ライバル[クラリネット1]
「チューニングします。1、2、3、4」
憧れの芽依先輩の掛け声に続いて、隣の2Cからクラリネットの音が聴こえてくる。
ホームルームのはずなのに、部活中のこの時間は入っていけない空気を感じる。
私もクラリネットパートなのに。
2Cにいるのは3年の芽依先輩と、こちらも憧れの3年、紗也佳先輩と、同い年で親友の未弥だ。
そして隣の2Dにいるのは私、奈津だけ。
1年生はまだ仮入部中で、正式には決まっていない。
で、なぜ私だけ別教室なのかというと、単に今度のコンクールの出場者の選抜オーディションで落ちたからだ。
コンクール教室とその他教室で分けて練習するのだ。
先輩2人はクラ歴も1年多いし仕方ないと思う。
しかし、未弥は?
まあ私は病弱で部活も休みがちだし、その分多く練習できる未弥が上手なのは当たり前かもしれない。
だがこれまで行ってきたオーディション全て、未弥に負けるのだ。
その時は必ず笑顔で「頑張って!」と言うが、内心「なんでいつも未弥ばっかり…」とか思っていたりする。
これは私が異常なのかな?
普通はけじめをつけて素直に祝福できるのかな?
私はこの頃ずっとそんなことを考えていた。
劣等感を感じてしまう奈津のお話です。
この程度かー…と思いながら呼んでください。。