くっ、殺せ
神さまが引き起こした事故によって死亡した私たちは、別の世界に転生することになった。
小さな(体格の)女の子になりたいって要望を伝えたのに、一寸法師なみに(サイズの)小さな女の子に転生させられてしまった。
次々と襲いかかって来る虫や小動物を撃退し、苦労の末に手にした打出の小槌は、呪いと引き換えに一時的に願いが叶うという、質の悪いレプリカだった。ぴえん。
神さまへの生贄になりかけていた小梅という少女を助けたが、おじさんにしか見えない神さまに目をつられて、神さまと戦う羽目に。
まったく、こんなの命がいくつあっても足りないよ。絶対に転生やり直してもらうんだから!
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神さまと呼ばれてる、腹の出た髭のおじさんヒロアキは、今いる場所の『設定』を変更した。
重力が2倍で、魔法攻撃効果が超増大。
戦闘スピードと物理攻撃が身上のユイたちに取って有利な設定では無い。
一方、ヒロアキにとっては、当然ながら有利な設定に思われる。
この状況で先に仕掛けたのはなんと、ユイたちだった。
重力の影響でレオナルドは移動速度が著しく落ちていた。
ドスドスと鈍重な突撃。
3人はレイジによって、強化魔法を施される。
ヒロアキには余裕の回避だったはずだが、レオナルドとの接触の少し前に、マサムネがレオナルドを上回るスピードで、ヒロアキを右足を爪で切り裂きに来た。
予想外の攻撃に反応出来ないヒロアキに代わって1枚目の盾が自動で防御する。
一瞬遅れて左足をユイが太刀で薙ぎに行く。2枚の盾が防御する。
そこに2倍になった体重を武器としてレオナルドが突進。
ヒロアキは両腕でブロックするが、威力が倍になったタックルに吹き飛ばされる。
「チャンス!」
3人は重い体を必死に移動させて追撃を試みる。
しかし、タックルの威力が大きすぎて、ヒロアキが遠い。
最速のマサムネが着く前にヒロアキは立ち上がって、魔法攻撃を放った。
ヒロアキの指先から放たれた光がマサムネを貫き、その一撃でマサムネは倒されてしまった。
「マサムネ!」
ユイが叫ぶがマサムネは光になって消えてしまった。
続けて、レオナルドに向かって、2発魔法を放つ。
レオナルドの眉間と心臓に命中。レオナルドも消えてしまった。
一撃で倒されてしまっては、レイジによる回復することも出来ない。
2人の犠牲と引き換えに、接近出来たユイだが、まだ太刀の間合いには遠い。
しかし、魔法攻撃の機先を制する為にこれ以上は待てないと判断し、この距離から十字手裏剣を放ち、小太刀も投げて、盾を使わせた。
更に鎖鎌でヒロアキの左腕を絡めとって、鎖を巻き取り急接近して、そのまま一本背負いを仕掛けた。
素人の一本背負いだったが、鎖鎌による急接近と左手の引っ張りが功を奏して、思いの外、強烈な投げになった。
更に重力2倍で投げの威力が倍付である。
ヒロアキは大ダメージを食らった。
「ぐはぁっ!」
ユイ止めを刺しにいったが、ヒロアキが気を失っていないので盾がガードした。
「まったく厄介な盾だなぁ」
ユイは1人では止めをさせないので、マサムネを再召喚する。ガッツリ魔力を持っていかれて立ちくらみをした。
小梅もレオナルドを再召喚した。
その間にヒロアキはすうっと浮いて空に逃げた。
「…イベント設定、設定追加、再召喚クールタイム30分、決定、設定追加、要ポイントイベント一覧、物理攻撃半減30分、決定」
「おいおい」
レイジが失望混じりのツッコミを入れる。
「死ね」
ヒロアキは空中からマサムネ、レオナルドに光線を放った。
「にゃあぁ!」
「小梅!すまんだ」
マサムネ、レオナルドは3発ずつくらって再び消えてしまった。
ユイはマサムネを再召喚しようとするが、それは叶わなかった。
「無駄、無駄。再召喚は出来ないよ。さて、お前は殺さん」
ヒロアキは再び光線を放ち、ユイは両腕と右足を撃ち抜かれた。
再開した勝負はあっさりと決した。
ヒロアキは更に数発の光線を撃った。
「ああぁっ!」
ヒロアキはユイの足元に降りてきた。
「出せ。俺のアレを返せ」
「持ってないわよ」
「ああ? ふざけんな」
ユイの左肩を光線が貫いた。
だが、ユイの眼光は屈した様子がなかった。
「ちっ、おい生贄の娘。出せ。出さないとコイツ殺すぞ」
小梅は震えながらヒロアキに近づき、素直に一物の切れ端を差し出した。1番先端部分の20%にあたる部分だった。
「回復役のやつ、お前も出せ。コイツを殺すぞ」
レイジは持っていなかった。レイジは体長3センチのままだったので、持ち歩く事はできなかったのだ。
ヒロアキもレイジの姿は確認していない。いるだろうとアタリをつけて言っただけだ。
姿を現すかどうか悩んでいると、小梅がヒロアキに話した。
「私が持っています」
「よこせ。持ってたやつはどうした」
「…」
「そうか」
小梅はなんと言うか迷っていただけなのだが、ヒロアキは勝手に気を回して、二つ目を受け取った。真ん中の20%だった。
「残りも出せ」
「レオナルドさんとマサムネちゃんが持ったまま死んだので…」
再召喚しないと出てこない。
「ちっ」
再びユイに向く。
「出さないと生贄を殺す」
「マサムネに持たせてたのよ」
ヒロアキが何かを確認して言う。
「嘘だな」
光線がユイの脇腹を貫く。
「ああぁぁぁぁ!」
道着の破れた隙間から紙の包みが落ちた。
ヒロアキはユイを踏み付けながら、回収した。
中身は一物の一部だった。根元から二段目の部分だ。
1番根本と、先端から2番目が無い。レオナルドとマサムネがもっているのはこの二つのようだ。
すぐにはどうにもならないので、あとで再召喚させることにした。
ヒロアキはとりあえずユイを拘束した。
小梅とユイ、2人とも連れて帰る気のようだが、ユイは小梅を人質に辛うじて従っている状態だ。
「くっ、殺せ」
ユイは思わず芝居がかったセリフを言ってしまったが、ヒロアキがこれを拾った。
「はははっ。お約束だな。女騎士か?」
ユイはヒロアキの発言に目を丸くして驚いたが、なんとなく答えた。
「ふふっ。あんたも影響受けてんの? もしかして日本生まれ?」
「はははっ。やっぱり転生者か。まあ、あとでベッドでゆっくり教えてやるよ」
ヒロアキは親しみを感じて余計なことを口にしていたが、それには気づかず、ニヤニヤといやらしく舌滑ずりをし、ユイは鳥肌をたてた。
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