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ライバル[クラリネット3]

ゴールデンウィーク明け。

私達2年生にとって初めての後輩が入部して来た。


「1年B組の風見麗かざみれいです。

パートはクラリネットになりました。

迷惑はたくさんかけると思いますがよろしくお願いします」


麗ちゃんか。可愛い名前。

こういうことは普段なら未弥と話して盛り上がるのだが、あれから一週間、そういう会話どころか口さえ聞いていない。

こんなところ見せていたら後輩も不安になっちゃうよね…。



予想通り、麗ちゃんはしばらくしてからこう言ってきた。


「奈津先輩、変なことを聞きますが、そのー、…未弥先輩とは仲が悪いんですか?」


「…。えっとね、未弥は私の親友なんだよ。でも、最近ケンカしちゃって」


私はテヘッと舌を出して笑ってみせた。

本当のところはそんな呑気に考えていないのだが、後輩にまで気を遣わせることじゃないから。


「…そうなんですか」


麗ちゃんは納得したような様子で練習に戻った。



それからというものの、麗ちゃんは急激に上達していった。

未弥にだけでなく、麗ちゃんにも抜かされそうだった。

さすがにそれはまずい。


私は朝練や居残り練にも顔を出すようになった。

不思議と体調も変わりなく、普通に、むしろ元気に日々を過ごすことができていた。

そのおかげで麗ちゃんにトップに近い席を取られることは無かったし、未弥との差も今までより開くことは無いようだった。


多分、これが「本気」というものだと思う。

今までは出していた「つもり」だけだったのだろう。


本気を出せば私だって捨てたもんじゃないんだ。


これまでの絶望的な気持ちを、少しは楽にすることができた。

クラリネット編、折り返し地点です。

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