。

 失敗しても、挫折しても、強力な味方がいればきっと何度だって立ち上がれる。


「エルシーさん、ただいま! あとで宿題みてくれる?」

「いいよ。やれるところまでは頑張ってね」


 幸せになるために、笑顔でいるために。

 今日という日をせいいっぱい生きていこう!


お読み頂きありがとうございましたm(_ _)m

評価を頂けると今後の参考や励みになりますので下の方の★〜★★★★★を押して頂けると嬉しいです。


【あとがき】


 この度は、『騎士の夫に隠し子がいたので離婚して全力で逃げ切ります〜今更執着されても強力な味方がいますので!〜』を番外編ラストまで読んでいただき、まことにありがとうございました。


 令嬢のお話ばかりだったから、たまには平民の話を書こう、と思い立ち、作者の元サヤしない基準の隠し子がいる夫と離婚して逃げ切る話にしようと書き始めた当作品ですが、沢山の方のお目に留めていただけて、大変嬉しく舞い上がりながら執筆できました。

 本編連載中、リリアちゃんを不憫に思ってくださる読者様が多く、また幸せを願って下さったことで番外編を書き始めました。

 まあ、なんと重い始まり。途中挫折しかけながらも他の作品の連載を挟みながら最後まで辿り着けました。

 番外編は賛否ありながら、でも決めていた着地点は変えないぞ、と突っ走りました。

 始めた当初は恋愛の決着=結婚は安直だけど……と思いつつ、でもたぶんエルシーとダガートは時間かかるよな、となりながら。

 間にリリアが仲介しないとくっつかなそうだ、と思ってのラストになりました。

 リリアが仲裁しなかったら延々と謝罪合戦が続いて進展なく終わったかな、と。


 シーラはアスティやアメリなど周りに人がいたので(ラルフのためにも)立ち直りも早かったのですがエルシーは独りだったので中々立ち直れずやきもきさせてしまったかな、と思います。

 なので満を持してシーラさんに喝を入れてもらいました。

 本編では入れられなかったシアラとの対峙も楽しかったです。


 こうして書き上げられたのは、読んでくださる方がいたからこそ、だと思います。本当にありがとうございます!

 今は色々とミックス出力された便利ツールに負けてしまいますが、これからも色々なお話を書いていきたいと思います。

 お見掛けの際はまた読んでいただけると嬉しいです。


 騎士の夫2巻は、番外編が主なお話になりますが、シーラのお話を加筆できたらな、と構想中です。まだどんな風になるかは未定ですが、発売日等決まりましたらまた告知させていただきますのでよろしくお願いいたします。

 コミカライズは気長にお待ちください。


 それでは、朝晩冷え込む季節の変わり目、皆様お身体ご自愛ください。


凛蓮月


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
罪のない子供は幸せになるべき って思ってるので、いい最終回でした。 お疲れ様でした
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。