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記者・御厨要の記録
これは記事として書くべきものなのか、いまだに正解が分からない。
だが、記者である以上、私は「見たもの」を記録しなければならない。たとえそれが、常識の外側にある出来事だったとしても。
娘がいなくなったのは、三月二十日の夕方だ。
町にやって来た「トニー・フレンズ・サーカス」を観に行って、そのまま帰ってこなかった。
警察は「手がかりがない」と言った。
妻は「あなたの仕事のせいだ」と泣いた。
同僚は「休め」と肩を叩いた。
娘はサーカスに「消えた」のだ。
この記事は、私が見たもの、聞いたもの、そして理解できなかったものの記録である。
誰が読んでも信じないだろう。それでも書く。
これは、私が最後に残せる唯一の証拠だからだ。




