10代と妊娠
「みんなに聞いてほしいことがあって」
ホームにいた同級生に対して、田熊が声をかけた。七、八人くらいだろうか。
「ここにいるメンバーは口が堅そうだから言うけど」
なんか深刻そうな顔をしていた。
「妊娠三か月なんだって」
それに対して、みんな驚く。
「えっ、田熊さん、妊娠三か月なの?」
田熊は慌てて言い返す。
「違う、違う、私じゃなくて、他の学部の子」
話を聞いたら、本人は産むつもりでいるらしい。できれば、四年間で大学も卒業したいというのが本人の希望だ。ただ、相手には言ったが親には言えてないとのこと。
「産むんだったら、来年三月くらいになるのか」
「一月まで授業を受けて、テストやレポートをやれば、ギリギリ単位は取れそう」
「でも、妊娠中だから、何が起きるか分からないし」
当然、他人のことだから、結論は出ることはなかった。
「あー、びっくりした。田熊さんかと思った」
「まず、産むんだったら親に言うしかないね」
「今学期は休学して、産んでから頑張るしかないんじゃね」
予定日は分からないが、どんなに遅くても四月の頭に産まれるとのこと。
「つーか、十代で産むって、すごいよな」
「テレビとかでしか聞いたことないよ」
「身近にいたりする?」
僕は答えた。
「中学一年のときの同級生(男)の母親が、十九歳で産んでる」
「へぇ、いるもんだね」
「しかも、一つ下にも妹がいるから、でき婚とかじゃないっぽい」
さらに僕は続ける。
「そいつ生まれたとき、おばあちゃんが四十歳だったってさ」
「何それ、家系的に結婚が早いんだね」
「それから、中学一年のときの同級生が、十六歳で結婚して産んでるよ」
「えっ、マジで!でき婚?」
「いや、順番を守ってるよ。八月に籍を入れて、九月には相手の実家で同居して、約一年後の十月に産んでる。おとなしい性格だし、見た目もチャラいとかギャルっぽいとか一切ない。高校も女子高に行ってたから、どこで出会ったんだか。中三のときの担任だけが、やっぱりって言ってたのが謎」
みんな驚いていた。
「それから、小中時代の同級生が高校卒業してすぐに結婚。理由は、できちゃったから」
「妹の幼稚園の同級生が、十六歳で妊娠」
「噂だけど、近所のひとつ上の先輩が十五歳で妊娠して産んだとか産んでないとか。高校は辞めてる」
次から次へと僕が話をするので、みんな驚いていた。おそらく信じてもらえてない。




