中学生と携帯電話
秋学期の履修登録も終わり、一週間の予定が確定した。その結果、毎週木曜日、補助教員ボランティアで、夏休みにお世話になった中学校へ行くことになった。
僕の見慣れないスーツ姿を見て、同級生が聞いてくる。
「塾講師、始めたの?」
埼京大は、塾講師が人気のアルバイトのひとつ。だから、スーツで大学に来る学生も珍しくなかった。
「おい、似合いすぎ。一気に年齢が上がって見えるな」
どうやら、スーツを着ると年齢が上に見えるのは本当みたいだ。いつも下に見られることが多く、舐められるから丁度いいかと思っていた。
三限の授業が終わった後、中学校へ向かった。大学から駅までは、徒歩十分くらい。電車は二十分くらい。さらに、バスは十五分くらい。十五時半前に到着した。
挨拶を済ませて図書室へ向かった。さあ、果たして何人生徒がやってくるのか?部活もやってるから、そんなに多くないと言われているが・・・この日は、三人だけだった。とりあえず、宿題が出ているということで、やることに。
「あー、何で先生たちは、携帯電話ダメって言うんだろう?」
中二の男の子が言った。話を聞いたら、いじってはいないが、学校に持ってきて何人か注意されたのだという。
「携帯電話、持たない方がいいっていう先生もいるし。ねえ、どう思う?」
僕は自信を持って答えた。
「中学生は持たない方がいいかな」
「えっ、何で?」
たぶん、若いから賛成してくれると思っていたんだろう。目を丸くして驚いていた。
「やっぱり、トラブルが多いよね。メールのやり取りで、ケンカになった。電話をし過ぎて、お金がすごいかかったとか。大人も使いこなせてないのに、子どもが使えるわけないって思う」
僕がはっきり言うと黙ってしまった。
「明日、何時にどこ集合とか、今日は風邪ひいたから休みますとか、そういう連絡だけに使うんだったらいいと思うけどね。でも、絶対いじったり、遊んだりするから」
僕が言うと、あーダメかという感じの表情になった。僕は少し先生っぽくなったかなって思ってしまった。




